面接で簡潔に答えすぎるのはアリ? 就活経験者が教える適切な回答

簡潔すぎる回答はだめ…?面接で簡潔に答えすぎる デメリットとは 適切な回答のコツをおさえよう!

面接で簡潔に答えすぎなのではと悩んでいる人は先輩が実践したコツをおさえよう

「面接で質問に対して簡潔に答えすぎたらダメかな」「面接で答える長さはどれぐらいが適切だろう」などと、面接での答え方について悩んでいる人はいませんか。相手がわかりやすいと感じるベストな回答時間がわからないと、なかなか面接の対策も進みませんよね。

この記事では、面接で好印象につながる回答の長さを紹介します。就活を経験してきた先輩たちの体験談も紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

まずは先輩の実体験を聞こう! 面接の回答の長さを意識したことはある?

では、実際に就活を経験した先輩は面接の回答の長さについてどのように考えていたのでしょうか。

先輩たちのリアルな体験談から、「ちょうどいい」回答の長さを見つけるヒントを探っていきましょう。

キャリアステージ編集部

就活の面接で回答の長さを意識したことありますか?

Y・A 4年制大学

回答が長くなりすぎないように意識していました。1日に何人もの学生と面接をしているため、長いと理解してもらえないと考えていました。そのため、なるべく簡潔に伝えることを意識していました。

R・N 4年生大学

まず、冒頭で端的に結論を話し、そのうえで、なぜその結論に至ったかをお話しするという話法を心掛けていました。

M・N 4年制大学

だらだらと話すことだけは避けるようにしていました。要点をかいつまみ、アピールポイントが面接官にうまく伝わるように、端的に話すことを意識していました。

面接での簡潔すぎる回答とは

みなさんは、どのような場面で「これって簡潔に答えてすぎかな」と不安になりますか。ここからは、面接で簡潔に答えてしまいがちな回答の代表例について解説していきます。

①はい・いいえの一言で終わる回答
②結論のみで理由の説明がない回答
③具体例がほとんどない回答

上記のような回答をしてしまっている場合は注意が必要です。自分が上記のような答え方をしていないつもりでも、実際は緊張のあまり簡潔に答えすぎてしまっている場合もあります。順番に解説していくので、自分が面接で簡潔に答えすぎていないか振り返ってみましょう。

キャリアステージ編集部

みなさんはどんな回答を「簡潔に答えすぎ」と考えますか?

Y・A 4年制大学

一言で事実のみを伝える回答は短いと感じます。たとえば「どのような役割でしたか?」と聞かれて「リーダーです」と答えるような回答は避けた方が良いと思います。

R・N 4年生大学

簡潔すぎる回答とは、「結論だけで終わってしまう回答」だと思います。コミュニケーション能力が低いと思われる可能性もあるので、回答の後にエピソードを添えることが必要だと思います。

N・U 4年制大学

「結論を述べて、その理由を言わない」「言ったとしても理由が一言で終わる」という回答は簡潔すぎるかなと思います。実際にそのような回答をしても、その理由を深掘りするような質問が追加でくることが多いですが、最初から簡潔すぎるのは親切ではないと考えます。

①はい・いいえの一言で終わる回答

面接の質問内容によっては、「はい」か「いいえ」で答えられる場合もありますが、面接官によっては「簡素な回答だ」と思われてしまう場合があります。「はい」か「いいえ」で答えられる質問には、以下のような質問があげられます。

「はい」か「いいえ」で答えられる質問例

「今日は迷わずここ(面接会場)まで来れましたか?」
「営業職を希望ですか?」
「普段新聞を読みますか?」

たとえば、「今日は迷わずここまで来れましたか?」という質問に対して、「はい」と簡潔に答えすぎてしまうと、話が広がりにくくなってしまいます。

反対に、「はい。メールでいただいていた住所を事前に確認していたので、迷わず来れました」と答えると「メールで送った住所を確認してくださったのですね」と面接官が返答できるようになり、スムーズに会話のキャッチボールができるようになります。

②結論のみで理由の説明がない回答

面接で聞かれた質問に対して結論しか答えないようにしていると、説得力に欠けてしまい、自分の強みが伝わりにくくなります

面接官は学生の性格や志望理由を深く聞きたいと思っているため、かならず理由も沿えたうえで結論を答えるようにしましょう。結論のみの回答の具体例は、以下のとおりです。

結論のみの回答例

Q:学生時代に力を入れたことを教えてください
A:コールセンターでのアルバイトです

Q:志望理由を教えてください
A:素晴らしいライトノベルを世に出している御社で編集者としてライトノベル制作に携わりたいからです

上記の例で取り上げた質問は、具体的な理由や根拠を知りたいと考えて聞くことが多い質問です。結論だけ述べてしまうと、「アピールしたいことはないのかな」「志望意欲が低いのではないか」と思われてしまうかもしれません。そのため、理由や根拠も合わせて説明するようにしましょう。

③具体例がほとんどない回答

具体例を聞かれている質問に対して、面接官が具体例をイメージできるように詳しく話さないと「コミュニケーション能力が低い」とみなされてしまう可能性があります。具体例がほとんどない質問は、以下の通りです。

具体例がほとんどない回答例

Q:挫折した経験を教えてください
A:バレーボール部で地区大会に出場できなかったことです

Q:あなたの強みを発揮した場面を教えてください
A:私は周りを巻き込む行動力を大学の学祭のときに発揮しました

上記の例で取り上げた質問は、面接官は学生が体験した過去のエピソードを詳しく聞きたいと思っています。「あなた」という人柄や価値観をアピールするためにも具体例を詳しく話すようにしましょう

面接官経験者の本音を直撃! 簡潔に答えすぎな学生に対して抱いた印象

面接で簡潔に答えすぎてしまうと、「イメージダウンしてしまうのではないか」と気になる学生も少なくないでしょう。

ここからは、実際に面接官をしたことのある経験者に、「簡潔に答えすぎる学生に抱いた印象」について聞いてみたことを紹介します。

キャリアステージ編集部

面接官をしていて「簡潔に答えすぎだな」と感じた学生はいましたか?

S・K 4年制大学

聞かれた質問に対して、結論だけをポンと返し終わってしまう方がいたのですが、流石に簡潔すぎるなと感じました。もちろん面接官側で深掘り質問はするのですが、あまりにもこちらの質問ありきの流れになってしまうことは会話としてふさわしくありません。もう少し自分から理由やエピソードについて話してくださると良かったかなと思います。

先輩の失敗談から学ぼう…… 面接で簡潔に答えすぎる4つのデメリット

面接で簡潔に答えすぎる4つのデメリット

面接で長々と話してしまうのは話の筋が見えずに面接官からの好印象を得られないですが、、あまりにも簡潔に答えすぎてしまうとさまざまなデメリットがあるもの事実です。

また、内定者や社会人の先輩が感じた、面接で簡潔に答えすぎるデメリットも紹介するので、面接で簡潔に答えすぎてしまうことで起こりえるリスクを回避するためにも参考にしてみてくださいね。

①コミュニケーション能力が低いと思われる

面接で簡潔に答えすぎてしまうと、自分を上手にアピールしきれず、「コミュニケーション能力が低いのでは」と思われてしまう恐れがあります

社会人になると上司や同僚、場合によっては取引先の方と会話をする機会があります。その時にスムーズにコミュニケーションが取れるかどうか、面接官は学生のコミュニケーション能力を重要視しています。

もし、面接で簡潔に答えすぎてしまう理由が、「緊張してうまく答えられない」「面接が怖い」という原因からくるものであれば、対策を練る必要があります。

面接が怖いと考えている人は解消方法をこちらで解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
内定者のアドバイス付き|「面接が怖い」を解消する3ステップ

②熱意や誠意が感じづらい

面接で簡潔に答えすぎて内容の薄い回答をしてしまうと、「やる気のない学生」と思われてしまうケースがあります。たとえば、新学期のクラス替えをイメージしてみてください。隣の席の人と友達になりたいと思い、「どこから来ているの?」と聞くと、「東京」と返事が返ってきたとします。

その場合、質問した相手に対して「私と話すの嫌なのかな」「私に興味がないのではないか」と思う人は少なくないはずです。同じように、面接でも自分の熱意や誠意を面接官に感じてもらうためにも、具体例や根拠を交えて質問に答える必要があります

③情報が不十分になる

面接で簡潔に答えすぎてしまうと、本来であればもっとアピールできた情報も伝えられません。その結果、面接官に自分を理解してもらいにくくなってしまいます。たとえば、「あなたの強みは何ですか」と質問したとします。

その時に「私の強みは粘り強さです」と返答されるよりも、「私の強みは粘り強さです。粘り強さを武器にさまざまな場面で結果を残してきました。特に大学生のときに出場した〇〇大会では……」と返された方が情報量が多く、面接官も学生の人柄を理解しやすいでしょう。

面接ではある程度情報量がないと、面接官に熱意や魅力をアピールしづらくなってしまうのです

④話が広がりにくい

面接でも日常会話でも、質問したことに対しての返答が簡潔すぎると話が広がりづらくなります。特に、自己PRや志望動機などが一文のみの場合、前述したように「熱意や誠意がない」「人柄が伝わらない」と思われる可能性も否定できません。

たとえば、初対面の人と会った時に「休みの日は何して過ごしていますか」と聞いたとします。その時に、「だらだらしています」と返事が来る場合よりも、「日中は映画を見たり本を読んだりして、夜は友達とご飯を食べに行くことが多いです」と返事が来る場合の方が話を広げやすいはずです。

面接は質問されたことに答える場ではありません。面接では面接官と会話のキャッチボールをする場です。面接官が話を広げやすいように、相手を思いやって会話することが重要です。

簡潔に答えすぎてしまって不合格に|就活生に聞いた失敗談……

Y・A
Y・A
4年制大学/文理融合学部
簡潔にまとめすぎてアピールしたいことを伝えられなかった

聞かれたことに対して「はい」「いいえ」だけで答えてしまうと、自分を理解してもらえないことがデメリットとしてあると思います。自分の答えに対して深掘りをしてくれる面接官であれば、自分自身の魅力をさらに伝えることができると思います。ただし、最初の回答がうまく伝わらないと深掘りすらされない場合もあるのが現実です。実際に、相手に自分のことを理解してもらえないだけでなく、アピールしたいことも十分に伝えられずに終わってしまうことがありました。

1分程度×興味を煽る回答がベスト
長すぎる回答は逆効果になると思いますが、1分程度で相手に興味を持って深掘りしてもらえるような回答をすることを意識した方が良いと思います。

R・N
R・N
4年生大学/理系学部
簡潔に答えすぎると深掘りの内容が予想しづらい

面接で簡潔に答えることが絶対に悪いとは思いません。私の場合は、結論を冒頭で簡潔に述べ、続いて背景や理由を説明する流れを心掛けていました。大事なのは「なぜそのような結論に至ったのか」と話すことです。背景や理由をセットで答えられなければ、円滑なコミュニケーションを図れない人という印象を与えかねないと思ったからです。また、結論を先に明確化させることで、面接官がどんな深掘りをしてくるのかが予想しやすくなりました。

なぜそう思ったのかを加えることで簡潔さを回避
例え回答が「はい」「いいえ」で終わるような質問であったとしても、それならばそれで「なぜ、はいなのか」「なぜ、いいえなのか」について、その理由を必ず後付けすることがおすすめです。そしてその、理由を述べたあとには「おそらく、このような質問をされるだろう」と深掘りの内容を予測し、あらかじめそれについての回答も頭で準備していました。

面接で簡潔に答えすぎて後悔した経験はある? 就活経験者の実体験

先述したように、面接で簡潔に答えすぎてしまうと、マイナスイメージにつながってしまう恐れがあります。

ここからは、面接で簡潔に答えすぎたことを後悔した経験のある先輩たちの声を聞いてみました。

キャリアステージ編集部

面接に簡潔に答えすぎたことが原因で不合格だったのではと考えたエピソードがあれば教えてください。

R・N 4年生大学

もっと聞いてほしかったのに…….と後悔したことがあります。せっかく用意したエピソードを深掘りされずに次の質問にいってしまったとき、時間を巻き戻したくなりました。

M・N 4年制大学

「短所や長所は何ですか」と聞かれ「〇〇なところと〇〇なところです」と端的に答えました。その後、「なぜそう思いますか」という質問を期待していたのですが、そのまま次の質問にうつってしまいました。そのときは、アピールが足りないという点で落ちるかもしれないと思いました。

K・T 明治大学大学院

自己PRを聞かれた際に「サークル活動でリーダー経験があります」とだけ答えてしまいました。深掘りもされずに、アピール内容としても不十分だったため不合格かもしれないと感じました。

ベストな回答時間は30秒~1分! 質問タイプや面接時間によって調整しよう

面接の質問別のベストな回答時間

面接では面接官の質問に対して長々と話しすぎてしまっても、簡潔に答えすぎてしまってもマイナスイメージにつながる恐れがあります。ここからは、具体的な回答時間の目安について解説していきましょう。

先輩たちが面接で意識していた回答時間も合わせて紹介します。

①自己紹介や「はい/いいえ」で答えられる質問:30秒程度

自己紹介や「はい/いいえ」など、簡単に答えられる質問は30秒程度で答えるのがベストです。たとえば、「もう雨はやみましたが」という質問に対しては、「はい、やみました。朝、家を出たら雨が降っていたのですが、駅に着く頃にはやみました」などと答える程度で十分です。

回答が30秒以内で済んでしまっても大丈夫です。簡単に答えられる質問に対してだらだらと答えてしまうと「結局何が言いたいの?」と思われてしまう可能性があるからです。

しかし、「はい」や「いいえ」のみで答えてしまうと簡潔すぎてしまうため、必ず理由や根拠、具体例などを添えるようにしましょう

「自己紹介を1分でしてください。」と言われた経験があるのではないでしょうか。次の記事で1分間の自己紹介で人事の心を掴む方法を紹介しているので、ぜひ併せて読んでみてくださいね。
内定者に聞く! 1分の自己紹介で人事の心をつかむワザ|例文15選

②志望動機や自己PR:1分程度

志望動機や自己PRは、面接で聞かれる質問のなかでも、面接官がとくに詳しく知りたいと思っている質問です。そのため、具体的なエピソードや根拠となる価値観を伝えると面接官にも説得力のあるアピールができます

企業によっては、時間指定付きで志望動機や自己PRを求められる場合もありますが、特に指定がなければ、1分程度でまとめて話すよう心掛けましょう。1分程度で話すようにするためには、タイマーを使ってあらかじめ面接に答える練習をしておくのがおすすめです。

③そのほかの質問:30秒~1分程度

前述した①や②にも当てはまらない質問は、30秒〜1分程度で話すと良いでしょう。①や②にも当てはまらない質問とは、具体的には以下のような質問です。

①や②に当てはまらない質問例

・学生時代に力を入れたことは何ですか?
・挫折した経験を教えてください
・長所と短所を教えてください

こういった質問は、前述したように結論だけでなく、具体例や根拠も交えて答えるようにしましょう。そうすることで、自分の魅力を詳しく伝えられ、「自社にほしい人材だ」と思ってもらえる可能性がアップします。

質問の種類によって回答時間を意識的に変えた経験はある?

キャリアステージ編集部

面接の質問内容によって、面接の回答時間に意識的に差を付けていた経験があれば教えてください。

R・N 4年生大学

自己PRや志望動機を長めに話したかったので、「はい」か「いいえ」で答えられるような質問などは短めに終わらせられるように調整していました。

H・Y 4年制大学

自己PRは大体1分程度になるように意識をしていました。ほかの質問に関しても、長くても1分程度にまとまるように答えていました。

M・N 4年制大学

私はどうしても話が長くなってしまう傾向があるので、エピソード込みで伝えるような内容は長くても1分以内に収まるように意識していました。

先輩が伝授! 面接で簡潔になりすぎず適切な回答をする方法

面接で好まれる回答の仕方

面接で簡潔に答えすぎてしまう場合、ここから解説する方法を使えば信憑性のある効果的なアピールができるようになります。面接で有効な伝え方は以下の通りです。

①結論を先に伝える
②STAR法を活用して論理的に話す
③具体的なエピソード
④おおよその回答時間を決めておく

順番に解説していきます。先輩の体験談も参考にしながら、回答のコツをつかんでくださいね。

キャリアステージ編集部

面接の質問に対して、簡潔になりすぎず適切な回答をするために工夫していたことを教えてください。

Y・A 4年制大学

回答が簡潔になりすぎないために、「面接官が興味を持って質問したくなるかどうか」ということを意識したうえで回答をしていました。

N・U 4年制大学

その回答を聞いたときに、疑問を感じることはないかを考えていました。追加でこれも話しておいた方が良いなということがあれば、その内容を増やしていくような添削を自分で繰り返していました。

R・N 4年生大学

話し方に抑揚を加え、スピードや間も意識して話しました。事前に文章構成を仕上げるとどうしても早口になってしまうことがあります。そこで、イントネーションや間を気を付けることで、丁寧で適切な回答と受け取っていただける工夫をこらしました。

①結論を先に伝える

面接で自分の強みや意思を伝える場合、まずは結論から先に伝えるようにしましょう。結論から話を聞くと、話の内容が頭に入りやすくなるからです。

結論がわからない状態で根拠や理由から話を聞いても、面接官は「結局何が言いたいの?」と思ってしまうことがあります。たとえば、「あなたの強みを教えてください」と面接官が質問したと想像してみてください。そして、AとBの学生は以下のように話しはじめました。

Aの回答

私は大学でフォークソング部に入っていました。フォークソング部では年に3回発表会ライブがあります。私は……

Bの回答

私の強みは継続力があることです。小学校1年生の時からピアノを習っています。高校生のときに出場した全国ピアノコンクールでは……

AとBのどちらが話を理解しやすいでしょうか。Bのように結論から話すと、「なぜ継続力が強みなの?」と話を順序良く聞き続けることができるため、Aのように根拠から話すよりも話を格段に理解しやすくなります

②STAR法を活用して論理的に話す

STAR法は経験したことをわかりやすく伝える方法の一つです。このSTAR法を使うと話をわかりやすくまとめることができます。

STAR法とは

以下の順番で伝えることで、話を相手に伝えやすくするフレームワーク
Situation:状況
Task:当時の役割や課題
Action:どのような行動をしたか
Result:どのような結果が得られたか

結論を裏付けるエピソードを伝えるときにSTAR法を使って話すことで、必要な情報をわかりやすい順序で伝えることができます。STAR法は面接の場だけでなく、プレゼンテーションの場でも使えるため、面接を機にマスターすると今後も長く使えますよ

③具体的なエピソードを用いてイメージしやすくする

面接では、具体的なエピソードを用いると状況をイメージでき、説得力も増します。これは面接だけでなく、日常会話でも言えることです。

たとえば、友人Aが自分の弟Bの性格について話していたとします。弟Bのことを知らない前提で話を聞く場合、以下の①と②ではどちらの方が弟Bを理解できるでしょうか。

①私の弟のBは優柔不断なんだよね。だからその性格を治した方が良いよってよく注意するんだ
②私の弟のBは優柔不断なんだよね。この前も家族で中華料理店に行ったとき、チャーハンにするか天津飯にするかで15分も迷っていたんだよ

②の方がエピソードがあるため、実際どのように優柔不断なのかイメージも湧きやすいでしょう。面接でも簡潔に答えすぎるのではなく、エピソードを交えながら伝えると良いですよ

④おおよその回答時間を決めておく

面接で質問された時、話す内容だけでなく、おおよその回答時間を決めて話すようにするのがおすすめです。こうすることで、長すぎず短すぎず答えることができるようになるでしょう。

おおよその回答時間は「ベストな回答時間は30秒〜1分! 質問タイプや面接時間によって調整しよう」で質問ごとに解説しているため、合わせて回答時間の目安にしてみてください。また、回答時間を守るコツについては、このあと具体的に解説していきます。

先輩は実践していた! 面接で適切な回答時間を守るコツ

面接で適切な回答時間を守るコツ

面接で適切な回答時間を守るためには、上記の通り3つのコツがあります。緊張をすると、自分がどれくらいの時間で回答しているのかわからなくなってしまうこともあるため、事前に練習しておくことが大切です。

また、先輩たちが実践していた面接で適切な回答時間を守るコツも紹介します。ぜひ参考にしてみましょう。

①事前に質問を想定して回答を準備する

面接の前に、聞かれそうな質問を想定して回答を準備しておくことで当日に回答時間を考えながら話す手間が省けます。よく聞かれる質問は、この後解説する「頻出問題で確認しよう! 面接の適切な回答例10選」で確認しておきましょう。

よく聞かれる質問がわかったら、「自分の場合はどう答えるか」を意識して回答を準備してみましょう。また、回答を準備する際は以下の点に注意してください。

回答を準備する際の注意点

・主語と述語の関係がわかりやすいように一文をできるだけ短くして話す
・略語ではなく正式名称を使う
・30秒~1分で答えられるような文量に調整する

面接でどのようなことが聞かれるかは、企業によっても異なります。大学のキャリアセンターでは、企業ごとに先輩たちが面接でどんなことを聞かれたか情報を持っている場合があります。必ずしも有益な情報を得られるわけではありませんが、キャリアセンターに問い合わせてみるのもおすすめです。

面接での頻出質問に関しては、こちらの記事でも紹介しています。基本の質問から難易度の高い質問まで幅広く紹介しているので、この記事を読んで回答を準備していきましょう。
面接で聞かれた質問&回答大公開|実際にあった難易度高めな質問とは

②ストップウォッチを使って時間配分を考える

面接でよく聞かれる質問にどう答えるかが決まったら、ストップウォッチを使って回答時間を測り、文量を調節するようにしましょう。回答時間の目安は基本的には30秒~1分です。

たとえば、「学生時代に力を入れたこと」に対する回答時間を測った結果が3分だとすると、2分オーバーしてしまっているため、文量を調整する必要があります。

また、無理に30秒~1分に収めようとして早口になってしまうのも望ましくありません。ボイスレコーダーなどで音声を録音し、聞き返してみると良いでしょう

ストップウォッチを使って練習する方法以外にも、面接練習にはさまざまな種類があります。就活の経験者が実際におこなった練習方法を以下の記事でたくさん紹介しているので、気になる人は参考にしてみてくださいね。
面接練習みんなは何をした? 経験者から学ぶ効果的な練習法13選

③面接官の表情や反応を見ながら話すペースを調整する

当日は準備していない質問をされる可能性もあります。その際は慌てず、面接官の表情や反応に注意しながら話すことが大切です。たとえば、面接官が耳を近づけて聞こうとしたら、声が小さいと考えられるため、面接官に声が届くように大きな声で話すようにしましょう。

また、面接官がメモを取りながら話を聞いていたら、メモを取りやすいようにスピードに配慮しながら話すことも重要です。面接官の反応を見ながら話し方を変えることができれば、「臨機応変に対応できる就活生だ」と評価につながることもあります。

内定者直伝! 面接で完結に答えすぎないための練習方法

R・N
R・N
4年生大学/理系学部
生身の人間と練習をすることで緊張感に慣れよう

友達や家族などに協力を依頼することをおすすめします。いくら、自分自身で何度練習していても、相手が人形や壁だと、本番の緊張感を臨場感を持って再現するのは極めて困難です。なので、私は大学の就活支援センターを利用し、面談予約を入れ練習に付き添っていただきました。また、就活支援サイトやアプリなども活用し、アドバイスをいただきながら練習しました。

もしどうしても、頼れる人が周りにいない場合は、自分が一人二役となり、先に面接官になりきった質問動画を作成し、その動画に応えるような練習をすれば良いと思います。場数を踏むことは大事だと痛感しました。

M・N
M・N
4年制大学/情報科学部
適正スピードを知ったうえで周りの協力も仰ごう

1人で練習するときはスマホのタイマーを使っていました。私は普段が早口な方なので、ゆっくり話す練習に力を入れていました。1分あたり300文字ほどが適正スピードだと調べたのでそれを目安に話していました。

また、ほかにも大学のキャリアセンターの方にお願いして模擬面接もおこなっていました。本番に近い形で実施できるところもいいですが、第三者目線で話すスピードや姿勢、表情についてアドバイスをいただけるのはありがたかったです。

頻出問題で確認しよう! 面接の適切な回答例10選

面接で実際どのぐらいの分量を答えるのかわからない就活生も少なくないでしょう。ここからは、面接でよく聞かれる質問に対する適切な回答例を紹介します。

回答例を参考にしつつ、自分の場合はどのように答えるのか考えていきましょう。そして、考えた文章を読み上げ、「わかりにくい言い回しはないか」、「30秒~1分程度で答えられるか」もチェックしてみてください。

①自己紹介をお願いします

回答例

はじめまして。〇〇大学〇〇学部〇〇学科の〇〇です。大学では4年間テコンドー部に所属し、学業の傍ら稽古に打ち込んでいます。日々の稽古を通じて瞬発力のある身体作りができたとともに、どんなことにも屈しない精神力が磨かれました。

本日の面接では、これまで培われてきた忍耐力をアピールしたいと思うので、何卒よろしくお願い申しげます。

例文では、大学名・学部学科・氏名・自分を知ってもらうための情報・意気込みが伝えられています。自己紹介を考える際は、「自分を知ってもらうための情報」が長くなりすぎてしまうケースがあるため、あくまでも30秒〜1分で答えられる文量を考えてみましょう

面接での自己紹介については、こちらの記事で詳しく解説しています。自己紹介は第一印象を左右するものなので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
面接の自己紹介で何を話した? リアル回答例付きで伝え方を徹底解説

②志望動機を教えてください

回答例

私は日本製品の良さを海外の人々に知ってもらい、愛用してもらいたく、それを実現できる御社に惹かれ、志望しました。

私は大学2生の時に1年間オーストラリアに留学していました。現地の学生とアルバイトをするなかで、日本製品が愛されていることを知りました。

そのため、日本製品の良さをもっと知ってもらい、海外企業に日本製品を買ってもらうことで、日本経済の発展に貢献したいと考えるようになりました。御社の魅力は、丹精込めて作った日本製品を多く海外に売っていることだけではありません。

海外に対して、日本製品の良さを宣伝することに力を入れていることも大きな魅力の1つです。私が御社に入社した際も、日本製品の良さを海外に宣伝することに力を入れたいと考えています。

志望動機では「どうしてその業界・企業でないといけないのか」を伝える必要がありますが、例文ではエピソードを交えたうえでその企業が持っている魅力を伝えられています。とくに志望動機は掘り下げて質問されることもあるため、「どんなことを掘り下げて聞かれるか」も面接の前に考えておくと良いでしょう

面接での志望動機の回答例文を紹介しましたが、志望動機は書類選考の場面でもよく聞かれます。こちらの記事ではエントリーシートの志望動機の書き方について紹介しているので、書類選考に苦戦しているという人はチェックしてみてくださいね。
エントリーシートの志望動機どう書く? 実際に通過した回答を大公開

③自己PRをしてください

回答例

私の強みは苦手なことにも挑戦するチャレンジ精神があることです。私は中学生の時から英語が苦手でした。中学3年生の時にオーストラリアに修学旅行に行ったときは、姉妹校の学生とほとんど交流を深めることができず、悔しい思いをしました。

そのため、高校生の時から英語の学習に力を入れ、英会話スクールにも通いはじめました。その結果、英語検定の準1級を取得することができました。そして大学1年生の時にイギリスに留学することができ、友人が2人できました。

私が御社に入社した際も、たとえ苦手なことがあったとしても自ら目標を立て、それを達成できるようにチャレンジしていきたいと考えています。

自己PRはとくに「STAR法を活用して論理的に話す」で解説したように、結論を述べてからSTAR法で順序立てて話すことが大事です。例文では結論を述べ、STAR法でエピソードを述べ、最後に意気込みも述べられているため、例文の構成をまねて自己PRを考えてみましょう

自己PRをさらに魅力的にするためには、「書き出し」が大切になります。魅力的な書き出しや、内定者が考えた傑作書き出しを以下の記事で紹介しているので、気になる人はチェックしてくださいね。
自己PRの書き出し方とは|内定者が考えた傑作書き出しを紹介

④学生時代に力を入れたことは何ですか

回答例

学生時代に力を入れたことは、大学の講義を通しておこなわれる脚本制作です。私は大学でドラマの脚本を書き、お互い感想を発表し合う講義を受けていました。しかし最初はお互いの作品の良い部分しか言い合っておらず、それではお互いのためにならないと考えていました。

そのため、私は作品の良いと思った部分を褒めたうえで、直した方が良いと思った点も伝えるようにしました。その結果、私以外の講義を受けているメンバーもお互いの直した方が良い部分を発言するようになりました。その結果、講師の先生からも「良い意見交換ができるようになってきた」と褒めていただきました。

私は良い雰囲気作りができる強みを活かし、御社に入社した際もコミュニケーションを大切にし、良い職場の雰囲気作りができるよう心掛けようと考えています。

例文では、STAR法を活用して効率的に「良い雰囲気作りができる強み」をアピールしたうえで、入社後の展望も伝えられています。「学生時代に力を入れたこと」も自己PRと同様に、STAR法を意識して伝えると無駄なくスムーズに自分を売り込むことができます。

⑤失敗した経験はありますか

回答例

私は大学3年生まで、不登校の中学生や高校生のよりどころとなるカフェで話を聞くボランティア活動に参加してしていました。そこで私は不登校の中学2年生と会話している最中、「学校に行けば良いじゃん」と軽率に発言してしまい、その学生を傷つけてしまった経験があります。

不登校の中学生や高校生は、複雑な問題を抱えているケースが多くあります。そのため、不登校の中学生や高校生の気持ちに寄り添った発言が大事です。

私はこの失敗から、もう一度不登校問題を見つめなおしました。そして、大学では心理学の授業を受けてメンタルケアについて学びました。そして、発言する前には必ず「その発言をしたら相手はどう思うか」を考えるようにしました。

今では自分の考えが当たり前だと思わず、一人ひとりに当たり前があるのだと認識しています。御社に入社した後も、自分の考えを当たり前と思わず、さまざまな立場に立って考えたうえで業務を遂行したいと考えています。

「失敗した経験」を聞かれたら、失敗から何を学び、どのように変化したかを伝える必要があります。例文では、ボランティアで軽率な発言をしてしまったことから、次にどう活かすかを考えて行動できています。また、「入社後、その失敗をどう役立てるか」を伝えられていることもポイントです

とはいえ、どのような失敗談を伝えたら良いのか迷う人もいるでしょう。こちらの記事では面接で失敗談を聞かれたときの答え方について詳しく解説しているので、あわせて対策をしておきましょう。
面接での失敗談の答え方|みんなのリアル回答付きで伝え方を完全攻略

⑥あなたにとって働くとはどういうことですか

回答例

私にとって働くとは、自己成長するための手段だと考えています。自分が成長することで企業のためにもなると考えているので、どのような仕事でも向上心を持って仕事に励もうと思っています。

私がこのような考えに至った経緯は、書店でのアルバイト経験がきっかけです。最初は、新刊の書籍の情報など、自分の知識不足が原因で顧客の相談にうまくアドバイスできていないと実感していました。そこで書籍に関する情報にアンテナを張るようにし、スキマ時間に読書ができるよう外出時も本を2冊常に持ち歩くようにしました。

その結果、「あなたに聞いて良かった」と顧客にお声をいただくことができました。御社に入社した際も、「自分の成長が企業のためにもなる」という考えを大切に、精進していきたいと考えています。

「あなたにとって働くとは」という質問は、学生の仕事に対する向き合い方を知るために聞いています。例文ではエピソードを織り交ぜながら根拠を述べたうえで入社後の展望も述べられているの点が良いですね

⑦将来のキャリアプランを教えてください

回答例

私の誰とでもすぐに打ち解けられるコミュニケーション能力を活かして、新規顧客獲得数で社内1位を取れるようになりたいと考えています。そのためにも入社後は、常に目標を設定して改善策を練れるサイクルを繰り返します。

私は保険営業のコールセンターのアルバイトで、新規顧客獲得数で1位をとったことがあります。常に顧客の目線に立って悩みを解決できるようアドバイスすることで、このような結果を得られたと思っています。

御社に入社した際も、常に顧客目線に立つことを忘れず、常にトップクラスで活躍できる社員を目指したいと考えています。

企業は学生が「将来を見据えられているか」「志望意欲があるか」を判断するために「将来のキャリアプランについての質問します。例文では「誰とでもすぐ打ち解けられるコミュニケーション能力の高さ」をアピールしながら入社後に実現させたいことを伝えられていることがアピールにつながるでしょう

⑧入社後に挑戦したいことはありますか

回答例

私は御社の営業事務職を通じて、営業が円滑に仕事を進められ、生産性がアップできるように貢献したいと思っています。

私は大学で野球部のマネージャーを務めています。週4回の練習日に加え、毎月練習試合があります。忙しいスケジュールのなかでも、部員の一人ひとりが練習試合で最高のパフォーマンスを発揮できるよう、報告や連絡を素早くおこなうことを徹底していました。

御社に入社した際も、報告や連絡、相談を迅速におこなえるよう心掛け、営業社員の成果につながるような行動をしていきたいと考えています。

企業は「入社後に挑戦したいことは何か」という質問で、学生が働くイメージを持てているか、ミスマッチはないかを確認しています。例文ではエピソードを根拠に、入社後に挑戦したいことが述べられています。

⑨当社の課題は何だと思いますか

回答例

御社の課題は書籍の電子化だと考えています。特に御社は旅行雑誌をメインに取り扱っているため、顧客が旅先で簡単に情報が手に入るよう、電子化を進める必要があると考えています。

私は大学で出版業界の歴史について学ぶ授業を受けていました。現在、出版業界は大きな変化の渦中にいます。私が御社に入社した際も、業界についての情報を入手しつつ、変化に対応していけるよう業務に取り組みたいと考えています。

「当社の課題は何か」という質問は、どれだけ企業分析をしたかが問われる質問です。企業分析での成果を伝えつつ、自分なりの回答を伝えることが大切です

⑩現在の選考状況を教えてください

回答例

私は広告業界を中心に就職活動をしています。先週、株式会社○○の二次面接を終え、明後日最終面接を受ける予定です。

しかし、御社が第一志望なので、御社から内定をいただいた際は御社に入社しようと心に決めています。

企業は自社への志望度を知るため、選考の終わりの方で「現在の選考状況を教えてください」と質問することがあります。例文では、正直に他社の選考状況を伝えたうえで、御社が第一志望と伝えています。また、一貫性を持って就活しているかも見ているため、「〇〇業界(職種)を中心に就職活動をしています」などと伝えるのも良いでしょう

面接の最後には逆質問の時間が設けられている傾向にあります。こちらの記事では内定者が実際に聞いた逆質問を紹介しているのでぜひ参考にしてみてくださいね。
面接の「質問はありますか」どう答える? 内定者に聞く逆質問対策

面接で簡潔に答えすぎているのかどうかを客観的に判断して適切な回答を目指そう

面接は簡潔に答えすぎず、結論を述べたうえで根拠やエピソードを述べることが大事です。具体的な回答時間の目安は30秒~1分と頭に入れておきましょう。

面接は自分の魅力や熱意を売り込む場なので、効果的にアピールするためにも、この記事で紹介した先輩たちの声を参考に面接に挑んでくださいね。

編集責任者 伊東 美奈

キャリアステージを運営するHR team(旧リアステージ)に新卒入社。キャリアアドバイザーとして1,500名以上の就活生を支援する傍ら、長期インターンサービスの立ち上げや人材開発業務を担当。マーケティング事業に異動後、理系学生の就活支援メディア「Digmedia」の編集長・エントリーシート共有プラットフォーム「イールック」の運営責任者を務める プロフィールをみる