Uターン・Iターンの良し悪しとは|仕事や生活を体験談から徹底解剖

生活・仕事の両面からチェック! Uターン・Iターンのメリット・デメリット

Uターン・Iターンのリアルな経験談から自分の理想の働き方を考えよう 

就活や転職で「Uターン」「Iターン」という言葉を耳にしたことはありますか。これは、地方へ移住し生活環境を変えながら、移住先の職に就くことを指す用語です。

新型コロナウイルス感染症の流行もターニングポイントとなり、在宅勤務などのオフィスに出勤せずに業務を進める制度を導入している企業も多く存在します。こういった変化の中で、都市部から地元に帰って仕事をする、都心での生活に疲労を感じる人が地方への移住を検討する、などの選択肢が生まれ、Uターン・Iターンが注目されるようになったのです。

この記事では、そんなUターン・Iターンを経験した人の声を交えながら、Uターン・Iターンを検討するうえで重要なことやメリット・デメリットを解説していきます。

どこで働くか・どこで生活するかも、自分に合う仕事を見つけるために大切な判断軸です。こちらの記事も参考にしながら、自分の理想の働き方を考えていきましょう。
自分に向いてる仕事の探し方12選|体験談で学ぶ自己理解のプロセス

Uターン・Iターンって何? それぞれの特徴を押さえよう

Uターン・Iターンの特徴

UターンとIターンは一見似ているように感じられることもありますが、厳密に見てみると出身地や移住先が異なるなどの違いがあるため、基本的な情報を一度整理しておきましょう。

ここではUターン・Iターンという用語の解説と一緒に、どんな人に向いているかを紹介します。

Uターン

就職・転職で用いられるUターンは、進学や就職を機に首都圏や都市部に移り住んだ後、出身地や地元に帰って就職・生活をすることを指す用語です

たとえば、大学進学のために東京に引っ越した地方出身者が、地元の企業から内定をもらい、就職を機に出身地に戻ってくる(移住する)のがUターンです。

もちろん、「就職や転職を機に慣れ親しんだ土地に帰りたい」「子育てを地元でしたい」「家族の介護や家業を継ぐ必要がある」など、故郷に帰るきっかけは人それぞれです。

Uターンに向いている人の特徴

Uターンの大きな特徴は「自分の出身地に帰郷する」という点です。自分の知っている土地で仕事や生活ができるため、周囲の手助けを得ながら安心して生活することができるのがメリットといえます

Uターンに向いている人の特徴:
・実家に戻って暮らしたい人
・家族の介護や手伝いが必要になった人
・見知った土地で生活したい人

Iターン

Uターンが地方出身者の移住を指すのに対してIターンは都市部や首都圏の出身者が、生まれ育った土地を離れて、見知らぬ地方へ移住することを指します

具体例を出すと、東京都にある大学を卒業後、地方の企業への就職を機にその土地へ移住してしまう、という流れがこれに当てはまります。

Iターンの大きな特徴は、新天地で新たな生活をスタートさせられる点です。しかし、故郷ではない場所で生活をしていくことになるため、現地に適応できるかなどはじっくりと判断する必要があります。

Iターンに向いている人の特徴

Iターンを経験した人の中には、「旅行先として赴いたら環境が良かったから」、「都会の生活に疲れてのんびり暮らしたいと思ったから」などの理由で地方に移住する人もいます。ゆっくりと穏やかに生活できる環境を求めている人はIターンに向いているかもしれません。

Iターンに向いている人の特徴:
・生活環境を大きく変えたい
・都会を離れてのんびり暮らしたい
・自然に触れながら子育てがしたい

就活でUターン・Iターンという言葉を聞いたことはある?

キャリアステージ編集部

就活で「Uターン」「Iターン」という言葉を聞いたことはありますか?

M・W 学習院大学

聞いたことがあります。Uターンに関しては、大学を機に上京してきた学生が地元に戻って就職することですよね。就活を意識したタイミングで初めて知りました。

R・N 4年生大学

あります。大学の友人がUターンするということを聞いたのですが、そのときは意味がわからなかったため、調べました。

D・T 千葉大学

友人が大学に通うために地元を離れていましたが、「Uターンをして就職したい」と言っていたので意識しました。初めて聞いたのはテレビなどのメディアだったと思います。

Uターン・Iターン以外にもある! 「Jターン」の特徴

ここまではUターンとIターンについて解説をしてきましたが、実はその2つ以外にも地方への移住を指す「Jターン」という用語があります。

JターンもUターン・Iターンと同じく地方に移住することは変わらないのですが、UターンやIターンの条件に当てはまらない人は、Jターンが選択肢に入る場合もあるので、一緒にチェックしてみましょう。

Jターン

Jターンとは、地方の出身者が都市部・首都圏へ移住した後に、出身地ではない地方や、故郷の近隣へ移り住み、生活することを指します。

たとえば、地方出身者が東京で進学や就職をしたのち、地元ではない近郊や近隣の自治体に移り住むのがJターンにあたります。

一見、Uターンと似ている用語ですが、大きな特徴は「出身地ではないがそこに近い土地や近隣の地域」に移り住むことです。主に、故郷よりも利便性が良い場所で暮らしたいという人や、一人暮らしはしたいけど家族に何かあったときにすぐに行ける場所に住みたい、と思う人がJターンとして移住をする傾向にあります

Jターンに向いている人の特徴

前に書いたJターンの性質上、実家に戻るのではなく近隣で一人暮らしがしたいという人や、より利便性が良い場所を選ぶなど、出身地では満たせない条件を近隣の土地で叶えられる人にはおすすめです

Jターンに向いている人の特徴:
・出身地以外の地方で暮らしたい人
・地方で暮らしたいが利便性などを重視したい人
・実家へすぐ駆けつけられる土地に住みたい人

ぶっちゃけどう?  Uターン・Iターン就職・転職経験者の体験談

Uターン・Iターンの内容や特徴を確認したうえで、経験者にUターン・Iターンにまつわる経験談を聞いてみました。

Uターン・Iターンを決断したきっかけや、都会を離れ地方へ移住することの魅力を聞いてみたので、Uターン・Iターンの実態を一緒に見ていきましょう。

周囲にUターン・Iターン就職や転職を検討している人はいた?

先輩たちにとってUターン・Iターンがどのくらい身近なものなのか聞いてみました。「就活中に聞いた」という人よりも、友人や周囲の人がUターンを検討しているなど、身近な人との話題で知った人が多いようです

キャリアステージ編集部

就職・転職でUターンやIターンを検討している人は周囲にいましたか?

R・N 4年生大学

知り合いにいました。地元で実家暮らしをすることで、貯金額を増やすことができることや、都心の物価などの観点からUターンすることを決めるなど、意外と身近に検討している人がいました。

M・W 学習院大学

います。私の友達が、地方出身なのですが、その地域が大好きだということと、親の仕事を継ぐことが決まっていたので、そのまま地方に就職しました。

K・U 名古屋学院大学

私の友人はUターン就職をしていました。地方出身だったため、自分の行きたい学部がなく、都心部の大学に入学しました。都心部での就職も視野に入れていましたが、地元愛・家族愛が強く、結局、地元で就職していました。

S・K 4年制大学

私の友人は、進学のタイミングで地元を離れていたのですが、就職を機に地元にUターンしました。就職先は地元の小学校で、養護教諭をしています。

Uターン・Iターン就職や転職をしたきっかけや決め手は?

Uターン・Iターンを検討するきっかけとなったことや、実際に周囲の人が地方へ移住するのにはどのような理由があるのかを聞いてみました

中には、生まれ育った土地が好きで、そのまま実家の家業を継ぐなどで故郷にUターンする人もいます。

R・N
R・N
4年生大学/理系学部
収入を有意義に使って将来のびのび働くため

地方に移住後、IT業界でエンジニアをしている先輩からは、地元で実家暮らしすることで貯蓄を増やし投資をすることで、将来のびのび生活するためにUターンすると聞きました。

都市近辺は物価が高く、家賃も地方の比にならないことから「貯金したり投資したりした方が有意義にお金を貯められるんじゃないか」と考えたそうです。

その先輩はコミュニケーション能力も高く真面目な人で、役職も順調に上がれば、都市部での生活とそれほど生活水準は変わらないという風な考えを述べていました。

N・U
N・U
4年制大学/薬学部
家族と一緒にいられることが大切だと気付いたから

私は就職活動を経て地元に戻ることを決意しました。在学中は、都市部で働くことも視野に入れていたのですが、大学生活で一人暮らしをしていく中で、家族が近くにいることの良さや大切さに気付くことができたからです。

また、私の場合は少し体調に不安も抱えていたので、そういった側面からも、事情を知っている人が多く近くにいた方が良い、という判断に至りました。私の地元は田舎なのですが、その分自然や空気も綺麗で、昔からなじみのある人や土地があるという安心感もあります。

もともとは、食品業界を第一志望にしていましたが、地元へ就職をするにあたって最終的には化粧品業界が第一志望に変わりました。

D・T
D・T
千葉大学/法政経学部
やりたいことを優先して地方に就職した友人がいた

私の友人は都市部出身ですが、地方の職場に就職することになりました。最初からそのように決めていたわけではなかったようですが、本人が希望していた製造業界の研究開発職がある企業は、勤務地が地方のことが多かったようです。

また、地方への転勤が後から決まるよりも、先に地方での勤務を経験しておいた方が人生設計が立てやすい、という理由も話していて、悩みつつも最終的にはやりたい職種があるという理由で地方へ就職しました。

S・K
S・K
4年制大学/文系学部
家族の意向と自分が魅力に感じた土地で過ごしたいと思ったから

進学の際、通うには少し遠い距離に学校があったため、一人暮らしをしていました。しかし、その後の就職を機に実家に戻る想定で仕事を探し、小さなUターン就職をしたことがあります。

地元に戻ろうと思ったのは、家族からの「近くにいてほしい」という要望と、私自身が「今後長く過ごすのであれば地元が良い」と、土地柄・雰囲気に魅力を感じていたことが大きいです。就職先は隣の市にある冠婚葬祭全般を取り扱う会社で、そこで営業事務や人事といった仕事を担当していました。

Uターン・Iターン就職や転職の魅力は?

Uターン・Iターンで、地方や故郷に就職・転職する魅力を聞いてみました。

Uターンによって出身地で就職し、古くからの友人や周囲の人と支え合って暮らしている人もいれば、生活様式が変わり、趣味や余暇の時間をより楽しんでいる人もいるようです。このように、精神的なゆとりを持って生活することができるのはUターン・Iターンならではの魅力と言えますね

R・N
R・N
4年生大学/理系学部
共通の話題で盛り上がれるアットホームさがある

Uターンした先輩の話では、満足した点は2つあるようでした。一つは自分の地元の企業であることから、その近辺から就職する同僚や先輩が多く、社員同士の話がとても合うということです。地元の学校の話題でコミュニケーションを取ると、とても場が盛り上がるとのことでした。

二つ目は、精神的な負荷が少ないということです。自分の慣れ親しんだ土地なので、就職直後は不安な気持ちがあったものの、だんだんと気持ちが楽になり、ストレスが少ないことにとても満足しているということでした。

D・T
D・T
千葉大学/法政経学部
暮らしやすい環境や友人とのびのび過ごせる

都市部出身ではあるものの、地方へ勤務することになり、いわゆるIターンを経験している先輩がいます。話を聞いたとき「休日を自由にのびのびと使えるし、多趣味な自分としては大学時代以上に充実している」とおっしゃっていて、楽しんでいるようでした。

何より、物価が安いことが節約の面でとてもありがたいらしく、貯金がしっかりできる点に満足しているようです。また、大手の企業に就職したためか、同じような境遇の人も多数いたようで、その人と休日に遊びに行くなど、ほかの人とのかかわりも満足している要因のようです。

M・N
M・N
4年制大学/情報科学部
ありのままの自分で気負わずに周囲と接することができる

私の知り合いの話になるのですが、Uターンをして良かったことは社内の雰囲気にあるそうです。

生まれ育ってきた地元の空気の中で、自分を取り繕う必要もなくありのままに暮らし、仕事ができることがメリットらしく、慣れ親しんだ空気だからこそ、変に気を負わず、周囲ともかなりアットホームな環境で業務に取り組めていると言っていました。

S・K
S・K
4年制大学/文系学部
安心感がある状態で社会人生活をスタート!

Uターン就職をしたことについては満足していましたが、結果として現在は違う土地に勤めています。やはり企業の多くが都心部に集まっているため、地元で仕事を探すとなると選択肢が限られます。

そのため、やりたいことが明確に決まってくると、地元内では希望する会社の求人を見つけられず、エリアを広げる選択をすることになりました。しかし、Uターンした当初は、慣れ親しんだ土地である安心感の中で、社会人としてのスタートを切ることができたので、環境に関するストレスが少なく、実家のサポートもあった点で心強かったです。

Uターン・Iターンとは違う魅力が? Jターン経験者の体験談

Uターン・Iターンとは別に、出身地以外の地方に移住する、いわゆるJターンを経験した人の話も聞いてみましょう。

志望した企業が地方にあったり、もともと地方に住んでいたからこそ、別の地域でも抵抗なく生活ができている人が多いようです。就職を機にJターンをした人は、勤務する企業への通勤時間や生活費を、都市部での生活よりも削減できることを魅力に感じているようです。

R・N
R・N
4年生大学/理系学部
志望度が高い企業が地方に本社を構えていた

Jターンを経験した友人がいます。Jターンを検討することになったきっかけは、自分のやりたいことができる企業が、地方に本社を構えていたためだそうです。

製造業界の企業で、有給休暇の取得率だけではなく、残業時間や離職率も低いことから待遇面に魅力を持ったようでした。そこからインターンシップに参加すると、思った以上に交通の便が良く、社員の人も良い雰囲気だったみたいで、そのまま地方移住の決断をするに至りました。

D・T
D・T
千葉大学/法政経学部
住みやすい環境が魅力ではあるものの交通面が不安……

私の友人がJターンを経験しています。その友人はいわゆる転勤族の家庭だったため、地方への就職や住む場所が変化することに対してあまり抵抗はなかったようです。勤務地が地方になる企業から内定をもらい、そのままその企業へ就職を決めていました。

その友人は住居が職場の近くに設けられているという福利厚生や、生活費が安く済むことが魅力的だと言っていました。反対に、自動車の運転などをあまりしたことがないため、交通面での不便が怖いとも話していました。それを聞いて、私は「生活に慣れるまでは大変かもしれない……」と感じてしまいましたね。

データでみるUターン・Iターンの現状

ここまではUターン・Iターンを経験した人のリアルな意見を聞いてきました。就職やライフイベントを機に地方へ移住することには、人の数だけ魅力やメリットがあり、自分の理想に合わせた生活を楽しんでいる人も多くいます。

体験談を聞いて、Uターン・Iターンが身近に感じられたところで、実際にはどれくらいの人がUターンやIターンをしているのか、データから実態を見てみましょう。Iターンでの移住先として人気の土地や、実際に経験してみての満足度などを紹介していきます。

移住者の割合と人気の移住先

uターン・iターンでの移住者の割合と人気の移住先

Jターンを含めたUターン、Iターンの3つでは、それぞれどの方法で地方への移住者が多いのかを見てみましょう

マイナビキャリアリサーチが発表している地方移住の実態では、Uターン・Iターンをしている人の割合はUターンが48.4%、Iターンが31.8%と発表されています。またJターンをしている人は全体の10.3%となり、割合として多くを占めているのはUターン・Iターンということがわかります。

また、移住者が移住先として選んだのは静岡県、次いで福岡県や北海道となりました。同調査の回答では埼玉から栃木への移住割合が、千葉県からは茨城県への移住割合が高いなど、都市部の出身者は、その近郊の地域への移住が多い状況にもなっています。

Uターン・Iターンをする主な理由

uターン・iターンにおける地方移住の理由

マイナビキャリアリサーチの同調査では、Uターン・Iターンをするきっかけとして一番多かったのが「働き方を変えるため」という回答でした。

また、Uターンで生まれ育った土地に帰郷する人は「家族友人・知人との距離が近くなるため」と回答しており、仕事やキャリアの側面ではなく、人間関係や生活面、働き方などの観点から移住を決断する人が多い結果となりました

Uターン・Iターン後の満足度

地方移住後の生活満足度

一番気になるのが、Uターン・Iターン後の満足度ですよね。地方移住者の満足度を「仕事」、「収入」、「住環境」、「社会・地域とのつながり」の4つの観点からの調査結果を見ると、「住環境」「社会・地域とのつながり」の満足度の上昇が大きくなっています。

「仕事」や「収入」の項目も、「満足」と回答した人の割合が高く、移住前よりも移住後の方が生活全体の満足度が上昇していることがわかります

将来的にUターン・Iターンをしたいと思う?

キャリアステージ編集部

将来的にUターンやIターンなどで出身地や地方で働きたいと思いますか?

M・W 学習院大学

私はあまり考えたことがないです。というのも、都内出身で20年間ずっと都内で暮らしてきたからです。今の生活が好きなので離れようとは思いません。

D・T 千葉大学

現在はUターンやIターンについては検討していません。職種にもよると思いますが、リモートワークなどが普及してきても人と会って仕事をする方が自分に合っていると感じるためです。

M・N 4年制大学

考えていません。私の希望職種の企業が地方にあまりないというのもありますが、働き方にかかわらず、生活において都会の方が便利だと考えています。

R・N 4年生大学

考えていません。私は先端技術を通してサービスやプロジェクトを実行したいと考えているため、人も物も集まる都市近辺で働きたいと考えています。

Uターン・Iターンをするメリット5選

Uターン・Iターンに関するデータでは多くの人が生活環境に満足しているという結果がありました。それでは、実際にUターンやIターンで地方へ移住することのメリットとは一体何なのでしょうか。

ここからは、UターンやIターンで生活環境が変化すると、どのような利点があるのかを解説していきます。目的を明確にしたうえで、より暮らしやすい土地を決めて移住すれば、その土地ならではの恩恵を受けることができますよ。

都市部での生活に疲れてしまった、精神的にゆとりが欲しいという人はぜひ参考にしてみてくださいね。

キャリアステージ編集部

Uターン・Iターン就職・転職をするときのメリットは何だと思いますか?

R・N 4年生大学

自分の故郷で働くことで、ストレスがあまりない環境に居続けることができる点がメリットだと考えます。

M・W 学習院大学

自分が生まれ育ったなじみのある環境でのんびりと暮らせることだと思います。都市部の雑多とした雰囲気が嫌いな人にとっては向いてるかもしれないですよね。

K・U 名古屋学院大学

私もUターンのような就職を経験していますが、一番のメリットは生まれ育った地元で、自分が築き上げてきた人脈が活かせるということだと思います。

S・K 4年制大学

Uターン就職は、慣れ親しんだ土地、家族や友人といった人間関係のある場所で仕事ができる安心感が大きなメリットになると思います。Iターンも、自分が住みたい・働きたいと感じた土地に移ることで、モチベーション高く日常を過ごすことができるのではないでしょうか。

①生活費を抑えることができる

地方への移住をする大きなメリットとして、物価や家賃などが都市部よりも安いということが挙げられます

実際、住居の家賃が地方と都市部でどれほどの差があるのかをデータで見てみましょう。ここで挙げているデータは、都道府県別、1部屋単位での家賃相場の平均となります。

首都である東京の家賃と、マイナビキャリアリサーチが発表している地方移住の実態で移住先としての割合が多い県との家賃を比較すると、その差は歴然です。地方では4~5万円でワンルームに住むことが可能になり、最安値の栃木県の家賃相場は東京都の相場の約56%と半分の値段です。

<表:東京都と地方の1部屋の家賃相場>

都道府県 家賃相場 都道府県 家賃相場
東京都 75,886円 全国 52,994円
栃木県 42,657円 兵庫県 53,942円
茨城県 44,254円 広島県 49,207円
静岡県 48,229円 福岡県 52,190円

参考:全国賃貸管理ビジネス協会・全国家賃動向(2024年6月分)

お金に関するUターン・Iターンのメリットは?

M・N
M・N
4年制大学/情報科学部
物価が安く生活費の負担が少ないのは地方の特権

私自身、人混みが苦手なので、そういった点でストレスを感じない点と物価が安い点は地方就職のメリットだなと感じます。

都心に比べて物価が低いというのは、一人暮らしをするうえではかなり助かります。しかし、地方にいくほど平均収入も下がる傾向にあるので、一概にメリットだらけ、とは言えないかもしれません。それでも、Uターン就職の場合は、最大のメリットに生活費の負担が大幅に軽くなることが挙げられるため、金銭面での恩恵を受ける人も多いのではないでしょうか。

R・N
R・N
4年生大学/理系学部
節約したお金の使い道はさまざま!

Iターン、Uターンすることで得られる仕事面でのメリットは、精神的負荷が少ない中で、のびのびと働くことができることです。加えて、実家暮らしであれば、家賃代や光熱費、家具代などの費用を削減することにつながるため、貯金額を増やすことが可能という点も魅力的です。

その浮いたお金を投資などに回せば、実質的に都市では働くのと差はそんなにないのでは、と考えます。しかし、IT業界に属する企業においてはどうしても都市近辺に集まっているため、自身や会社の成長面で、都市に就職する方に軍配が上がると考えます。

②育児がしやすくなる

実家の近くなど周囲からの協力を得られる条件下では、子育てがしやすくなるのもメリットの一つです。育児の手が足りない場合でも、支援を受けながらの育児で仕事との両立がしやすい環境と言えるでしょう。

また、都市部の保育園や幼稚園では子どもの預かり枠に上限があり、いわゆる待機児童問題が掲げられている反面、子供の受け入れ先が充実している地域では預け先を見つけやすいという利点もあります

この記事では、女性が働きやすい会社について社会人たちの声を交えて解説しています。家族との時間と仕事との両立を重視したい人は、ぜひこの記事も参考にしながら移住先での仕事を選んでください。
女性が働きやすい会社とは? 現場の声から見極め方を解説

③自治体からの支援を受けることができる

地方の移住に際して、地方自治体や県によっては移住先からの助成金を受け取ることが可能です。優秀な人材や地方での生活希望者を獲得するために、移住にかかる費用の負担、移住先での就業支援、住居の費用援助、生活環境の保護など、サポートの内容は多岐に渡ります

中には地方へ移住後、起業した人に対しての起業支援金を出している自治体も存在します。どのような補助が受けられるかは、移住先の自治体によって変化するうえに、助成金を得られるかどうかは移住元によって異なる場合があります。Uターン・Iターンを検討する際は、事前に移住先自治体のホームページなどのチェックが必要です。

支援金・助成金の情報が記載されているHP:
・厚生労働省/人材の地方移動支援
・地方創生推進事務局/ ふるさと求人・移住支援金・起業支援金

④なじみのある場所・新しい環境で働くことができる

Uターンの場合は、自分の出身地に帰郷して生活するため、家族や友人を含めて、もともと属していたコミュニティに戻ることになります。すでに人間関係ができていることから、人間との交流に関してストレスを感じにくくなります。

また、Iターンで地方に移住する人にとっては新天地での新しい生活をスタートさせることができます。今までの生活とは異なることが多く、最初は慣れないこともあるかもしれませんが、新しい人間関係や趣味ができる可能性も高く、新鮮な気持ちで過ごしながら仕事をすることができます

生まれ育った土地にUターンすることのメリットは?

K・U
K・U
名古屋学院大学/経済学部
人脈を生かした仕事では地元は強力な味方!

Uターン就職についてメリットだと思うことは、自分が生まれ育った地元ですので、これまで自分が築き上げてきた人脈を最大限活かすことができる点ではないでしょうか。

営業の仕事をするうえで、慣れ親しんだ環境にいつつリラックスして会話を弾ませることができるので、初対面の顧客とも比較的早く仲良くなることができます。そのため、ビジネスチャンスをどんどん広げていけるうえに、都心部と比べて物価も安いので生活費を抑えることができます。

S・K
S・K
4年制大学/文系学部
土地勘があるからこそスムーズに仕事が進んだ

Uターンをすることのメリットは、やはりその土地に慣れていることだと思います。私自身、業務の中で、車や電車を使い移動する場面が多々あったのですが、地元であるがゆえに、調べなくてもなんとなく道や乗り換えがわかり、スムーズに行動できました。

また、ほかの人なら地図を要するような位置の確認作業でも、市区町村の名前を聞けば、ある程度の方向や場所がわかるため、調べる時間が非常に短く済み、効率よく業務を進めることができました。実際、地元外の企業へ転職した際、この点で苦戦したことがあり、地元で働くメリットを肌で感じました。

⑤プライベートを重視して働くことができる

地方での生活では趣味や余暇の時間が増える傾向にあります。これは、都市部への長時間出勤の時間が、会社の近隣に住むことで抑制できたり、生活費を押さえたことから経済的にも趣味にお金をかけられるようになったりと、時間的・経済的にゆとりが生まれるためです

ほかにも都会の慌ただしい生活や満員電車などの精神的ストレスから解放されたり、自然の中でのびのび暮らせることから心の余裕も生まれるなどのメリットが挙げられます。

Uターン・Iターンのメリットが自分自身の働き方に良い影響をもたらすかどうかは、働くうえでの「軸」を決めることでわかってきます。この記事を参考にしながら、転職の軸を見出していきましょう。
転職の軸を固める4ステップ|転職活動シーン別の活用方法付き

経験者が実際に感じた! Uターン・Iターンのデメリット

ここまではUターン・Iターンで地方での生活をするうえでのメリットについて解説してきました。

新しい生活環境を手に入れる転機となるUターン・Iターンですが、メリットだけに焦点を当てて実行すると、再就職や移住後にギャップを感じる可能性もあります。Uターン・Iターンのデメリットを経験者の意見も交えながら紹介していくので、実行に移すタイミングや移住先・就職先を選ぶときの参考にしてくださいね。

キャリアステージ編集部

Uターン・Iターン就職や転職をするときのデメリットはなんだと思いますか?

M・W 学習院大学

デメリットは都心と地方のさまざまな格差が挙げられると思います。たとえばコンビニエンスストアが少なかったり、すぐに受診できる医療機関がなかったり、などの不便な点です。

R・N 4年生大学

デメリットとして考えられるのは、交通の便が悪いことや、先端技術に触れる機会があまりないことだと思います。

D・T 千葉大学

地方ではやはりキャリアのチャンスが少ない可能性があります。人数が少ない職場では、マネジメント職のポジションも少ないですし、営業先なども限られてしまうためです。

K・U 名古屋学院大学

Uターン就職でのデメリットですが、地元での仕事になりますので、悪い意味で家族や知人との付き合いが多く、意識しすぎるとうまく仕事ができないときがあります。

S・K 4年制大学

Uターンの場合、地元の場所によっては就職先がかなり絞られることが大きなデメリットだと思います。やはり会社は都心部に集まっているので、地元で就職・転職しようと考えると、希望している業界や職種の求人に出会えないことも多いように感じます。また、出会えたとしても小規模な企業が多く、自分の望む経験ができるかと言われると、そうではないように感じ、応募に至らないこともありました。

①仕事の選択肢が限られる

人や企業が集まる都市部と比較すると、地方では求人の数が少ない傾向にあります。自分のやりたい仕事の募集がない場合には、より業界・職種の視野を広めて就職先を探す必要があります

しかし、企業の中には遠隔で業務するリモート勤務ができる可能性もあり、仕事を辞めずに移住をする・希望の職種で在宅で仕事をするなども選択肢の一つになります。

これまでの経験や専門的なスキルを活かしたい場合には、どこまで求人の選択肢を広げるか・妥協するかを決めなくてはいけない可能性があることは理解しておきましょう。

②初期費用がかかる

移住するにあたって考えなくてはいけないのが初期費用です。単純な引っ越し代金だけでなく、住宅への入居費、就職や転職にかかる費用を加味しなくてはならないほか、自動車での移動がメインになる土地では自家用車の購入など、予期せぬ出費が起こる可能性があります

また、移住先での生活を安定させるために、数カ月分の生活費をあらかじめ貯金しておくなど、ある程度経済的な余裕がないと移住自体が難しいことがあります。

③移住先によっては環境に慣れるのに時間がかかる

移住先に古くからの慣習があったり、移住元との気候が異なる場合は、環境に慣れるまで時間を要する場合があります。中には都市部から来た人間に対して警戒心が強い人もいて、最初から円滑なコミュニケーションが取れないことも考えられます。

また、子どもがいる場合は転校により周囲の人間関係がガラッと変わります。それをストレスに感じる子も一定数存在するでしょう。

都市部と比較して交通の便が悪いことも多く、なかなか理想のスケジュール通りに物事が進まないことも。都市部の移動のしやすさを想定していると、生活のリズムをつかむのに少し時間がかかる可能性もあります。

④スキルアップやキャリアアップがしにくい場合がある

最初のデメリットでも説明した通り、地方の求人や企業のポストは、都市部と比べても少ない傾向にあります。そのため、仕事を頑張っても上のポストが空くまでは昇格ができなかったり、求められる業務の違いから、スキルアップを図るのが難しかったりと、キャリアの面で許容しなくてはいけないこともあります

昇格や昇給よりも、自分にとって働きやすい環境を手に入れることが重要だ、というスタンスでいられるかどうかが重要になるため、優先順位をしっかりとつけておくことをおすすめします。

第二新卒の転職希望者で、「自分はスキルがあるからどんな会社にも入れる」と感じる人はそう多くないでしょう。ぜひ、この記事を参考にして、資質やこれまで身に付けた社会人としての素養をアピールして転職活動を上手に進める方法を学んでくださいね。
転職したいけどスキルがない……20代の体験談から学ぶ面接対策

Uターン・Iターンをするうえでデメリットだと思うことは何?

R・N
R・N
4年生大学/理系学部
業界によっては地方で学べないことも……

私はIT業界など、最先端技術を用いる業界の視点からデメリットに考えることを挙げたいと思います。Uターン・Iターンをするとき、この業界には、福利厚生、交通の便、自己成長の点にデメリットが発生しやすいと思っています。

IT業界における大企業は顧客や企業が東京や大阪などの都市近辺に集中しているため、地方に行けば行くほど、福利厚生の整った企業やいわゆるホワイト企業が少なくなっているという話を先輩から聞いたことがあります。また交通の便は慣れたら問題ないですが、自分で変えられるものではないので、やはり不便だという話もありました。

また、入社して時間が経っても、地方では最先端の技術や教育を受ける機会が減ることから、成長はあまり感じられないという話を伺ったことがあるため、そこがデメリットになると感じました。

M・N
M・N
4年制大学/情報科学部
交通の便は自分で変えたくても変えられない!

先輩にIターンを経験している方がいました。同僚や上司の人と話をする際に、就職した土地の感覚がまだなく、周囲との話についていけなかったり、方言などで微妙なニュアンスが伝わらなかったりと、主にコミュニケーションの面で苦労しているようでした。

また、勤め先が用意してくれたアパートに住んでいたのですが、通勤に徒歩30分程度かかり、バスも電車もないため、交通の観点からはだいぶ不便だと感じているようです。やはり、都心にいることの最大のメリットは公共交通機関が充実していることだなと改めて思いました。

K・U
K・U
名古屋学院大学/経済学部
地元だからこそ周囲に見られている意識がある……

Uターン就職のデメリットになりますが、自身の地元で働くことになるので、家族や友人からの面倒くさい依頼事やプレッシャーがあるということです。

家族、知人たちから甘えられると無碍に断りきれず、時間を多く割かなくてはいけない事態になることがあります。また、地元というアットホームなテリトリーなので、自分のことが周囲に広まりやすく、少しプライバシーが守られにくいという点もデメリットになるのではないでしょうか。

最近はオンラインセミナーや打ち合わせも増えたので楽になりましたが、稀に対面での打ち合わせもあるので、そういった際に出向かなくてはいけないこともデメリットだと感じます。

Uターン・Iターンがしたくなったら? 覚えておきたい手順を解説

uターン・iターンをするまでの流れ

ここまでは、Uターン・Iターンをしたときのメリット・デメリットを紹介してきました。

Uターン・Iターンで理想の生活を手に入れたい人は、すぐにでも動き出したいという人もいるかもしれません。しかし、納得のいくUターン・Iターンを実現させるためには、事前の入念な準備が必須です。

ここからは、Uターン・Iターンをしたくなった際に参考にしたい流れについて解説していきます。Uターン・Iターンの進め方に明確な決まりはなく、個人のスケジュールや状況に合わせて動くこともできるため、ここではあくまでおすすめの進め方を紹介しますね。

①Uターン・Iターンの目的を決める

まずはUターン・Iターンをする目的を決めましょう。たとえば、「自然がいっぱいの土地でのびのび子育てをするため」「静かな環境で穏やかに暮らすため」「実家の家族を助けるため」など、あらかじめどうしてUターン・Iターンをしたいのかを確認しておきましょう。

目的を決めると、万が一移住先の生活や働く環境が合わない場合となった場合にも、移住前の土地に戻るか、住み続けるかなど、原点に立ち返って冷静に次のアクションを考えられます。

また、温暖な気候の土地、都市部に近くある程度栄えている地区、病院やリハビリ施設まで交通の便が良い場所、など、移住地の候補地を絞るヒントになりますよ

②情報収集をして移住先を決める

決めた目的や生活の優先順位から、条件を叶えられる移住先を検討していきます。移住先を決めるにあたって、情報収集は非常に重要です。実際に住んでみてわからないこと以外は、なるべく事前に確認しておくことをおすすめします

また、地方自治体が移住者に向けた支援をおこなっていれば、補助金や生活の援助を受けることも可能です。

具体的な支援内容は、各県、各自治体のホームページ(HP)でも確認が可能です。ここでは、政府が方針として示している政策や地方移動へのサポートをしている機関を紹介するのでぜひ参考にしてくださいね。

Uターン・Iターンの情報収集の手段:
・厚生労働省/人材の地方移動支援
・東京労働局 東京ハローワーク/地方就職支援コーナー
・認定NPO法人 ふるさと回帰センター/移住相談について
・地方創生推進事務局/ ふるさと求人・移住支援金・起業支援金

③就職先を決め内定をもらう

移住先が決定してもすぐに引っ越しの準備をするのではなく、先に就職活動をおこない、内定を獲得しましょう。

実家に戻る以外の選択をする人には、就職先が決まらないまま移住をしてしまうと、移住後の生活費をまかなえなくなる、就職先に合わせて再び引っ越しが必要になる、などのリスクが発生します

そのため、通勤時間や方法を考慮して拠点を探せるように、まずは内定をもらうことを優先して就職活動・転職活動を進めていきましょう。

④移住先の住居を決める

移住先・就職先が決まったら、いよいよ住居を決定します。現在住んでいる土地と移住先の気候や環境が変化する場合は、移住後に体調を崩す可能性もあるため移住先で最寄りの医療機関をあらかじめ調べておくなどの工夫が必要です。

また、Uターン・Iターンのデメリットでも紹介したように、地方での生活は交通の便が十分に整っていなく、目的地まで思うように移動ができないことや、場合によってはインフラが移住前の土地より整っていない場合もあります。住居を見に行くときはゆとりを持った計画を立てましょう。

少し時間がかかってしまいますが、入居する前にはいくつか候補を絞って、現地に赴いたうえで住居を決められるといいですね。自治体の中には移住体験として短期間現地に宿泊できる制度を導入している地域もあります。生活環境や災害リスク、現地の物価、治安なども併せてチェックしておきましょう

⑤現地へ移住する

移住先、就職先、転居先が決まれば、いよいよ現地への移住です。引っ越し業者に依頼し、通常の引っ越しと同じ要領で移動をしていきます。

また、地域や自治体から支援金を受け取りたい場合、移住後や現地での就業後に、自主的に申請をする必要があります。各自治体によって申請のタイミングは異なりますが、支援を受けたい人は忘れずに市町村への問い合わせをおこないましょう。

Uターン・Iターン経験者は移住前に何をしていたの?

R・N
R・N
4年生大学/理系学部
地方での暮らしをシミュレーションするためにインターンに参加していた

IT業界でシステムエンジニア職に就いた先輩の話になります。都市部の大学に通っていたことから、就職するまでに、地方での生活がどのようなものか思い出す必要があったようです。具体的にどんな生活になるのかシミュレーションするために、地方にある企業のインターンに参加したようです。

実家からインターンに参加したらしいのですが、交通面は相変わらず不便だったとおしゃっていました。しかし、長期インターンにも参加するうちに、以前の慣れを取り戻したそうです。

D・T
D・T
千葉大学/法政経学部
現地で泊まり込みの選考や引っ越しをしていた

農業業界の植物工場に関する企業に就職した先輩は、いわゆるIターンを経験していました。基本的に就職活動はオンラインでおこなっていたようですが、インターンや最終面接などは現地に泊まりがけで行っていました。

合格後は大学卒業まで特にやることはなかったようですが、春休みには引っ越しをおこない、職場の近くに住んでいました。卒業前の春休みの期間などは、その先輩をはじめ何人かは就職前に内定者向けのアルバイトをしたらしく、そのおかげもあってか徐々に生活に慣れることができたとお聞きしました。

Uターン・Iターンをしながらの転職を考えている人は、まずこちらの記事を読んでみてください。転職を成功させた人たちの体験談を参考に、漏れなく準備を進めていきましょう。
転職準備みんなは何をした? 実体験から紐解く転職準備のススメ方

Uターン・Iターンはただの移住ではない! 経験者から学ぶ注意ポイント

ここまではUターン・Iターンをするときの具体的な流れについて説明してきました。しっかりと手順を理解すれば、Uターン・Iターン自体は極端に難しいということはありません。流れを見てみて、のびのび穏やかな暮らしを手に入れることを魅力に感じる人もいるのではないでしょうか。

しかし、Uターン・Iターンはただの引っ越しではなく、人生のターニングポイントにも成り得ます。Uターン・Iターンをした後の暮らしが「こんなはずではなかった」と後悔しないよう、ここからは経験者が実感した移住に際しての注意ポイントを紹介します。

生活全体が変化する

Uターン・Iターンの中でも、特にIターンをする人は生活環境が大きく変化することを覚悟しましょう。前でも解説した通り、「旅行したら良い場所だった」という土地でも、実際に暮らすとなると、近隣住民とのコミュニケーションが難しい、観光地の周りしかインフラが整っていない、季節によって住みやすさが違う、などの落とし穴があることも

また就職・転職活動のための時間や住居の契約や移動費など、ある程度の時間と費用がかかるため、なんとなくの憧れや思い付きで判断していないかは適宜見直すようにしましょう。

家族や周囲の理解を得ることが必要となる

Uターンなどで実家に帰る決断をする人や、結婚・出産などを機に移住を検討している場合は、家族とよく話し合いをすることをおすすめします

地元に帰郷する場合、実家にいる家族のスケジュールやルール、ルーティーンと仕事の予定を合わせるなどの配慮が必要になる可能性もあります。

また、配偶者がいるのであれば、相手が見知らぬ土地で生活をすることにストレスを感じないかどうか、子どもが学校に通っているのであれば、説得したうえで転校の手続きを踏む必要があるなど、事務的なタスクだけでなく精神面のケアをおこなうのも重要になりますよ。

持っているスキルや経験が活かせない場合がある

首都圏や都市部と比べ、地方では求人の数や選択肢が限られます。そのため、進学し大学で学んだことや仕事で得られたスキルを、地元では活かせない可能性があります。

例外はありますが、身に付いているスキルが専門的であればあるほど、「学んだことを活かす」ということが難しくなる傾向にあるため、仕事の内容と理想のキャリアプランにギャップが生じることが考えられます。

働き方と生活環境、自分の持っているスキルやキャリアプラン、どれを重視してUターン・Iターンをするのか、自分の中の優先順位は明確にしておきましょう

UターンやIターンで地方に移住するときの注意点は?

R・N
R・N
4年生大学/理系学部
実際に生活することで実感する不便さもある

実際にUターンした先輩や、Jターンした友人に話を聞くと、大学が都市部であったことから、その環境に慣れてしまっていて、インターンなどの短期滞在では感じなかった不便さを就職後に実感するようになったとのことです。

アドバイスとしてもらったのは、「地方に住むデメリットと都市部でのデメリットを天秤にかけ、地方の企業でのびのび暮らしたいのか、競争力のある都市の企業で即戦力としてすぐにでも成長したいのか」という軸で就職先を決めるのが良い、ということでした。

M・N
M・N
4年制大学/情報科学部
なんとなくの理由ではなく目的を決めて実行しよう

昨今の就活の傾向だと、キャリアアップを望む場合は上京がマストといった風潮があるように感じられるため、Uターン・Iターンなどで地方に就職する選択肢については、長期的な目で考える必要があるのかなと感じます。

なぜ地方就職がいいのか、目的がしっかりある場合はもちろん良いのですが、なんとなく「働きやすそう」「自由そう」など理由が曖昧な状態では、自分が後悔しないように冷静に考えるべきだと思います。

地方で働くメリット・デメリットをそれぞれ理解したうえで、今自分がしたいことや将来なりたい像とうまく照らしあわせていければベストだと思いますよ。

自分はUターン・Iターンをすべき? と迷ったときには、自分にとってのやりがいについて考え、移住のメリットやデメリットと比較するのもおすすめです。社会人たちの体験談をチェックしながら、生きていくうえで、働くうえで何を大切にしたいのかを明確にしていきましょう。
やりがいとは|みんなの体験談をヒントに導く「やりがいの見つけ方」

Uターン・Iターンは理想の働き方を叶える選択肢! 目的を明確にして検討しよう

この記事では、Uターン・Iターンに関する基礎知識から、得られるメリット・デメリットについて、経験者の声を交えながら解説してきました。

働き方が自由に選べるようになった近年では、Uターン・Iターンは生活を大きく変える転機にもなります。Uターン・Iターンなどの地方への移住には、支援制度や時間的なゆとりを得られるというメリットがある反面、慣れないうちは生活環境の変化に疲労したり、ギャップに悩んだりと苦労もあります。

「必ずこうでなくてはいけない」という決まりがあるわけではないので、自分の理想的な働き方や生活について一度じっくりと考え、目的を決めたうえで検討しましょう。

編集責任者 伊東 美奈

キャリアステージを運営するHR team(旧リアステージ)に新卒入社。キャリアアドバイザーとして1,500名以上の就活生を支援する傍ら、長期インターンサービスの立ち上げや人材開発業務を担当。マーケティング事業に異動後、理系学生の就活支援メディア「Digmedia」の編集長・エントリーシート共有プラットフォーム「イールック」の運営責任者を務める プロフィールをみる