将来どうなるかわからない時代だからこそ! キャリア形成で探っておきたい自分の価値観
テクノロジーが目覚ましく発展し、労働観も大きく変わっていく現代社会において、自分らしい生き方を見つけることは容易ではありません。しかし、だからこそキャリア形成の重要性が高まっています。
キャリア形成に取り組むことで、変化が激しく未来の予測ができない時代を意味する「VUCA(ブーカ」にも柔軟に対応するための、土台となる力が養われます。同時に、自分の価値観を明確にし、長期的な視点で人生について考えるチャンスにもなるでしょう。
本記事では「漠然としていて難しい」と思われがちなキャリア形成とは何か、そしてどのように考えていけばいいのか詳しく解説します。
先輩たちがどのようにキャリア形成をおこなったのか、具体的な体験談も多数紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
キャリア形成って何? 知っておきたい基礎知識
まずは「キャリア形成」という言葉の意味を正しく把握しておきましょう。キャリア形成を考えるのが難しいと言われるのは、この言葉の意味が曖昧なまま使っているケースが多いからです。
ここでは「キャリア形成とは何か」という問いへの解答を、キャリアに関するほかの用語との違いと併せて説明します。
キャリア形成の定義
キャリア形成とは、個人が仕事をする中でさまざまな経験を通してスキルを身に付け、自己実現を目指していくプロセスのことです。目の前の業務にやみくもに取り組むだけでなく、理想の将来像を定め、そこへ向けて行動を積み重ねていくという考え方を指します。
キャリア形成とは
- 自分の「将来なりたい姿」を明確にイメージすること
- 理想の自分になるために計画的に行動を積み重ねること
- 仕事を通じて必要な経験をしてスキルを獲得していくこと
キャリア形成とは「どう働きたいか」という短期的な目標を越えて「ビジネスパーソンとしてどう生きたいか」を考える、自己探求のための考え方であると言えるでしょう。
キャリアパス・キャリアプラン・キャリアデザインとの違い
「キャリア◯◯」には似たような言葉が多く、それぞれの意味の違いがわからないという人も多いかもしれません。そこで、いくつか似たような言葉の定義も紹介します。
キャリアパス
キャリアパスとは、特定の企業の中での出世や異動に関する概念です。入社後の出世パターンや、部署間の異動に関する予測を元に設計します。「5年後には企画部で主任クラスになり、10年後に課長へと昇進する」といった具体的な目標設定が、このキャリアパスにあたります
キャリアプラン
キャリアプランは、「働く」ということに焦点を当てた人生設計全体を意味する言葉です。スキルアップや転職、昇進まで含めた目標を立て、それらを達成するための道筋を考えます。たとえば「3年間は専門スキルを磨き、その後スキルを活かしてキャリアアップのための転職をする」といった内容を指します
キャリアデザイン
キャリアデザインとは、仕事とプライベート両方を含めた人生全体の設計図を描くことです。「5年間は仕事に全力投球し、可能であれば独立したい。家庭を築いたらワークライフバランスを重視できるように、それまでに収入を上げておく」といったビジョンがこれにあたります
キャリア形成とは、キャリアデザインで描いた将来像や、キャリアプランで立てた目標に向けて、どう成長するかを具体的に考えていく、幅広く持続的な捉え方なのです。
「キャリア◯◯」には、キャリアビジョンという言葉も存在します。詳しい意味や就活での役立て方を知りたい人は、こちらの記事もチェックしてみてくださいね。
「やってよかった!」先輩たちのキャリア形成体験談をチェック
目の前の就活へ精一杯な人のなかには「先のことなんてはっきりわからないのに、いまの段階でキャリア形成をする意味なんてあるの?」と思う人もいるでしょう。
就活中のキャリア形成は、面接で質の高い回答ができるようになったり、モチベーションアップにつながったりと、内定獲得に近づく手段の一つとして役立ちます。実際に、キャリア形成をやっておいて良かったと感じている先輩の意見を聞いてみましょう。
私は12月頃からキャリア形成に本格的に取り組み始めました。それまでの就活では明確な軸がなく、幅広い業界や職種を漠然と見ていました。正直、モチベーションが上がらず中だるみしていた時期もあったと思います。しかし、将来のキャリアを具体的に考えることで、目標が明確になり、今すべきことも整理できました。
企業によって用意されているキャリアが異なる面にも着目した
キャリア形成には、インターネットの情報や、実際に働いている先輩たちのキャリアパスを参考にしました。企業ごとに既存のキャリアパスがあるため、それを理解することも重要です。
早めにキャリア形成に取り組み、将来を見据えることで、就活の方向性が定まり、活動の長期化も防げるのではないでしょうか。
私が初めて真剣にキャリアを見つめ直したのは、転職を考え始めたときでした。当時はまだ社会人経験が浅かったため、比較的近い数年後に焦点を当て、自分がどうなっていたいか、そのために今何をする必要があるのかを整理しました。その結果、前職では目指す姿を実現できないとわかり、転職を決心したという次第です。
忙しくてもときどき立ち止まって振り返る時間を作ることが重要
転職後も、ときどき自分のキャリアについて考える時間を取るようにしています。そのおかげで、以前より長期的な視点を持って仕事に臨めるようになりました。日々の業務に忙殺されがちですが、自分が本当に目標に向かって進んでいるかを確認し、自分自身を鼓舞することは重要だと思います。
すぐにキャリアップを実現させていと考えている人は、ぜひ次の記事を読んでみてください。ベンチャー企業の特徴や、求める人材の特徴などを紹介しています。参考にしてみてください。
メガベンチャーとは? 主な21社と選考対策を解説|面接体験談付き
「こうすればよかった」キャリア形成について先輩たちが後悔・反省していることは?
キャリア形成をしてみたものの、後になってから「もっとこの点を掘り下げておけばよかった」「一生懸命考えていたこの項目はあまり意味がなかった」と後悔しているケースは珍しくありません。実際に働いてみないとわからない項目は、思いのほか多いのです。
そこで先輩たちに、キャリア形成に関する「こうすればよかった」という後悔・反省ポイントについても赤裸々に質問してみました。
キャリア形成においてもっと長期的な展望を描いておくべきだったと後悔しています。就職活動中は目先の市場動向や最新ニュースの動きばかりを気にしてしまいました。面接やインターンでは、10年後、20年後の自分の活躍や、志望企業の社会貢献、さらには海外展開についてなどをもっと語れるように準備しておけば良かったです。
実際にどうなるかは別として自分の意見を持つことが大切
もちろん実際に将来どうなるかは誰にもわかりません。しかし、だからこそ「自分はこうしたいと思っている」という情熱を語ることで、もっと好印象を残せる可能性があったような気がします。自分のこれまでの経験から得られた知見と企業の展望を重ね合わせながら、より長期的な視野をアピールすれば良かったなと思っています。
私は「転勤がない」「転勤はあるがエリア限定」のような、勤務地を絞った仕事の探し方をしていました。就職活動が終わってみてから、もう少し福利厚生や待遇面、働きやすさなども考慮し、きちんとキャリア形成をおこなってから行動すれば良かったかもしれないと反省しました。
自分の上限を決めずに幅広く考えた方が良い
キャリアを考える際に視野を狭めすぎたり、自分で勝手に「これは実現できないだろう」と上限を設けてしまったりするのは勿体ないと思うため、せっかくの新卒カードを無駄にしないように、しっかり考えた方が良いと思います。
また、キャリア形成の段階では「私はこれがやりたい」と思っていたものが、実際に働いてみたら自分に合わない可能性もあるので、さまざまなケースを想定しておくことも大切です。
私の反省点は、掲げたビジョンに対する自分の思いが、刻々と変わっていくという可能性に思い至らなかった点です。私は「このビジョンを達成したい」という目標を立てた後、それを見直すことなく固執し続けてしまいました。しかし、時間が経つにつれて、そのビジョンと「今、やりたいこと」の間に乖離が生じてしまいました。計画の時点でもっと柔軟性を持たせておけば良かったと感じています。
自分の中の変化するものとしないものを明確に分けていく
結果的に、自己啓発本を読んだり、同僚や先輩にアドバイスを貰ったりしながら、自分のキャリアプランを立て直すことにしました。その結果、自分の中の変化した部分や、反対に変わらない軸の部分が明らかになり、より洗練されたキャリア形成をおこなえたと感じています。
一度決めたからとやみくもに追求するのではなく、常に自問自答を繰り返しながらキャリアを歩んでいくことが重要です。
キャリア形成が注目されるようになった4つの背景
キャリア形成への関心が高まる背景には、社会や経済の構造的な変化があります。ここからは、その主な要因を4つ挙げ、詳しく解説します。これらの変化を把握すれば、キャリア形成の重要性がよりはっきりとわかるでしょう。
①終身雇用制度の変化
かつての日本企業では、新卒時に入社した会社で定年まで働き続けるという終身雇用制度が一般的でした。しかし、経済のグローバル化や競争の激化により、この制度は徐々に崩壊しつつあります。
これに関しては、独立行政法人労働政策研究・研修機構の「年齢階級別平均勤続年数」を見れば明らかです。22歳で入社して一社で働き続けた場合、30~34歳であれば10年近く、40~44歳であれば20年近い勤続年数になるはずです。しかし実際には30~54歳までの幅広い世代で、平均勤続年数は「年齢-22」より短くなり続けています。
今は転職が一般化し、複数の企業でキャリアを積むことが珍しくなくなった結果、自身のキャリアを主体的に考える必要性が高まっている時代です。労働の柔軟性が増したとも言えますが、その分一人ひとりが自分の人生設計をおこなわなければならなくなったとも考えられるでしょう。
②個人のスタイルに合わせた働き方の多様化
現代では、働き方の選択肢が大幅に増加し、個人の価値観やライフスタイルに合わせた労働が可能になってきています。
従来は、大学を卒業したら「まずはちゃんと正社員に」という風潮が強くありました。しかし今は副業、フリーランス、パートタイムなどさまざまな雇用形態が広まり、それらを組み合わせて働く人が増加しています。テレワークの普及も大きな影響を及ぼしているでしょう。
多様な働き方を選択できるからこそ、自己理解を深め、明確なキャリア形成をおこなうことが求められる時代なのです。
③AIをはじめとしたテクノロジーの急速な進化
技術革新の進歩による働き方の変化も、キャリアを考える際に無視できなくなってきています。
AI(人工知能)やロボットによる自動化が進み、人間の仕事の一部が代替されるようになりました。今後も新しい技術やツールの登場によって、今後もビジネスパーソンは常に新しいスキルを習得することが求められるでしょう。DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務プロセスの変化にもついていく必要があります。
このような動きの激しい時代の中で、個人には常に最新の知識やスキルを習得し、変化に適応する能力が求められます。同時に、人間にしかできない創造的な仕事や、生の対人スキルの重要性も高まっていると言えるでしょう。
未来のことが完全に予測できない状況のなかでも、これから伸びるとされている業界を知りたい人は、こちらの記事をチェックしてみてください。
④人生100年時代の到来
医療の発達などで平均寿命が長くなり、今では「人生100年時代」という言葉も当たり前に耳にするようになりました。これによって従来の「教育→労働→引退」という単線的な生き方にも変化が生じています。
技術革新の激しい現代において、生涯にわたる学習は欠かせません。たとえば、スマートフォンが普及したここ15年ほどで、日常生活も仕事への取り組み方も大きく変化しました。さらに15年後にどうなっているかは、誰にも予測できません。つまり、何か新しいことが起こるたびに学ぶ必要があるということです。
変化に対応するためには、大学を卒業して就職した後も、常に情報を取り入れる姿勢を持つ必要があります。目標を定め、継続的に成長していくことで、長い人生を豊かに過ごせるようになるのです。キャリア形成は、この学びの軸を定めるツールとなるでしょう。
どう役立つの? キャリア形成をおこなう5つのメリット
キャリア形成は、将来の計画だけでなく、現在の仕事や生活にも大きな影響を与えます。大きな目標があるからこそ、今やるべきこともわかりやすくなるのです。ここからは、キャリア形成がもたらす5つのメリットについて具体的に紹介します。
①自分の将来像が明確になる
キャリア形成をおこなう際の自己分析を通して、自分自身の強みや弱み、価値観がはっきりわかるようになります。これによって、漠然としていた将来の姿がより具体的に見えるようになるでしょう。
たとえば「自分のアイデアを実現させるために、10年後にはSDGsに携わる部署のリーダーになる」といった明確な目標が立てられるようになるのです。
目標が定まれば、そこに向かうための道筋も見えてきます。必要なスキルや経験が明らかになるため、日々の行動に一貫性も生まれるでしょう。また、転職などの際にも、自分の価値観や目標に照らし合わせて判断できるため、より自分らしい道を選べるようになります。
キャリア形成によって、自身の将来像はより明確になりましたか?
会社の中で具体的にどんな立ち位置で活躍していきたいかという目標を定められ、日々の業務への取り組み方も変化したと感じています。
キャリア形成をおこなったことで、自分が将来どうなりたいのかが明確になりました。普段の行動にも良い影響が出ていますし、自分のビジョンに共感してくれる仲間もできました。
②モチベーション高く仕事に取り組める
キャリア形成によって目標を定めることで、日々の業務にも大きな意義を見出せるようになる効果が期待できます。今の仕事が将来のキャリアにどうつながるのかがわかるため、些細に感じられる業務でも意味のあるものとして捉えやすくなるのです。
たとえば将来起業を考えている人の場合、営業職としてのハードな顧客対応に対しても「今トークスキルを磨いておけば、将来自分の会社を広げる際に役立つはずだ」と前向きに取り組めるでしょう。
仕事の質が向上すれば、周囲からの評価も高まります。それによってさらにモチベーションが高まり、さらに好循環を招く効果が期待できるのです。
③環境の変化に柔軟に対応できるようになる
キャリア形成を意識することで、継続的なスキルアップや、幅広い経験を積むことが促進されます。これによって、新たな技術や環境の変化に適応する力が身に付きます。
たとえば、自主的に新しい技術の情報について取り入れ、前向きに学ぶ習慣を身に付けていれば、業務のデジタル化といった変化にも前向きに対応できるようになります。
とはいえ、社会人全員が先進的なツールが必要があるとも言い切れません。自己分析を繰り返し、自身の強みや適性をより深く理解することで、今の自分が取り入れるべき技術の取捨選択もできるようになるでしょう。
「自己分析が重要だと言われても、どこから取り組めばいいのかわからない」という人もいるかもしれません。こちらの記事で自己分析の意義や具体的な方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
④自分の「市場価値」を高められる
キャリア形成をしてからの意識的な行動によって、計画的なスキルアップが可能になります。先々の目標に応じて、汎用的なスキルを幅広く高めながら、後に必要となる専門スキルを重点的に獲得できるようになるのです。
たとえば常に最先端のデジタルスキルを身に付けていきたいと考える人であれば、DX関連の事業に携わりながら、関連する資格を取得するといったルートが考えられます。その資格を活用し、DX専門のコンサルタントとして転職あるいは独立するという道も開けてくるでしょう。
自分の市場価値を高めていけば、キャリアの選択肢も広がります。社内でも重要な役割を任されるだけでなく、転職する際にも高く評価されるようになるため、メリットが多いと言えるでしょう。
キャリア形成の際に「自分の市場価値」を意識していましたか?
私は転職をしない前提で就職活動をおこなっていたため、市場価値についてはそこまで意識していませんでした。今もあまり意識していません。
市場価値は意識しました。幅広いスキルを自主的に身に付けたいと考えていたので、副業が可能な企業を探すようにしていました。
私はある程度自分の市場価値を意識していました。客観的な自分への評価になると考えたからです。社会人歴が長くなるほどシビアに見られるので、きちんとそれに見合ったスキルを身に付けて成長しなくてはならないと感じています。
市場価値は常に意識しています。働く業界や職種によって評価される観点が大きく変わるため、自分に必要な要素を見極め、その部分を特に意識しているという感じです。
⑤ワークライフバランスが向上する
キャリア形成とは、単に仕事上の目標を達成するだけでなく、人生全体を見据えた考え方です。実現したいゴールから逆算しながら、仕事と私生活のバランスを意識的に設計できるようになります。
たとえば、30代後半ごろには管理職としてのキャリアを積み重ねながら家族との時間も大切にするという目標を立てた場合、20代の間には何をどこまで頑張る必要があるかが見えてきます。するべき努力と、今は後回しにしても良い努力の区別もつけられるようになり、要領良く業務に取り組めるようになるかもしれません。
長期的な視点で働き方を考え、無理のないペース配分をおこないましょう。ワークライフバランスのとれた生活によって、キャリアの成功と個人の幸福の両方を手に入れることができるのです。
就職活動の際に、ワークライフバランスについてはどう考えていましたか? 現在の考え方も併せて教えてください。
就職した時点では、「平日にどれだけ残業があっても構わない」「仕事に本気で向き合おう」と考えていました。しかし、実際に結婚などを経験してからは、ワークライフバランスの取り方を意識せざるを得なくなってきたと感じています。
新卒で入社した頃は、休みよりもお金が欲しいと考えて精力的に働いていましたが、結婚して子供が生まれてからは時間の方が大切になり、ワークライフバランスへの意識が変化しました。
働く側だけじゃない! キャリア形成が企業にもたらすメリット3選
キャリア形成は、実は個人だけでなく、企業にとっても大きなメリットをもたらします。厚生労働省も、社員の育成や定着支援のために、企業がキャリア形成のサポートをすることを推進しています(キャリア形成・リスキリング推進事業)。従業員が目標意識を持って成長することで、組織全体の発展にも寄与するのです。
ここからは、企業が従業員のキャリア形成を支援をすることで得られる3つのメリットを解説します。
従業員の満足度・定着率向上
キャリア形成を積極的に支援する企業においては、従業員の満足が高まり、結果として定着率も向上します。目標に向けた成長を実感しやすい環境になるため、一人ひとりのモチベーションが維持され、企業に貢献できるように努力しようと考える企業エンゲージメントも高くなるのです。
現代では、特に若手社員の流出を防ぎ、長期的なスパンでの育成をすることが、多くの企業にとって急務となっています。長く働く従業員が増えることで、企業文化の継承や業務の効率化も促進されるでしょう。
組織の柔軟性と適応力の強化
個々の従業員がキャリア形成を通じてさまざまなスキルを身に付けると、組織全体の柔軟性や適応力も高まります。
いくら経営者といっても、世の中のすべてに対してアンテナを張って事業をおこなうことは困難です。しかし個々のキャリア支援をおこなっておけば、市場の変化や新技術の導入といった予期せぬ状況に直面した際にも、素早く対応できる人材が育つのです。
これによって、企業は新規事業の展開や業務改革などにも迅速に取り組めるようになります。従業員のサポートをすることが、結果的に自社の持続的な成長につながるのです。
人材育成コストの最適化
従業員の自発的な成長を促すキャリア形成支援は、人材育成コストの最適化というメリットももたらします。従業員一人ひとりの興味や適性に合った育成が可能となるため、効率的に自社の人材の質を高めることができるのです。
たとえば同じ人事に携わる社員の中にも、デジタルスキルを高めて業務の効率化を推進したい人もいれば、社内コーチングの仕組みを確立して社員一人ひとりの満足度を高めたいと考える人もいるでしょう。
個々の従業員が自身のキャリアに責任を持ち、主体的に学習に取り組むようになれば、個人と企業の双方にとってWin-Winの仕組みが生まれるのです。
内定者に聞いてみた! キャリア形成は就活にどれくらい影響する?
ここまで読んできて「キャリア形成がどのようなものかは大体わかったけれど、実際に働く前に考えておく必要が本当にあるのかな…」と思う人もいるかもしれませんね。
そこで先輩たちに、キャリア形成と就職活動の関連性について、実際のところどうだったかリアルな声を聞いてみました。
私はIT業界のエンジニア職を志望していました。近年AIの活用が盛んになり、企業でも導入する例が増加しています。幸いなことに、私の大学にはキャリアについて学べる講義があったので、キャリア形成の重要性は早くから認識していたほうだと思います。
就職活動の前に自分のキャリア像を可視化できていたことは、企業選びの際に大いに役立ちました。その企業の現在の事業だけでなく、将来的にAIを活用した開発に着手しそうかどうかを予測しながら、絞り込んでいくことができました。この視点は、キャリア形成をしていなかったら持てなかっただろうと思います。
私は、IT・コンサル・サービス・金融など、さまざまな業界を志望していました。キャリア形成を事前に考えておいて良かったと感じたのは、実際の選考過程で「自分がどうしてその職に就きたいのか」を言語化できるようになったことです。
この過程で、特にIT業界に関する自分の思いが明確になりました。SESとして顧客先常駐の正社員になるのではなく、ほかの職種で働きたいという気持ちが強くなったのです。業界を絞っても、その中の職種はさまざまです。自分が将来どういう働き方をしていきたいのかを考えておけば、きっと役立つと思います。
キャリア形成を意識することは就活にも大きく影響するという声が見られました。しかし、それは単純に「内定を取りやすくなるから」のような短期的な考えではありません。キャリア形成は、自分らしい生き方の実現に向けて、最適なスタートを切るための重要な考え方であると言えるでしょう。
キャリア形成の6ステップ
より自分らしいキャリアを描けるようになるには、キャリア形成を計画的に進めることが大切です。ここからは、具体的にどういった手順でキャリア形成について考えればいいのか、厚生労働省が提唱する6つのステップ(厚生労働省(2001年)キャリア・コンサルティング技法等に関する調査研究報告書の概要)を参照しながら解説します。
実際に働き始めてからの項目も含まれるため「自分の場合はどうなるかな」と想像しながら読んでみてくださいね。
キャリア形成をどのようにおこなっていたか教えて!
私が取り組んだキャリア形成の手順はいたってシンプルでした。まず目標を立て、次に実現するために必要なスキルや経験が何なのかを洗い出します。そして、目標から逆算して具体的な成長プランを考えました。
私の場合は「システムエンジニアとしてスペシャリストになり、後輩の育成に尽力する」という目標を立てました。プログラミングのスキルが必要なのは理解していましたが、案件を着実にこなすためにはマネジメント能力なども求められると気付けたのは、キャリア形成に取り組んだおかげです。
キャリア形成をおこなうにあたって、まずは自分の能力を客観視するために徹底的に掘り下げました。また、最終的にどうなっていたいのかという目標も箇条書きにして書き出し、はっきりさせました。
その次に、目標とした将来像と現状のギャップを考えます。「今でもできていること」「今不足しているもの」を分けて洗い出すのがポイントです。それから後者を解決するための行動計画を、3年後、5年後と期間で区切りながら立てました。
①自分のやりたいことや大切にしたいことを分析する
キャリア形成をおこなう際には、まず自己分析を通じて、自分自身の興味や価値観、強み、弱みを深く掘り下げます。たとえば「創造的な仕事が好き」「人々の生活を便利にすることに関心がある」といった、自分の方向性を発見する段階です。
ここでは過去の体験を振り返りながら、自分がどんな時に充足感を覚えるのか、何に対してなら情熱的に努力できるかを考えることが重要です。ここはいわば自分の軸や土台を固めるステップであり、その後のすべての過程の基盤となるため、じっくり時間をかけて考えるようにしましょう。
②さまざまな職業や働き方の選択肢を調べる
自己分析が終わったら、その結果を踏まえて、自分の興味関心や強みを活かせる職業や働き方について幅広く調べてみましょう。たとえば創造的な仕事をしたいと考える人であれば、企業の広報担当やWebメディア制作関連職、UI/UXデザイナー、インテリアデザイナーといった選択肢が見えてくるかもしれません。
業界研究や企業研究をおこなう際には、インターネットや書籍で調べるだけでなく、実際に働いている人の生の声も聞くことが重要です。自分の強みを最大限に活かせる仕事にはどのようなものがあるか、OB・OG訪問やカジュアル面談の際に相談してみましょう。
そうは言っても自分に向いている職業が何なのか、まだはっきりわからないという人もいるでしょう。こちらの記事では適職の探し方を解説しています。実際に働いてみてギャップを感じた先輩たちの体験とともに紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
③実際に経験してみながら自分の適性を確かめる
気になる職業が決まったら、可能であれば実際に働いてみるのがおすすめです。ボランティア、アルバイト、インターンシップなど、さまざまな形で実践的な経験を積むことで、自分に合った職業を見つけられる可能性が高まります。
「個人主体で進める仕事かと思っていたが、想像以上にチームワークが重要だった」「調整業務が多く、交渉力も求められるとわかった」など、自分のイメージと実際の仕事内容との間には少なからずギャップがあるものです。それらの要素も踏まえて、自分の適性と目指す職業の擦り合わせをおこないましょう。
④自分の価値観に基づいてキャリアの方向性を選択する
これまでのステップで得た情報や経験を元に、自分のキャリアについて現時点での方向性を決定します。たとえば「大手IT企業のUXデザイナーとして働く」「ベンチャー企業で新規サービスの企画や開発に携わる」など、ある程度具体的なところまで絞り込まれてくるのが理想です。
あくまで「現時点で」の方向性なので、完璧な選択をしなければとこだわる必要はありません。自分の価値観や長期的な人生設計を考慮しながら、実際にやってみたいと思えるプランを考えましょう。
⑤選んだキャリアに向けて具体的な行動を起こしてみる
歩んでいきたいキャリアの方向性が定まったら、できるところから具体的な行動を起こしましょう。必要なスキルの習得や資格の取得など、目標達成に必要な準備を進めます。
たとえば既にコーディングスキルを持つ人が、Webデザイン系の職業に就きたいと考えたとします。まずは業務に必要なスキルを細分化して、既にできることとまだできないことを整理してみてください。後は足りない部分を補うために、プロダクトマネジメントに関する書籍を読んだり、色彩に関する勉強をしたりすれば、デザイナー職に就ける確率を高められるでしょう。
大きな目標を実現するためには、まず小さな一歩から始める必要があります。自分のやるべきことを見据えて、実践してみましょう。
⑥新しい環境で自分の力を発揮し成長する
実際に目標への第一歩を踏み出したら、新しい職場で自分の力を発揮して、さらなる成長を目指していきます。たとえばWebデザイナーとして配属された場合、デザインスキルを伸ばしつつ、ほかの部門の担当者とのやり取りを通して、マーケティングなどの発展的なスキルを身に付けていくイメージです。
ここで重要なのは、常に自己評価と実際の環境の分析をおこない、必要に応じて軌道修正をすることです。キャリア形成は一度考えたら終わりというものではなく、生涯を通じて続けていくプロセスであることを忘れないようにしましょう。
キャリア形成に必要な4つの力とは
キャリア形成を効果的なものにするには、いくつかのスキルや能力が重要となります。ここからは、文部科学省の資料(参照:文部科学省.キャリア発達にかかわる諸能力(例)」(4領域8能力)の開発過程について)をベースに、4つに分けて解説します。いずれも自分らしいキャリアを設計するために、ぜひ意識的に伸ばしていきたい重要なものばかりなので、ぜひ覚えておきましょう。
キャリア形成をするうえで必要な力が何かを教えて!
キャリア形成をするうえで必要な力は何だと思いますか?
計画性が重要だと思います。自分が何をすべきか明確にし、達成に向けて行動できるからです。トラブルが起きた際に臨機応変に対応するためにも、計画性が役に立つと思います。
将来を見通す力と計画性だと思います。変化の激しい時代だからこそ、社会の情勢を把握しながら効率的にスキルを高める必要があると考えています。
自分の得手不得手や特徴を客観的に把握する力と、自分がそのとき、その企業でやるべき仕事を冷静に見極める理解力が必要だと思います。
私はエンジニアなのですが、この仕事のキャリアを形成するうえで必要なのは、自身の得意分野に関する深い技術知識と実際の経験、そして新しいツールや技術に対する積極的な興味関心だと思います。
①人間関係形成・社会形成能力
人間は誰しも、一人だけでキャリアを歩んでいくことはできません。人間関係形成・社会形成能力とは、効果的なコミュニケーションを通じて他者と協働する力のことです。具体的には、他者の個性を理解する力、適切に自己表現をおこなう力、チームワーク、リーダーシップなどが含まれます。
現代社会では、性別、年齢、価値観などが異なる多様な人材が活躍しています。そのような中で、他者と力を合わせ、新たな社会をつくり上げていく力が求められているのです。人間関係や社会を形成する力とは、職場での人間関係だけでなく、社会全体と関わりながら自己を成長させるための、重要な土台となる力だと言えます。
②自己理解・自己管理能力
自分の「できること」「意義を感じること」「したいこと」を理解し、適切に管理する能力も、キャリア形成においては重要です。最終的な目標を達成するには、自らの考えを把握したうえで、それを社会との相互関係の中でどう活かせるのかをイメージし、一つずつ着実に実行していく必要があります。
たとえばコミュニティ内での自分の役割を理解すること、行動を起こすための動機付け、主体的な行動力、ストレスマネジメントといった項目がこの自己理解・自己管理能力に含まれます。この能力は、変化の激しい社会において、さまざまな人々と協働しながら成長していくうえで不可欠なものとなるでしょう。
③課題対応能力
社会で生きていれば、どんな人でも必ず何らかの課題にぶつかるでしょう。課題対応能力とは、仕事や生活におけるさまざまな課題を発見・分析し、適切な計画を立てながら解決していく能力です。従来の考え方や手法にとらわれず、柔軟な発想によって問題解決に取り組む姿勢が求められます。
具体的には、課題発見力、情報処理能力、物事の本質を理解する能力、計画立案力、解決に向けて動く実行力などが含まれます。情報化社会の現代では、膨大な情報の中から必要な情報を主体的に見つけ出す力も求められるでしょう。変化の早い現代社会において新たな価値をつくり出すために、この能力は必須だと考えられています。
④キャリアプランニング能力
「働くこと」の意義を理解して、自分の立場や役割を踏まえてキャリアを形成していく力を「キャリアプランニング能力」と言います。生き方に関する情報が多様にあるからこそ、適切な取捨選択をおこない、自分に必要な情報を活用しながら、キャリアを設定していく能力が求められるのです。
具体的には、なぜ働くのかという根本的な理解、多様性の理解、情報選択力、行動力と改善力などが挙げられます。私たちは、自己の状況も社会も刻々と変化していく中で、柔軟にルートを修正しながらキャリアを築いていく必要があります。行き当たりばったりではなく、ゴールを見据えながら計画を立ててこそ、充実したキャリアを歩めるのです。
今すぐ実践できるものも! キャリア形成に役立つ行動4選
キャリア形成は本来長期的な取り組みですが、中には今すぐ始められる効果的な行動もあります。ここからは、キャリア形成に役立つ行動の中でも特に重要なものを4つ紹介します。ぜひ日々の生活に取り入れて、充実したキャリアを描いていきましょう。
①ロールモデルを見つける
自分が目指したい人物や生き方をロールモデルとして設定することは、キャリア形成のうえで大きな役割を果たします。ロールモデルとして設定する対象は、必ずしも有名人や偉人である必要はありません。身近な先輩、ときには自分とは異なる分野で活躍している人物がロールモデルとなるケースもあるでしょう。
ロールモデルの発見によって、具体的な目標や行動指針が立てやすくなります。その人のキャリアパスや仕事への姿勢、目標達成のために実行していることを参考にしながら、自分ならどうするか、そのために何を身に付ける必要があるのかを考えてみましょう。
キャリア形成をおこなう際に、ロールモデルとして設定した人はいましたか?
私は、社員座談会で話者を担当していた人を参考にしてキャリア形成をおこないました。
ゼミの先輩を意識しました。自分のキャリアのために、ちょっとしたチャンスでも積極的に自ら行動する点を参考にしていましたね。
私は同じ職場の先輩社員を目標にしています。仕事ぶりも人柄も素晴らしく、人として尊敬できる人です。
職場のテクニカルマネージャーをロールモデルとして尊敬しています。将来はその人のように深い知識と豊富な経験を持ち、周囲をリードできる技術者になりたいと思っています。
②学内外のキャリアイベント・セミナーへの参加
大学のキャリアセンターや就活系サービス企業が開催するキャリアイベントやセミナーに参加してみましょう。これらのイベントは、就活市場全体について、それぞれの業界の最新情報、具体的な仕事の内容などを知る絶好のチャンスです。
こうしたイベントでは必要な情報を手に入れられるだけでなく、同じ志を持つ仲間や、既に業界で活躍している先輩たちとネットワークを築く場にもなります。さまざまな視点や具体的な体験談に触れて、自分のキャリアの可能性を広げるチャンスとして活用しましょう。
キャリアに関するセミナーではどんなことを学びましたか?
セミナーで教えていただいた「キャリア形成をおこなううえで最も重要なのは、ひたむきに努力し続けることだ」という言葉を大切にしています。自分の行動を見直し、行動を改善するきっかけになりました。
私は大学のキャリアセンターのセミナーに参加して、計画の立て方を具体的に学ぶことができました。
③資格取得にチャレンジする
就職活動そのものに資格の有無は直結しないと言われますが、自分の目標を叶えるための資格取得は、キャリア形成という長い目で見たときに効果的です。一定のスキルを持っているという客観的な証明になるだけでなく、学習の過程そのものが自己成長につながる点が大きなメリットとなります。
資格を取得したうえで、関連する業務を実際に経験することは、キャリアアップの大きな後押しとなるでしょう。また、明確な目標に向けた学習を通じて、計画性や自己管理能力を鍛えることにもつながります。
志望先企業で取得が求められていない資格であっても「自分にはこれが必要だ」と思う資格があれば、積極的にチャレンジすることをおすすめします。
今後のキャリアを意識して資格を取得した経験はありますか?
私は基本情報技術者試験の資格を取得しました。理想のキャリアアップをしていくうえで必須だと考えたからです。
私はIT系志望だったので、学生時代のうちにMOSとITパスポートを取得しました。
私は実際に入社し、配属されてからそこでの業務内容に合わせた「品質管理検定2級」という資格を取りました。業務の幅が広がったり、周囲の人にも自らの能力が一定以上あることを証明できたりするので、取得して良かったです。
私は転職する際に、建設業経理士3級を取得しました。転職先の企業で推奨されており、入社後必要になると思ったからです。
④大学のキャリアセンターに相談する
多くの大学にはキャリアセンターが設置されています。個別相談会やワークショップといったイベントのイメージが強いかもしれませんが、実は個別に質問や相談を依頼することも可能です。自己分析のサポートや業界研究のレクチャー、エントリーシート(ES)の書き方指導など、就職に関する幅広いサポートを受けられます。
キャリア形成の重要性がわかったとは言っても、自分に向いている職業が何なのかを一人で考えるのは難しいという人も多いでしょう。キャリアセンターでは、多くの学生を支援してきた職員が、学生一人ひとりの状況に合わせてアドバイスをしてくれます。キャリア形成で困ったときには、積極的な利用がおすすめです。
自分の将来について大学のキャリアセンターに相談したことはありますか?
自分のキャリア形成をおこなうときに、キャリアセンターの方に相談しました。自己理解が深まり、最終的にどうなりたいのかというイメージを固めるのに役立ちました。
私の大学のキャリアセンターでは1対1の面談もしてくれたので、何度か利用していました。5年後、10年後にどんな未来を描いていたいのか、アドバイスをいただきながら考えていました。
キャリア形成を考えるときのポイントは? 先輩たちの体験談と併せてチェック
キャリア形成はあくまで個人的なプロセスではありますが、考え方をほかの人から学ぶことは可能です。特に最初のうちは「自分が本当にやりたいことは何なのか」「どんな職業が向いているのか」と言われてもなかなか思いつかず、堂々巡りに陥りがちです。
ここからは、キャリア形成を考える際の重要なポイントについて、先輩たちの経験を踏まえて解説します。どういった観点でキャリア形成を進めていけばいいのか、考える際のヒントにしてくださいね。
周囲と比較せず自分軸で考える
キャリア形成において最も重要なのは、自身の価値観に基づいて判断することです。ほかの人のプランと比較して焦ったり、周囲の期待に応えようとしてやりたくない道を選んだりすることは避けましょう。
たとえば、周りの友人が大手企業に就職する中、自分が本当に魅力を感じるのが革新的な小規模ベンチャー企業であった場合、そこに引け目を感じる必要はありません。さまざまな道を比較検討することは大切ですが、最終的には自分の強みや興味、大切にしたい価値観について深く掘り下げ、その結果に基づいて主体的なキャリアを設計しましょう。
自分らしいキャリアを描くには、そもそも「自分らしさとは何か、自分らしく働くとはどういうことか」をイメージしておく必要があります。こちらの記事では自分らしさを追求するための考え方や、具体的な見つけ方を紹介しているので、一度目を通しておきましょう。
ポジティブな内容を中心に考える
自分自身のキャリアについて考える際には、まずは「得意なこと」や「やりたいこと」を中心に考えてみましょう。たとえば人と話すのが好きな人であれば営業職や広報、数字を扱うのが得意な人なら分析職や財務など、自分の強みを活かせる方向性を探ります。この作業によって、楽しみながらキャリアプランを立てられるでしょう。
もちろん、これは弱点を無視しても構わないという意味ではありません。後々は自分の苦手なことや克服すべき課題にも向き合う必要はあります。しかし、まずポジティブな側面に焦点を当てた方が、自信を持って前向きに自分の人生を考えられるため、キャリア形成自体がスムーズに進むのです。
目標から逆算して具体的な計画を立てる
長期的なキャリア目標を設定したら、そこから逆算して具体的な行動計画を立てましょう。たとえば「5年後にプロジェクトマネージャーになる」という目標を立てた場合、必要なスキルや経験を洗い出します。そこから大学在学中にできることは何か、卒業後の数年間でどんな経験を積むべきかを年単位、月単位で整理してみましょう。
これによって、今の学びと将来の目標のつながりがはっきり見えるようになります。講義の選び方やインターンシップの選び方、長期休暇中に取りたい資格など、さまざまな活動に関する基準ができるため、より精力的に活動できるでしょう。
Will・Can・Mustのバランスを考える
キャリアを考える際には「やりたいこと(Will)」「できること(Can)」「しなければならないこと(Must)」のバランスが重要です。たとえば「国際的な仕事がしたい」「学生時代に留学を経験して培った語学力がある」「独立したいので稼ぎたい」と考えた場合、グローバル企業の海外部門や国際機関でキャリアを積むといった選択肢が浮かび上がってきます。
理想を言えば、これら3つの要素が重なる分野でキャリアを積むのがベストです。とはいえ現実には難しいケースの方が多いでしょう。そのためどの要素を優先するか、どうバランスを取るか、自分の価値観に照らし合わせながら考える必要があります。
「やりたくないこと」も考えてみる
キャリア形成という人生そのものにかかわることを考えるにあたって、実は「やりたくないこと」や「避けたい状況」を考えておくのも役に立ちます。たとえば「創造性を大事にしたいので、それを良しとしない仕事は避けたい」と感じる人であれば、クリエイティブ系の職業を検討したり、自由度の高いベンチャー企業が候補に入ったりするでしょう。
「やりたいこと」と「やりたくないこと」の両方を明らかにしておけば、自分自身にとって大切なものが双方から浮き彫りになり、より的確なキャリア選択が可能になります。これまでの経験を幅広く振り返り、自分らしいキャリア形成に結び付けてみてください。
キャリア形成を考える際に特に意識したポイントはある?
自身のスキルを客観視することが重要だと考えています。しかし、企業によって求められるスキルは異なり、ある企業では評価された要素が他社では通用しないということもあります。そのため自分の軸を持ち、常にフラットな視点で考えることを意識しています。
私の場合は、委託としてさまざまな現場で働く機会があるため、自分のスキルを客観的に判断しやすい環境にいると言えます。そのような場がない人でも、将来像から逆算し、今できていることと不足しているものを分けて整理することで、建設的なキャリア形成がおこなえると思います。
自分らしい人生を歩むためにキャリア形成を活用しよう
キャリア形成は、自分らしい人生を設計し実現するための重要な取り組みです。本記事では、キャリア形成の基本的な概念から具体的な進め方、必要とされるスキル、そして実践的な考え方のポイントまで幅広く解説しました。
キャリア形成は継続的なプロセスです。社会の変化や自身の成長に合わせて、定期的に自己を見つめ直し、目標を再設定していく必要があります。本記事で紹介した様々な視点や方法を参考に、自分なりのキャリア形成に取り組んでみましょう。それは、より充実した人生を築くための確かな一歩となるはずです。
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私がキャリア形成を始めたのは10月頃です。早期選考で受けた初めての面接で、今後のキャリアについて問われたのですが、はっきりと答えられずに悔しい思いをしました。それ以降自分のキャリア形成について考えるようになり、ときにはキャリアセンターの支援を受けながら、自分の目指すべき方向を探っていきました。
キャリア形成のおかげで一貫性のある回答ができるように
キャリア形成について深く考えたことには、いくつかのメリットがありました。まず、自分の描くキャリアが明確になり、志望する企業や職種の選択基準がはっきりしたことです。また、就職活動における自分の軸を見出すことができ、より一貫性のある回答を用意できるようになりました。
さらに、管理職を目指す場合とスペシャリストの場合の違いを知り、自分の将来を真剣に考える契機にもなったと感じています。