キャリアチェンジは人生の転機! 多方面の情報から動き出しを判断しよう
「キャリアチェンジって普通の転職とどう違うの? 」
「私でもキャリアチェンジできる? 」
これまでの経験と異なり、まったく未経験の業界・職種への転職を指すキャリアチェンジ。挑戦してみたいと興味を持つものの、メリットやデメリットはもちろん、そもそも上手くいくのか気になってしまいますよね。
キャリアチェンジは、新しい自分に出会えるチャンスであると同時に、人生の大きなターニングポイントにもなります。後悔のない転職にするためには、念入りな情報収集と自己分析をしてから前に進むことが大切です。
この記事では、キャリアチェンジのメリット・デメリットや進め方について解説します。経験者がキャリアチェンジに踏み切った理由や判断基準も紹介するので、動き出すべきか迷う人はぜひ参考にしてみてくださいね。
入門編! キャリアチェンジの言葉の意味や類語について解説
キャリアチェンジを考える人の中には、転職そのものが初めての人も多いのではないでしょうか。キャリアチェンジすべきかどうかを正しく判断するには、まず言葉そのものの意味や一般的な転職との違いを理解しておくことが大切です。
また、キャリアや転職にかかわる言葉は複数あり、これから情報を調べていく中で混乱してしまうこともあるでしょう。スムーズに進めるため、ここでは間違われやすい類語との違いや意味も一緒に解説します。
キャリアチェンジは異業界・異職種への転職を指す言葉
キャリアチェンジとは、これまで経験していた仕事とはまったく異なる業界・職種へ転職をすることです。「未経験の転職」と一括りにされやすいですが、業界が変わっただけ・職種を変えただけではキャリアチェンジに該当しません。
自分が今目指しているのは、単に転職なのかキャリアチェンジなのか迷わないためにも、2つの違いをはっきりと理解しておきましょう。
キャリアチェンジと一般的な転職の違い
一般的な転職の例
・食品業界の営業職→IT業界の営業職
・メーカーの企画職→メーカーの営業職
キャリアチェンジの例
・食品業界の営業職→IT業界のエンジニア職
・メーカーの企画職→サービス業界の接客職
日本では「就職」「出世」などとして使用されやすいキャリアという言葉ですが、語源であるcareerは、本来「生き方」や「働くうえでの過程」を意味します。
「キャリア(=生き方・働く過程)」が「チェンジ(=変化)」する、という本来の言葉の意味で考えると、仕事環境すべてが変化するキャリアチェンジの内容が想像しやすいですね。
キャリアチェンジの類語と意味の違い
キャリアチェンジの同義語には、キャリアアップやジョブチェンジが挙げられます。
キャリアアップ | 特定の分野への知識やスキルを今よりも向上させること |
ジョブチェンジ | 職種のみを変えること |
キャリアアップは転職の有無にかかわらず、仕事に関連する知識や技術の向上により、今よりも良いポジションになることを指します。「プレイヤーから管理職になった」「外国語を話せるようになった結果、海外支部へ栄転となった」など、もとの経験を活かしたまま状況が好転するケースが多いでしょう。
ジョブチェンジは、業界はそのままで職種や仕事内容が変わることで、「IT業界で営業職からエンジニア職になった」といったような転職を指します。転職する場合はもちろん、社内で部署移動するケースなども含まれます。
似たような言葉や状況で混乱しやすいですが、具体例と一緒に意味を理解しておくと、それぞれの棲み分けがはっきりできるのでおすすめです。
ジョブチェンジ経験者に体験談を聞いてみた
みんなが動いたきっかけは何? キャリアチェンジした理由を経験者に聞いてみた
キャリアチェンジという言葉を理解したものの、まったく未経験の仕事へチャレンジするのは勇気がいりますよね。一度踏み切ると簡単に後戻りができないからこそ、「何を基準に決めるべき?」「このタイミングでするのは正解?」と悩んでしまうのも当然です。
リクルートが調査した「リクルートエージェントの転職データ分析」では、2022年度の転職決定者で異業種×異業界への転職率は39.3%となっています。その中でも、20〜24歳でチャレンジしている人の割合が最も多いようです。
年齢だけがキャリアチェンジを決める大きな要因になるわけではありませんが、経験が少ないタイミングだからこそ「早い段階で新しい環境に飛び込んで視野を広げたい」と判断する人もいるでしょう。キャリアチェンジをすべきかどうか悩む人は、今の年齢や経験値そのものが動き出すきっかけとなるかもしれませんね。
実際にキャリアチェンジを経験した人は、どのようなきっかけで決めたのでしょうか。動き出す判断基準の参考例として、耳を傾けてみましょう。
キャリアチェンジ経験当時のきっかけや理由について教えて!
4年生大学を卒業し、とにかくお金を稼ぎたいと考え、自動車ディーラーの営業職として就職しました。自動車ディーラーの仕事は確かに給料は高かったのですが、残業は多く休みは少ない環境で、精神的にかなりきつかったです。
その後、結婚して子どもが産まれたことをきっかけに、お金よりも時間や健康を大切にしたいと考え転職を決意しました。転職後は、経営企画部兼社長秘書という仕事をしております。ワークライフバランスをしっかり確保することができ、家族と楽しい時間を過ごせています。
私は以前、注文住宅を売る営業職をしていました。建築・不動産・住宅設備・住宅ローン・インフラなど、幅広い分野を経験していたので、未経験業界に行くことに対してはまったく抵抗がありませんでしたね。
キャリアチェンジをするときは、好き嫌いよりも興味関心を優先した結果、IT系で経験商材を増やしていこうという考えで決めました。現在は、通信・SaaS・Web事業などの新しい知識を日々吸収できており、仕事に楽しさを感じられています。
もともとは、自分が本当にやってみたかったことに加え、これまでの経験を活かせるストレッチトレーナーをやっていましたが、ストレッチトレーナーはお客様が優先のサービス業であるため、休憩が取れない・帰宅時間も遅すぎるなど、身体的に厳しいと感じ始めていました。そんなとき、結婚を機に「今のままでは生活がうまく送れない」と思い、自分が得意だと感じていた事務職に転職。もとから事務作業のようなことは得意で、仕事にできるんじゃないかなと思っていました。
キャリアチェンジができれば、サービス業より家族との時間が取れるようになると考え、製造業とまったく未知の世界でしたが、転職を決意しました。
20代前半でキャリアチェンジに挑戦する人が多いと解説しましたが、以下の記事では20代前半の過ごし方についてリアルな体験談をもとに紹介しています。気になる人はぜひチェックしてみてくださいね。
人生を豊かにする20代前半の過ごし方|先輩のリアルなアドバイス
体験談も参考に! キャリアチェンジの難易度はタイミングと自己分析で決まる
キャリアチェンジをしたいと思うものの「未経験の転職は難しそう」とハードルの高さを感じてしまう人もいるでしょう。転職は即戦力を求める企業も多いため、これまでの経験が活かせないとなると不安になりますよね。
実際に、経験業界への転職よりも、キャリアチェンジの方が難しくなる可能性はあります。しかし、異業種・異業界への転職を叶えている人が増加しているデータが出ていることから、難しい中でも成功の道はあるとわかりますね。
通常の転職よりも油断できないキャリアチェンジだからこそ、難易度の高さを理解したうえで、動き出すタイミングや的確な自己分析が重要です。
実際にキャリアチェンジを経験した人は、どれくらいの難しさを感じたのでしょうか。自分の中でキャリアチェンジが実現可能かをイメージする参考にしてみてくださいね。
結論を述べると、キャリアチェンジのハードルの高さは業種によって変わってくると思います。私は29歳のときにまったくの異業種にキャリアチェンジをしました。私の場合は、経営企画部兼社長秘書というポジションだったため、特に特別な資格も必要なく割とハードルが低い方かと思います。
キャリアチェンジは、専門の知識や資格が必要になったり、実務経験などの要件があったり、ハードルが高い業種もあるのではないでしょうか。
26歳のときに転職しました。新しい知識を入れるのにまったく抵抗がなかったためハードルの高さは感じず、強い好奇心をもとに挑戦できました。仕事は、同じ職種でもアプローチ方法が違ったり、商材に対する考え方も異なってきます。そのため、まったく同じ経験への転職は意外と少ないと、二度の転職経験で感じました。
未経験の方が先入観なく仕事に取り組める場合もあるので、キャリアチェンジへのハードルの高さは気にしない方が良いと思います。
動き出すタイミングが非常に重要であると紹介しましたが、あなたにとってのベストな転職時期を探るために以下の記事も確認してみてください。転職経験者のアドバイスをもとに、転職のベストタイミングについて解説しています。
みんなの転職タイミングはいつ? 経験者が語るおすすめの時期と準備
新しい自分を始めよう! 経験者の成功例から知るキャリアチェンジのメリット
新しい仕事への挑戦となるキャリアチェンジは、自分にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。ここからは、経験者が実際に感じた利点を踏まえて、キャリアチェンジが与える影響について解説します。今の仕事環境と比較して、自分に得られるものがあるのかを考えてみましょう。
キャリアチェンジのメリットは何だと思いますか?
キャリアチェンジすれば、新たな知識を得ることができます。また、未経験の分野に挑戦することで、自分の新しい才能を発見できるとも思いますね。
仕事の幅・知識・経験が増えるのがメリットだと思います。業界によって仕事への考え方も大きく変わるのでおもしろいですよ。
いろいろな経験が増え、自分の知識となるところがメリットだと思います。キャリアチェンジした仕事をきっかけに見る世界も変わるし、自分の幅が広がります。
キャリアチェンジをして良かったなと感じたエピソードを教えて!
私は給料よりも時間や健康を優先したく、自動車ディーラーの営業職から、建設業の経営企画部兼社長秘書にキャリアチェンジをしました。良かったと感じる点は、ワークライフバランスがしっかり確保できるようになったことです。
基本的に定時で帰宅できることが多くなり、家族と一緒に過ごしたり、趣味をしたりする時間を確保できるようになりました。そのためか、精神的にも余裕が生まれ、心身ともに安定した生活を送れています。また、社長秘書として働くと経営について学ぶ機会も多く、自分のキャリアアップの面でも良かったと感じています。
私は、建築系の不動産業界からIT業界へキャリアチェンジし、考え方や人間関係などの環境が大きく変化しました。
考えや環境が変わることで、自分に合った生活スタイルも見つけられるようになるため、今後の働き方を検討する時期にキャリアチェンジするのはおすすめです。実際に、私も「この働き方が自分に合っている」と新たな発見ができました。
やりたい仕事にチャレンジできる
自分の興味や適性に合った仕事に挑戦できるのは、キャリアチェンジならではの特徴です。現在の仕事に満足していない人や、新しい挑戦をしたいと考えている人にとって、キャリアチェンジはやりたい仕事を選んで新たな可能性を広げるチャンスとなるでしょう。
さらに、やりたい仕事をすると高い満足感も得られるため、仕事へのモチベーション維持や自己成長が期待できます。今の社会人生活への満足感が低い・やりがいが見つけられない人こそ、新しい自分と出会えるキャリアチェンジを検討してみると良いでしょう。
そもそもやりたい仕事や自分に本当に合っている仕事を見つけるためにはどうしたら良いのか、悩んでいる人もいるでしょう。こちらの記事では自分に向いている仕事の探し方について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
自分に向いてる仕事の探し方12選|体験談で学ぶ自己理解のプロセス
新鮮な気持ちで第二のキャリアを歩める
同じ仕事内容を継続してこなしていると、ルーティンのような毎日に気持ちが落ち込んでしまうこともあるでしょう。繰り返しの日々に「自分は本当に成長しているのかな?」と不安になってしまうこともあるかもしれません。
キャリアチェンジは、まったく新しい環境で仕事をはじめられるのが特徴です。「第二のキャリア形成」として、ゼロから自分自身を成長させられる楽しみが生まれます。
今の仕事をしていて、これ以上の成長が予想できない・社会人生活をもっと充実させたいと感じている人にとって、キャリアチェンジは新たな道を踏み出すためのきっかけになるでしょう。
とはいえ、今が本当に仕事の辞め時なのか不安に思うこともあるでしょう。以下の記事では仕事の辞め時を見極める方法ををリアル体験談とともに解説しています。気になる人はチェックしてみてくださいね。
仕事の辞めどきを冷静に見極める5ステップ|リアル体験談付きで解説
経験の幅が広がる
キャリアチェンジで未経験の業界や仕事に挑戦することで、自分の経験の幅が広がります。経験の幅が広がれば、自己の成長やスキルアップにつながるだけでなく、これまでにない新たな視点やアイデアを得られるでしょう。
一つの仕事を突き詰めていくキャリアを積む場合でも、特定の分野で活躍する貴重な人材になれます。一方で、キャリアチェンジであれば、時代とともに変化していくニーズに応えられるオールラウンダーへと成長できるのです。
どんな場面でも戦力になれる人物を目指すのであれば、キャリアチェンジは絶好の機会と言えるでしょう。
悩みが深くなることもある? 経験者の実体験から知るキャリアチェンジのデメリット
キャリアチェンジは、自己成長や心機一転の機会を得られるなどの多くのメリットがあるとわかりました。一方でデメリットとなる点もあるため、事前に把握しておかなくては転職後に後悔してしまうこともあります。
経験者だからこそわかるキャリアチェンジのデメリットにも耳を傾けながら、良い点・悪い点どちらも踏まえて検討しましょう。
キャリアチェンジのデメリットは何だと思いますか?
新たなスキルの取得までに時間がかかることです。ゼロから知識や経験を積まないといけないため、一人前になるまでに時間がかって大変ですね。
キャリアチェンジを何度もしすぎると、全部中途半端になる可能性があると思います。
すべてに対してではありませんが、今までの経験を一度リセットする点は、デメリットになるかもしれません。キャリアチェンジを目指すなら、始めから出直す覚悟が必要です。
キャリアチェンジで後悔や失敗してしまった経験があれば教えて!
後悔した経験と少し話が異なりますが、年収が減ることは覚悟していました。
経験者は即戦力として期待されるため、スタートの年収が高くなる傾向にあると思います。長期的に考えて未経験業界でチャレンジするか、年収を優先して経験業界を選ぶかはじっくり検討する必要があるでしょう。
キャリアチェンジとしての転職活動を始めた当初、未経験でも比較的簡単に転職できるという情報を信じていました。ところが実際は、期待していたほど良い条件の職場を見つけることが難しい状況でした。未経験の業界にキャリアチェンジすることを少し甘く考えていたのかもしれません。募集されていたとしても、ベンチャー企業での長時間労働や最低賃金の条件でした。
最初から現実的な情報を集めていれば、より効果的に転職活動に臨むことができたのではないかと後悔しています。SNSなどを活用して、現場で働く方々の意見や情報を積極的に収集する工夫が必要だったのかもしれません。
収入が下がる可能性もある
未経験の業界・職種に転職すると、これまでのキャリアが考慮されない場合もあります。そのため、能力が評価されず一番低い給料待遇からスタートし、今よりも年収が下がる可能性があるでしょう。「転職=年収アップ」と捉え、キャリアチェンジで収入が下がり、驚く人も少なくはありません。
厚生労働省の「令和4年雇用動向調査」による転職後の年収推移をみると、前職の賃金に比べ「増加」した割合は34.9%、 「減少」した割合は 33.9%、「変わらない」の割合は 29.1%となっています。通常の転職でも、増加した人と減少した人の割合がほぼ変わらないのがわかりますね。つまり、キャリアチェンジでの年収アップは、より難しくなることが予想されます。
そのため、キャリアチェンジを目指すときは、年収ダウンの可能性も視野にいれておきましょう。これまでの生活水準を維持したいなどの場合は、求人を選ぶときの判断基準に収入を入れることが大切です。
転職で給料は下がるのか、リアルな体験談を知りたい人はこちらの記事をチェックしてみてくださいね。
転職で給料は下がる? リアル体験談とデータから紐解く転職給与事情
転職活動が難航するケースがある
キャリアチェンジは、通常の転職よりも難易度が高くなる傾向があるため、事前の自己分析や情報収集が重要と紹介しましたね。
何も決めない状態でキャリアチェンジに動いてしまうと、方向性が定まらず求人選びに時間がかかったり、志望動機があいまいで内定がなかなか出なかったりすることがあります。なんとか転職を終えた場合でも、入社後ギャップを感じて早期退職となる可能性も。
そのため「なんとなく未経験の仕事がしたい」「とりあえずやってみよう」と軽い気持ちで検討する人には、キャリアチェンジが転職の妨げとなる場合もあるでしょう。
キャリアチェンジを目指す場合は、行動前に動機や目的を明確にしておくことが大切です。
転職が難航している場合には、以下の記事で転職を成功させる秘訣について解説しているので、こちらもぜひ読んでみてくださいね。
転職は難しい…? 成功に導く5つの行動をリアル体験談付きで解説
転職後はあらためて下積みが必要となる
キャリアチェンジをして新しい環境に身を置くと、未経験者として知識や技術を基礎から学び直す必要があります。業務を覚えながら新しい知識をゼロからつけていくことは、これまでとは違う大変さを感じるでしょう。加えて、慣れない環境のなかでストレスや不安を感じてしまうこともあります。
転職後しばらくは大変な時期がある点や、学び直す努力が必要と理解してキャリアチェンジに臨むことが大切です。
キャリアチェンジを実現させるには? 成功のカギとなる3つのポイント
ここまではキャリアチェンジをすべきか判断するための内容や、自分にとってどんな影響があるのかを解説しました。キャリアチェンジの動き出しを決めることができれば、ここからは成功に導くためのポイントを知っていきましょう。
実際に経験したからわかるキャリアチェンジで意識しておくべきポイントについて、経験者にも聞いてみました。貴重な体験談として、ぜひ参考にしてくださいね。
キャリアチェンジをした後、入社までに転職先の業界や職種に関する情報を徹底的にリサーチしました。そのうえで、必要とされる資格やスキルを把握し、有休消化のタイミングで資格を取得しました。
その結果、配属後に即戦力として認められ、上司からの評価が高い状態で仕事をスタートすることができたため、未経験業界への転職でしたが自分の中では成功できたと感じています。
私はキャリアチェンジをするとき、とにかく新しい気持ちで迎えるという意識を大切にしていました。「どのような世界なのか」「これまでの仕事とどう違ってくるのか」と、何事も新しいものを見る目で臨みました。そうすることで、自分の中にある先入観や固定観念をなくすことができます。
新しいことをやるのは少し勇気がいりますが、新たな環境はきっと楽しいはずなので、皆さんもぜひ心機一転して、キャリアチェンジに挑戦してみてください。
キャリアチェンジのときは「未経験者だけど採用してみよう」と採用担当に感じていただけるようにしていました。選考時には、「経験した業務をどのように応募企業の仕事で活かすか」など、転職先の仕事と関連付けて話すようにしていました。また、業界や職種について入念に調べることはもちろん、企業に対しても理解と覚悟のうえで志望していると伝わるような話し方を意識していました。
キャリアチェンジの転職は、今までの経験を一度リセットしたり、新たな知識を学び直す必要があったりと、大変な点も多いです。しかし「目指す仕事に就けた」という喜びとやりがいはとても大きく、きっと楽しい日々になると思うのでぜひ頑張ってみてほしいです。
①キャリアチェンジを目指すときはキャリアビジョンも考えておく
目先の目標を叶えるには、その先にある最終地点をしっかりとイメージすると、進む道が見えてきます。キャリアチェンジを成功させるためには、自分の将来像となる「キャリアビジョン」を明確にしましょう。
自分のキャリアビジョンが見つかると、逆算して目の前の転職に求められる条件がわかり、キャリアチェンジの方向性も固まります。方向性が固まると、やりたいことや希望の条件が明確になるので、仕事選びがスムーズに進みます。
キャリアビジョンからキャリアチェンジをイメージする例
25歳Aさんのキャリアビジョン
・10年後には今住んでいる家よりも広いマンションに住みたい
・20年後には奨学金を完済したいのである程度の貯金をしておきたい
・25年後には仕事もプライベートも安定して、余裕を持った生活ができるようになりたい
・生涯を通してできるだけ長く仕事をしていたいと考えているので、手に職をつけられて、体力が必要にならない仕事をしていたい
キャリアチェンジ(目の前の転職)に求められる条件
・10年後に広い家に住む、20年後には奨学金の完済、25年後には余裕を持つなどの目的があることから、最終的には今の収入よりもアップする
・生涯を通して仕事ができるような技術が身に付く、需要のある職業・業界
Aさんのキャリアビジョンでは、金銭面の余裕や将来性が条件として求められます。キャリアチェンジとして選ぶ仕事には、転職後の伸びしろが一つの基準になるでしょう。
キャリアビジョンは仕事以外にも関係する大切な人生設計です。キャリアチェンジ成功のためだけでなく、自分の将来と向き合う機会としてぜひチャレンジしてみてくださいね。
②キャリアチェンジをするときはスキルセットを意識する
これまでの経験がクリアになり、未経験者としてチャレンジするキャリアチェンジでは、スキルセットを意識した自己PRが成功のカギとなります。
スキルセットとは、仕事をするうえで求められる能力を総称したものであり「コアスキル」と「スペシャルスキル」の2つに分類されます。
コアスキルの例 | スペシャルスキルの例 |
---|---|
・コミュニケーション能力 ・論理的思考力 ・判断力 ・傾聴力 ・牽引力 |
・プログラミングスキル ・会計スキル ・データ分析力 ・デザインスキル |
「コアスキル」は別名ソフトスキルとも呼ばれ、仕事内容にかかわらず社会人経験があれば身に付けられるスキルです。一方、ハードスキルとも呼ばれる「スペシャルスキル」は、仕事内容ごとに得られる専門性の高いスキルを意味します。
未経験の業界・職種への転職だったとしても、コアスキルがどれほど優れているのかアピールできれば、将来性を評価され採用へつなげることができます。「キャリアチェンジしたいけどアピールできるものがない」と悩む人も、きっと自分ならではの強みがあるはずですよ。
これまでの経験から得たコアスキルはどのようなものがあるのか、念入りな自己分析でキャリアチェンジの成功をつかみましょう。
そうは言っても自分には面接でアピールできるスキルがない……と悩んでいる人は、こちらで同じ境遇の人はどのように乗り越えたのかをチェックしてみてください。
転職したいけどスキルがない……20代の体験談から学ぶ面接対策
③転職理由や志望理由を明確にする
先ほど、キャリアチェンジは難易度が高くなりやすい傾向があるため、動機や目標を明確にしておくことが大切と紹介しましたね。
転職活動をしている途中で「なんのために動き出したんだろう」と感じてしまうと、行動に迷いが出て選択を誤ってしまうことも。自信を持ってキャリアチェンジを進めるためにも、自分がなぜキャリアチェンジをするのか「動き出すそもそもの理由」や「異業界・異業種を志望する動機」を明確にしておきましょう。
経験を活かす転職ではなく、なぜあえて未経験の環境にチャレンジしたいのか、自分自身と向き合ってみることが大切です。
未経験の業界にチャレンジしたい理由の例
・未経験の仕事に挑戦して自分の選択肢を増やしたい
・キャリアチェンジして今よりもやりがいを強く感じて仕事に臨みたい
ここまでで紹介したメリットや、キャリアビジョンとなる将来像をかなえるために必要なことなど、キャリアチェンジをした先にどのような希望があるのか考えてみると良いでしょう。
キャリアチェンジの土台となる重要なポイントなので、焦らずに少し時間をかけながら考えてみてくださいね。
キャリアチェンジは「しない」選択も間違いではない|幅広い視野で検討しよう
キャリアチェンジは自分の可能性を広げる大きな転機であり、やりがいや自己成長につながるなどのたくさんのメリットがあります。その一方で、未経験の仕事への挑戦は楽しいことだけでなく、ゼロから学ぶ必要性や慣れない環境に適応する大変さも求められます。
これからの長い社会人生活の中で、転機となるタイミングは「今」でない場合もあります。キャリアチェンジを一度検討したからといって、決して無理に動き出す必要性はありませんよ。
人生の分かれ道になるからこそ、メリット・デメリットを踏まえ、叶えたい将来像とともに、今の自分にキャリアチェンジは本当に必要なのか客観的に検討しましょう。
キャリアチェンジを考えた結果「しない道」を選んだ人の体験談も聞いて、広い視野を持って判断してくださいね。
システムインテグレーターで設計・構築SEとして在籍していた際、企画系とコンサル系の職種へのキャリアチェンジを検討していました。転職するなら、方針決めからプロジェクトに参画し、数年先を見越した計画を立てる職種に就きたいと考えていたからです。
実際にチャレンジしようとしたものの、募集要件を満たす項目が少なく自信がなかったことに加え、応募をしたところからも良い返事はもらえませんでした。その後、同じ仕事の経験を重ねてから別職種のプリセールスにキャリアチェンジしたため、後悔はありません。
先輩の動き方から学ぼう! キャリアチェンジを決意した人がやるべきこと
自分にキャリアチェンジが必要とあらためて判断できれば、ここからどのように行動すれば良いのかも知っておきましょう。最後は、経験者の動きから学ぶ、キャリアチェンジの進め方を紹介します。
すでに希望の仕事が決まっているケースと、そうでない場合にわけて解説するので、自分の状況に合った動き方をマスターしてくださいね。
キャリアチェンジをするためにパネリストがおこなった準備とは?
冠婚葬祭業界のバックオフィス職から、人材業界の営業職に転職しました。まったく初めての業界・職種になるので、まずは情報収集を丁寧におこないました。
転職エージェントの力も借りながら、営業職になくてはならない視点や、大変さといった現実面への理解も深め、自分の持っていたイメージと現実の隙間を埋めていくような時間もありました。
未経験で懸念されることを徹底対策した
自分の想像と現実のすりあわせができれば、次は業務のハードさやノルマに対しての考えなどの「事務系から営業職の転職を希望する人材に対し、企業側が抱くであろう懸念点」への回答を考えました。
根拠になるような考えやエピソードを洗い出し、面接で話せる準備に取り組みます。さらに、当時20代前半で社会人歴も短い状態だったので、悪い意味で「若いな」と思われないよう、言葉遣いや立ち振る舞いについても見直しました。
このように、「営業として仕事を任せても大丈夫」と思っていただけるような対策を徹底した結果、入社後「うちの部署では最年少になるけど安心感があった」と評価を受け、キャリアチェンジを叶えられました。
希望の仕事がすでに決まっている場合
すでにやりたい業界や職種が明確になっている人は、条件をさらに絞り込んでいき、希望の仕事に転職するには何が必要なのかを明確にしていきましょう。
すでに希望の仕事が決まっている人がやるべきステップ
①希望の業界・職種どちらも絞り込む
②求められるスキルや人物像を調べる
③自己分析して自分の強みや特性を明確にする
④②と③を擦り合わせてアピール内容や方法を検討していく
希望の業界または職種のみ決まっている場合は、どちらも明確にしてから行動に移します。その後、希望の仕事に求められる人物像やコアスキルを調べ、自己分析でわかった自分の強みと擦り合わせて、アピール内容を明確にします。
ほか、応募企業を選ぶ・面接対策をするなど、難易度が上がりやすいキャリアチェンジには準備すべきことがたくさんあるので、全体計画を立てながら進めるとスムーズです。
転職までに時間があるのであれば、初心者レベルの資格取得をすると、基礎知識が身に付くだけでなく、向上心や将来性のアピールにもつながるのでぜひチャレンジしてみてくださいね。
キャリアチェンジをしたときに取得した資格があれば教えてください!
電気工事会社にキャリアチェンジをし、建設業経理事務士3級と第二種電気工事士の資格を取得しました。
エンジニアへのキャリアチェンジを目指し、IT業界の最も基本的な資格とされるITパスポートを取得しました。
まだやりたいことが決まっていない場合
「未経験の仕事にチャレンジしたい」という希望はあるものの、具体的な仕事内容が決まっていない場合、まずはキャリアビジョンを明確にして転職の目標を立てましょう。
まだやりたいことが決まっていない人がやるべきステップ
①キャリアビジョンで自分の将来像を明確にする
②①から転職の目標を決める
③②を叶えられる仕事はどんなものがあるか調べる
④自己分析で明確になった適性や強みから実現可能な仕事を絞り込む
希望の将来像から目先の転職に何が必要かを判断できれば、目標が叶えられる仕事を調べ、転職先を絞り込んでいきます。もちろん、自分と仕事との適性も大切であるため、自己分析でわかった適性や強みも踏まえて判断することが大切です。
④まで進められれば、あとは決まっている人と同様に自己アピールの内容や方法を考えて具体的な転職対策をおこなっていきましょう。
選択肢が多いため、なにから手をつけて良いか悩む場合は、経験者や転職サービスに頼るのも一つの手段です。
キャリアチェンジを決意後、どのように企業を絞り込んだ?
あらかた行きたい業界・職種が決まっていたものの、自分の適性に合う会社を見極めるのに難航していました。
そのため、職種に特化したエージェントを利用して、自分の経験がキャリアチェンジを希望している業界や職種に活かせるのかを見極めました。自分では大したことがないと考えているスキルでも、エージェントを利用して客観視することで、未経験業種でも役に立つものを見つけられます。
未経験業界でも活かせるスキルを見つけてから会社選びを始めよう
私の場合は、営業職の経験で培った資料作り・数値集計、採用担当としてのイベント実施・誘致活動・コンテンツ制作が、転職した仕事先でも役立つと判断してもらえました。そうして異業種でも活かせるスキルを見つけ、会社を絞り込むことができたのです。
自己分析後、エージェントから複数の求人を提案されたので、休日やボーナスの有無などの自分が譲れない条件を見て、さらに絞り込んでいきました。
キャリアチェンジが好機になるかは自分次第! 広い視野で自分の将来設計を考えよう
キャリアチェンジが自分に与える影響や、実行に移すには何を持って判断すべきかを解説しました。
未経験の仕事へチャレンジするとなると、新しい環境への期待と同時に不安や悩みを抱えてしまうこともあります。キャリアチェンジを目指すときは、メリットとデメリットを踏まえた客観的な視点と、途中で迷わないための明確な行動指針を持つことが大切です。
判断に迷ったら、自分の将来像を明確にし、経験を活かす転職や転職しない選択肢も含め、広い視野を持って検討してみましょう。
IT業界の営業職からエンジニアへの転職を目指しました。まずは初歩的な技術知識を身に付けるために、独学で無料のオンラインコースを受講し、その後、プログラミングを学ぶ学校に通い、取り組んだプロジェクトをもとに、実績をまとめたポートフォリオを作成しました。また、基礎知識を証明するために「ITパスポート」という初歩的な資格を取得し、エンジニアに近い要素を加える工夫もしていましたね。
理想のキャリア像を明確にした
情報収集を重ね、学校での実践的なプロジェクトを通じて、目指すべきエンジニア像が次第に明確になってきたため、具体的な職種や業界特有の働き方について調査し、理想に近い仕事への応募を開始しました。最後に、ジョブチェンジを決意した理由や、営業職で培った強みをどのように活かせるかを整理し、面接での受け答えの準備を進めた、という流れだったと思います。