経験者が語るベストな退職の切り出し方|今だからわかる注意点とは

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退職の切り出し方は相手やタイミングによって工夫が必要! 体験談からヒントを得よう

退職を決意したはいいものの、上司の反応が怖くてどうしても言い出せなかったり、切り出す際のタイミングに迷っている人も多いのではないでしょうか。特に直属の上司に伝えるときは、退職を強く止められるのではないかと心配になりますよね。

円満に会社を退職するためには、退職準備や引き継ぎの時間が十分に確保できるタイミングで、上司が「その理由なら仕方ない」と納得できるような正当な理由とともに退職の意向を伝えることが重要です。また、自分の状況や入社歴によって伝え方や理由のまとめ方を工夫することで、退職を真摯に進めようとする姿勢が伝わりやすくなります。

この記事では、退職を切り出すのに適したタイミングや伝える際の基本マナー、スムーズに退職するために押さえたいポイントを、無事退職できた人の体験談を交えて解説していきます。

例文付きで解説! 退職を切り出すときの基本マナー

退職を切り出すときの基本マナーの画像

「会社を退職する」と社内の人に伝えるのは、多少なりとも勇気がいることですよね。だからといって、自分の好きなタイミングで仲の良い同僚から順番に伝える……という進め方では、直属の上司に迷惑をかけてしまったり、ほかの社員を困惑させてしまいます。基本的なマナーを必ず押さえつつ、退職を切り出しましょう。

上司に最初にコンタクトをとるときの例文も一緒に紹介するので、トラブルなく退職を進めるためにも、ぜひ頭に入れておいてくださいね。

遅くとも退職希望日の1カ月前には切り出す

遅くとも、退職希望日の1カ月前には退職意向を伝えましょう。1カ月前を過ぎてしまうと、引き継ぎが完了しなかったり、人員が抜けたあとの体制再構築を急いでおこなう必要が出てくるなど、チームに迷惑をかける可能性がより高まります。

退職日までに余裕がある場合も、1カ月前を待たずして、退職が決まった時点でなるべく早く伝えるよう心掛けましょう。引き継ぎや退職の手続きに余裕を持って取り組むことができ、自分と会社、双方にとってメリットになります。

やむを得ない理由があり、どうしても1カ月前より早く伝えるのが難しい場合、2週間前をデッドラインと考えてください。民法第627条に言及されている通り、法律上は退職を申し出て2週間経過すれば退職することが可能とされています。また、企業によっては退職の申し出から退職までに必要な期間が定められている場合もあるので、就業規則の確認も忘れないようにしましょう。

まずは直属の上司に伝える

社内の人に退職する意志を伝えるとき、基本的にはまず直属の上司に伝えるのがルールです。直属の上司とは、いつも自分の業務を直接管理している上司のこと。人事における決定権の有無は関係ありません

一般的には、直属の上司と退職についてすり合わせできたら、その次に課長や部長などさらに上のレイヤーに申し出て、その後人事部に申告するケースが多いです。ただ、直属の上司に相談しながらであれば、自分の状況に合わせて伝えやすい順番で進めても問題ありません。

同僚や後輩には、退職日が確定してから伝えるようにしましょう。会社側と退職についてまとまっていない状態で社内に広まると、万が一退職が見送りや先延ばしになった場合、ほかの社員が混乱してしまいます。トラブルのもとにもなりかねません。

プライバシーが守られる環境で話をする

まずはチャットやメールなどで個別面談を依頼しましょう。この際、上司のスケジュールを事前に確認し、対応してもらえそうな日時を3つ程度ピックアップしておいてください。なるべく落ち着いて話せるよう、上司のスケジュールに余白のあるタイミングを選ぶのがおすすめです。

面談が設定できたら、退職について直接口頭で伝えましょう。場所は、誰もが立ち入れるようなスペースではなく、他者に話の内容が漏れることのない個室などがベストです。退職は個人的な話題であり、自分の退職理由やオープンにされていない社内事情などが伝わると、ほかの社員の働く士気に影響してしまうことも考えられます。

オンライン勤務が中心となっている場合は、まずオンラインミーティングで退職の意向を伝え、その後必要に応じて対面のミーティングをおこなう流れが一般的です。

チャットやメールで直属の上司にアポイントをとるときの例文もぜひ参考にしてみてくださいね。

チャットやメールでアポイントをとるときの例文
お疲れ様です。〇〇です。
30分程度、個別にお話したい件がございます。
お忙しいところ恐縮ですが、ご相談のお時間をいただけますと幸いです。
〇〇さんと私のスケジュールが合う日程を提示いたします。
以下日時のいずれかでいかがでしょうか?

<日程候補>
〇月〇日(月) 12~15時
〇月〇日(火) 11~16時
〇月〇日(木) 10~13時

ご確認のほど、よろしくお願いいたします。

円満退職にはマスト! 「退職したい」を伝えるための3つの必須項目

「退職したい」を伝えるための3つの必須項目の画像

退職する旨を伝えるときに、必ず伝えるべきことが3つあります。しっかり取り入れて退職を切り出し、交渉をうまく進めましょう。今すぐ使える例文や、実際に退職がうまくいった人の体験談もチェックしてくださいね。

①お詫びの言葉と退職意向

まずは、簡単なお詫びの言葉とともに、退職することを伝えましょう。これまでの指導に対する感謝や、退職準備に時間を割いてもらうことに対してのお詫びの気持ちを添えることで、真摯さが伝わりやすくなります。ぜひそれらを交えながら話してみてください。

また、自分の中で「必ず退職する」と決まっている場合は、その旨をしっかり伝えてください。和らげた表現を使うと、上司に検討段階だと受け取られてしまうことも少なくありません。その場合、「まだ考え直してくれるかもしれない」と捉えられ、退職を強く止められることも考えられます。

例文
お忙しい中、突然申し訳ございません。このたびは、会社を退職したくお時間をいただきました。〇〇さんには入社当時からお世話になり、本当に感謝しています。

②納得できる退職理由

「一身上の都合で……」など、濁すような言い方はできるだけ避け、明確な退職理由を伝えます。このとき、たとえ不満が多くあったとしてもありのまま伝えるのは避け、あらゆる選択肢と比較検討した結果、退職することが今の自分にとってベストな選択肢であることが伝わるようにしましょう。上司が「この会社では希望を叶えられないから、送り出すしかない」と腑に落ちるような理由にまとめることを心掛けてください。

家庭の事情や体調が理由である場合も、可能な範囲で詳細に伝えることで納得してもらえる可能性が高まります。

NG例文
新しい仕事に挑戦するため、転職します。正直言って、給与がなかなか上がらないことや、あらゆる業務を押し付けられていることに納得がいかなかったこともあり、転職を決意しました。

OK例文
理由としては、学生のころから関心があった業界でスキルアップし、市場価値を高めていきたいからです。
この会社でマーケティングについて学びを深めるうちに、以前から関心があったスポーツ領域でそのスキルを活かし、ファンマーケティングの領域に挑戦したいという気持ちが強くなりました。

キャリアステージ編集部

上司や社内の人を納得させる退職理由を組み立てるために意識したことは何ですか?

T・T 4年制大学

「明確にやりたいことがあり、それが現職では達成できないので転職を決意した」という軸をぶらさないことを意識していました。

③退職までの想定スケジュール

退職希望日を大まかに決め、自分が想定するその日までの動き方を伝えましょう。退職の意思の強さが伝わるほか、上司や同僚が引き継ぎに向けて日程調整をする負担を軽減できる可能性があります。

スケジュールに関しては、退職意向と違ってあくまでも希望というスタンスで伝えると良いでしょう。実際に引き継ぎをおこなうときは、プロジェクトの進捗や職場の状況とすり合わせながら進めてくださいね。

退職までのスケジュールの画像

退職までの想定スケジュールを伝える例文
希望としては〇月末を最終出社日とし、そこから約2週間有休を消化させていただきたいと考えています。最終出社日までの2カ月間で今進行している5つのプロジェクトを現チームのメンバーに引き継ぎたいと考えているのですが、いかがでしょうか。

気になるQ&A! 退職を切り出すタイミングについて経験者に聞いてみよう

退職を切り出すときに悩みの種になりうるのは、理由の伝え方だけではありません。「退職希望日から逆算してどのタイミングで退職を伝えれば良いの?」「朝一は上司が忙しそうだし、退勤前に伝えると話が長引きそう……」など、退職を伝える時期や時間帯に迷う人は多いのではないでしょうか。

どのタイミングで退職を切り出せば交渉がスムーズに進むのか、経験者に聞いてみました。

Q:退職希望日のどのくらい前に伝えましたか?

先ほども触れたとおり、退職が決まったら、直属の上司にはなるべく早く伝えるのが基本です。ただ、「あまり早く言い過ぎても気まずくなるのではないか」など、実際のところ悩む要素も多く、ほかの人がどうしているのかが気になるところだと思います。

経験者たちはいつごろ伝えたのか、体験談を参考にしてみてくださいね。

キャリアステージ編集部

退職予定日のどのくらい前に上司に退職を切り出しましたか?

A・A 天理大学

私は結婚を機に転職しようと思ったので、転職の準備を始めるときに伝えました。3月ごろに転職の意思を伝え、実際転職活動をし始めたのは7月ごろで、新しい会社で働き始めたのは9月です。上司が面接に行きやすいように業務時間を調整してくれたりしたので、早めに伝えていて良かったなと思います。

D・M 成城大学

私は注文住宅の企業で営業として働いていたのですが、案件はすべて半年以上かかる長期的なものなので、工数などを見つつ退職希望日の2カ月前くらいに上司に言いました。経験上、1か月ちょっと前くらいに退職を切り出すと結構嫌な顔をされる可能性が高いので、最短でも2カ月半ぐらい前に伝えたほうがよさそうです。

Q:1日のうちのどのタイミングで切り出しましたか?

基本的に、上司など社内の人たちに退職を伝えるのは就業時間中です。しかし、いつ話しかけようか迷っているうちに、気付いたら定時を迎えていた……なんて人もいるのではないでしょうか。どのタイミングで声をかけたのか、意識したポイントなどと一緒に聞いてみました。

キャリアステージ編集部

退職を上司に切り出したときは、一日の中のどんなタイミングでしたか? 意識したことや意図があれば教えてください!

T・T 4年制大学

上司のスケジュールや働きぶりを見て、忙しくなさそうときに伝えようと思っていました。また、リモートではなく直接対面で伝えました。忙しくないときの方が上司も受け止めやすく、対面の方が誠意や自分の覚悟が伝わりやすいかなという意図でそうしました。

伝える相手別|みんなが実際に使った退職の切り出し方

退職を切り出すときは、上司、同期社員、後輩などそれぞれの立場や関係性によって工夫すべきポイントや適切なタイミングが違います。

また、社内で退職についてまとまったあとは、社外の関係者にも退職を伝える必要があります。円満に退職した経験者に、実際に退職を切り出したときそれぞれの相手にどう話していったのかを教えてもらいました。

上司に伝える場合

一番最初に伝えるべき上司にはどんなことを意識して退職を伝えれば良いのでしょうか。納得してもらいやすく、誠意が伝わるような切り出し方を体験談から学んでいきましょう。

上司に対しては、口頭で納得できる理由を伝えることに加えて、転職先や退職後のプランを聞かれることも想定しておいてください。転職先が決まっていない場合でも「〇月までに転職先を決めます」「3カ月かけて資格勉強をします」など今後のプランをはっきり伝えることで、「しっかり考えたうえでの転職なんだな」と、納得してもらえる可能性が高まります。

上司に伝える場合のポイント
・メールやチャットで一言連絡を入れたあと口頭で伝える
・退職理由を整理しておく
・退職後の進路を伝える

上司に伝えたときの経験談をチェック

T・S
T・S
拓殖大学/商学部
今後のキャリアを考えて転職したいと伝えた

当時の上長とは定期的に個別ミーティングがあったので、特にアポイントをとるためにわざわざ話しかけたりはせず、定期ミーティングの場で申し出しました。

実際に伝えるときは、上司は以前から転職を考えていたことを知っていたので、「以前からご相談していた転職の件でお伝えしたいことがあり、実は転職先が決まったため、退職をしたいです」と切り出しました。「もちろんこの会社に在籍し続けることも考えましたが、今後自分のキャリアを考えたときにより成長できる環境で働いていきたい気持ちが芽生えたため、今後はそっちで経験していきたい」と、あらゆる選択肢を検討したうえで退職を選んだことを伝えました。

同僚に伝える場合

普段一緒に働いている同僚に退職を切り出すときは、混乱を生まないようにしっかり理由を伝えることが重要です。先述の通り、上司や役職者とのすり合わせが完了し、退職が確定してから伝えることも忘れないようにしてくださいね。

また、退職理由に会社への不満があったとしても、同僚にありのまま伝えるのは避けましょう。自分と同僚との関係性にもよりますが、聞かれる前に自分から伝えないほうが無難です。仕事仲間の働く意欲を下げてしまううえに、何かのきっかけで話が広がれば、トラブルにつながる可能性もあります。

同僚に退職を伝えるときのポイント
・退職が会社に受理されてから伝える
・会社への不満を直接言わない
・引き継ぎのスケジュールなどは決まり次第共有する

同僚にはどう伝えた?

A・A
A・A
天理大学/国際学部
同僚には雑談の延長で切り出した

同僚などにはメールなどで連絡はしませんでした。サービス業だったので、シフト制で休憩も順番に取っていくのですが、休憩が一緒のタイミングになることもよくあったので、雑談の延長で話しました。同僚とは日頃からプライベートな話もよくしていたので、どんな流れで切り出してもきちんと受け入れてくれるだろうとあまり心配はしなかったです。

また、同僚は転職活動をしていることも知っていたので、「次の仕事が決まったから出勤はこの日までになると思うよ」と、最終出社日についても軽く伝えました。

社外の人に伝える場合

社員の退職はデリケートな話題です。取引先や関係会社などの社外の人に退職を切り出すときには、タイミングや伝え方を自分だけで判断せず、一度上司に確認をとってから伝えましょう。また、退職理由を伝えるときに自社のイメージを損なわないよう心掛けてください。

加えて、業務に影響が出ないか心配されることも想定し、後任の担当者や退職までのスケジュールは丁寧に共有しておくことをおすすめします。

それ以外にもどんなことを意識すると良いのか、経験者が実際に話した内容を聞いてみました。

社外の人に退職を伝えるときのポイント
・伝える相手・タイミング・内容は社内で相談する
・前向きな退職理由を伝える
・次の担当者や退職前後の対応を先んじて共有する

社外の人に退職を伝えたときのエピソード

S・K
S・K
4年制大学/文系学部
担当変更のメールを送ったあと電話もしくは対面で挨拶をした

会社として、退職を伝えるときは基本的に対面もしくはお電話で伝えることが必須になっていました。なので文面でのお伝えに関しては、まず担当変更に関するご案内としてテンプレートを作成し、ほぼ同じ内容をお客様にメールで送信しました。懇意にしていただいていたお客様や、印象に残っていることがあるお客様に対しては、それぞれオリジナルのエピソードを追加で入れました。

メールを送信したあと順番に電話し、退職のご挨拶をしました。先にメールを送っていたので、お客様も退職の件で電話してきたかは把握されている状態だったため、伝えにくさなどは感じませんでした。そして「先ほどメールでもお送りさせていただいたのですが、〇月末で退職することになりご挨拶でお電話させていただきました」と切り出しました。訪問のお約束ができるお客様については、実際にお会いして退職することを伝えていました。

入社歴別|無事退職できた人の切り出し方

自分が会社にどのくらい在籍しているかを踏まえて理由を固めていくことも、退職意向を受け入れてもらうためのポイントです。また、かかわる仕事の範囲によっては引き継ぎにも時間を要すため、退職までのスケジュールをよく考えたうえで、適切なタイミングで退職意思を示すことも重要になります。

退職経験のある人たちに、実際に使った退職の切り出し方を入社歴別にヒアリングしました。自分の境遇に近い人のエピソードを見つけて参考にしてみてください。

入社2年目までの場合

入社してまだ1~2年で退職しようとしている場合、「仕事をやり切ったといえるのか」「もう少し会社にいれば〇〇も経験できるのに」と言われて強く引き止められるのではないかと懸念する人は多いのではないでしょうか。

また、3年以内で離職する人は以前に比べて増えていますが、在籍期間が短い退職希望者に対して「教育コストが無駄になった」という気持ちを持つ人も少なくないのが事実です。「自分なりにできることはやった」と伝えつつ、入社以来、社員として教育を受けたことに対しての感謝を真摯に伝えることを心掛けてくださいね

入社2年目前後の人が退職を切り出すときのポイント
・今の会社で、自分なりに仕事をやり切った旨を伝える
・やりたいことが今の会社では実現できないことを伝える
・これまで育成してもらったことへの感謝を伝える

在籍期間が比較的短くても上司を納得させられた人が、実際にどんな理由の伝え方をして退職を成功させたのか見ていきましょう。

A・A
A・A
天理大学/国際学部
「本当は辞めたくない」と上司や同僚への不満はないことを伝えた

まず上司とのミーティングを設定するときは、「お話したいことがあるので、時間を取っていただけないでしょうか」という感じで連絡したと思います。大事なことはやはり直接言うべきだと思ったので、テキスト上では詳しくは話していないです。  

実際に上司に直接伝えるときは、「今度結婚をしようと思っています。これから引越しなどもする予定です。現状は帰宅するのが23時ごろになることが多く、結婚となると家庭と仕事の両立ができないと思ったので、辞めようと思いました。この仕事は大好きだし、同じ店舗のスタッフもお客さんもみんな良い人で楽しくて本当なら辞めたくないけど、続けることが厳しいです。」と伝えました。

入社3年目以降の場合

在籍期間が長い人の場合「〇年間よく頑張ったね」と送り出してもらえることもあれば、経験豊富ゆえに責任のある仕事を任せられていて、退職の切り出し方を迷う人も少なくないでしょう。社内に関係者が多い場合は、それぞれに退職を伝えるタイミングも考慮する必要があります

入社3年目以降の人が退職を切り出すときのポイント
・重要なプロジェクトの直前や途中のタイミングは避ける
・社内には早めに周知する
・この会社ですべきことをやりきったと強調する

入社して3年程度で退職を決めた人はどう上司や周囲を説得したのか、当時のエピソードからチェックしてみましょう。

K・M
K・M
倉敷工業高等学校/電子機械科
引き継ぎの予定に触れて残る社員の不安を減らせるように意識した

退職については口頭で伝えたいという思いがあったため、重要なお話があるので時間をくださいとだけ上司にチャットをし、口頭で説明しました。

内容については、仕事を辞めることと辞める理由、いつ辞めるか、引き継ぎの予定などの話をしました。私はサブリーダーを任せてもらっており、現場の指示や生産の組み立てなど最前線に立って仕事をしていたこともあり、引き継ぎがとても重要でした。私の場合は繁忙期が始まる3カ月ほど前に退職の話をして、技術的な引き継ぎや事務的な引き継ぎ、手順書の作成などのスケジュールを伝え、残る人たちの不安を少しでも減らせるように意識しました。

T・S
T・S
拓殖大学/商学部
役職もついていたので引き継ぎを考慮し早めに退職を切り出した

上司に伝えるときは、まずはチャットで個別にて相談したいことがありお時間がほしいということを伝えて、話す機会をもらえるように調整しました。

実際に伝えた内容としては、「他にやりたいことが見つかりここでは叶えられないと思う」と、正直にキャリアを考えての退職希望を伝えました。もちろん引き止めなどもありましたが、そこは意志を固く持ち、お断りをして今後のキャリアを優先にしました。

当時、役職もあったため、引き継ぎのことも考えた結果、退職を切り出したのは辞める日のだいたい3カ月ほど前でした。自分としても丸投げでは退職したくなかったので、自身の引き継ぎや引き継ぎ資料の作成も考えて早めに申し出をしました。

経験談付き! 退職理由が転職以外のときの切り出し方

20代の社員が会社を退職するときは、理想のキャリアに近づくための転職が理由になるケースが多いです。一方で、家庭の事情やライフステージの変化、体調によってやむを得ず退職を選ぶ人も少なくありません。

基本的には、「退職予定日の2週間前に申し出る」というルールを守っていれば退職は認められます。プライベートな理由であっても、ありのまま伝えれば、会社側に納得してもらえる場合がほとんどです。しかし、周囲に同じような境遇の人が少ない場合は「この伝え方で大丈夫だろうか」と不安になることもあるでしょう。

転職以外の理由で退職することになった人がどのように理由を伝えたのか、経験者が実際に使った切り出し方を紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

D・M
D・M
成城大学/経済学部
人間関係の悩みや体調が良くないことを正直に伝えた

人間関係で悩みがあったのと、体調面を考慮しての退職という形でした。辞めたいと思って自分の中で退職時期をある程度定めていたのですが、ちょうどそのタイミングで営業所内での異動が入り、人間関係で悩んでいた上司とは別の上司に退職を伝えることになりました。

実際に辞めることを伝えた異動先の上司は優しい方だったので、非常に言いやすかったです。体調がなぜ悪くなってしまったのかについても、同じ営業所内なので知ってもらってました。上司に言った内容は、正直に「人間関係で○○さんと合わなかったです。△△などをされたのがきつかったです。一緒の会社にいること自体きついと感じています」。ざっくりですが、こんな感じで言いました。言いにくい人に退職の旨を最初に言うと、本音が言えず引き止められたりすることもあると思うので、まずは受け入れてもらいやすい人に言ってみる方法も有効かと思います。

退職を切り出すときの4つの注意点を体験談付きで解説!

退職を切り出すときの4つの注意点の画像

退職を切り出すときには、なるべく上司や同僚の負担にならないタイミングで、明確な理由をもとに納得してもらうことが基本マナーとお伝えしてきました。

加えて、最後まで社内の人と良好な関係を保ちつつ理想のタイムラインで退職を進めるために注意すべき点を紹介するので、ぜひ確認してください。

「実際に退職を切り出すとき、自分はここで迷った」という貴重な生の声も集めました。また、経験者だからこそ感じたポイントをチェックして、円満退社のヒントにしましょう。

退職を切り出すときはどうしたら円満退社につながる?

T・T 4年制大学

どのような言い回しで伝えるかは悩みました。最終的には、綺麗な美辞麗句で飾るのではなく、正直に自分のやりたいことへの熱意と退職する覚悟を伝えました。

T・S 拓殖大学

ほとんどの場合は、一度引き止められることが多いと思うので、情に流されずに思っていることを素直に正直に伝えた方がスムーズかと思います。

①退職する意思を強く伝える

退職を切り出すときは、「退職したいのですが」「退職を考えていまして……」といったやわらかい表現ではなく、「退職します」と言い切ることを意識してみてください

特に転職先が決まっている場合はその旨を伝えつつ、きっぱりと退職意向を伝えましょう。思わぬ引き止めによって退職日が先延ばしになると、次の職場に迷惑をかけてしまうかもしれません。

②メールやチャットだけで話を終わらせない

退職を切り出す際、メールやチャットなどのメッセージだけではなく、必ずミーティングなどで直接伝えるようにしてください。

社員の退職は自分の部署だけでなく会社全体の運営にもかかわる重要な事項です。メールなどでやりとりをして文面に残ることはメリットですが、退職理由や背景を直接伝えないままだと、上司との間で認識の違いが生まれ、思い通りに退職が進まない可能性もあります。

上司の意向で、テキストでのコミュニケーションで完結しそうになる可能性もありますが、自分から一度はオンラインもしくは対面での打ち合わせを提案することで「しっかり話そうとしてくれているんだな」と捉えられ、誠意が伝わりやすくなります。

③不満だけの退職理由は避ける

退職理由を伝えるとき、会社に対する不平不満だけを理由にするのは避けましょう。

もちろん、退職に至るまでに不満がゼロだという人の方が少ないでしょう。しかし、たとえば待遇や評価が不満だとはっきり伝えた場合、それらの改善を引き合いに出されて思わぬ引き止めに遭う可能性もあります。その改善提案に心が揺らぐこともあるかもしれませんが、要望が実際に叶うのかどうかは冷静に考えながら話を聞くよう心掛けてくださいね。

また、退職理由が愚痴ばかりになってしまうと、上司との間に軋轢が生まれ、引き継ぎや退職手続きを協力的に進めてもらえなくなることも考えられます。退職のきっかけが不満であったとしても、可能な限り前向きなキーワードに言い換えて、「それはうちの会社では叶わないから、退職するのもしょうがない」と納得してもらうことを目指しましょう

マイナスな理由を言い換える例
・待遇が良い大手企業に転職したい
→より規模の大きい仕事にかかわり、キャリアアップを目指したい
・もっとやりがいのある仕事をしたい
→今までに培った経験を活かして新しくスキルを身に付け、市場価値を高めたい
・今よりも労働環境が良い職場に転職したい
→ライフステージの変化に備えて、私生活とのバランスがとれる仕事がしたい

④引き止められたときの対策を考えておく

どんな会社にとっても、せっかく採用し、育成してきた社員が退職してしまうことは痛手になります。一度は引き止められることを想定し、対策を考えておきましょう。強い引き止めに遭い理想通りのスケジュールで退職を進められないと、転職先やプライベートの予定にも影響を及ぼしてしまいます。

退職する会社とはいえ、長い社会人生活の中でいつかまたかかわることがあるかもしれません。引き止めの言葉をかけられた場合、会社に必要とされていることへの感謝を伝えつつ、誠意を持って対応するよう意識してくださいね。

引き止められたときの対策の例
・退職を伝える時期や退職日が繁忙期と被らないようにするなど、現職の状況をできるだけ考慮したタイミングで切り出す
・引き止められて多少交渉が長引いても良いように退職を早めに切り出しておく
・次の会社への入社日が決まっている場合ははっきりと伝える

退職を切り出すときは誠意と納得できる理由が肝心! 気持ちよく次のステップに進もう

退職を切り出すときは、最低限のマナーを守るのはもちろん「なるべく負担にならないようにしてくれているんだな」と上司や同僚に伝わるようなタイミングや伝え方を意識することが円満退社への近道です。

切り出すタイミングを見失って引き継ぎが中途半端になったり、不満だらけの退職理由で上司に退職を認めてもらえないということがないよう注意しましょう。

現職に快く背中を押してもらえるような退職の切り出し方をつかむことで、心新たに次のステップに踏み出せるはずです。

安藤 健
安藤 健
人事コンサルタント/人事心理上級マスター
NG行動は猶予がないまま突然退職をすること!

部下から退職を切り出された上司の視点に立つと、真っ先に考えるのは空いた穴をどう埋めるかです。ほかのメンバーの業務を調整をして埋めるか、それとも新しい人を採用して埋めるかなどを考え、業務を止めないような対応について優先的に考えます。

もちろん、これまでの人間関係もあるため、部下がいなくなることに対して寂しい気持ちや悲しさも感じるでしょう。しかし、管理者としての立場にある上司は、まず円滑な業務運営を考えます。

そのため、退職を伝える側が一番やってはいけないことは突然退職することです。上司に後のことを考える暇も与えないまま、「退職します」と切り出してしまうと、上司に本来あった寂しい気持ちも、怒りに変わってしまうかもしれません。

早めの伝達と引継ぎの案を用意して円満退職を目指そう
逆に言えば、早めに退職の意向を伝えておけば、ほとんどの場合は円満に関係を終わらせることが可能です。その際に、引継ぎの案なども併せてこちらから提案できれば、退職自体はすんなり受け入れられ、純粋にあなたのキャリアを応援するような言葉を掛けてもらえるはずです。

編集責任者 伊東 美奈

キャリアステージを運営するHR team(旧リアステージ)に新卒入社。キャリアアドバイザーとして1,500名以上の就活生を支援する傍ら、長期インターンサービスの立ち上げや人材開発業務を担当。マーケティング事業に異動後、理系学生の就活支援メディア「Digmedia」の編集長・エントリーシート共有プラットフォーム「イールック」の運営責任者を務める プロフィールをみる