書類選考に落ちる……体験談付きで合格につながる書き方を徹底解説

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書類選考に落ちる……基礎の見直しと「会ってみたい」ポイント作りが解決への近道

就活において、履歴書やエントリーシート(ES)を使った書類選考はほぼ必ずおこなわれます。しかし、特に就活初期は、この書類選考で不合格になることが続いてなかなか面接を受けるところまでたどり着けないと悩む人も多いのです。

書類選考を通過するには、「面接で詳しく話を聞きたい」と思わせるような内容を考えるだけでなく、誤字脱字がないか、書類の漏れがないかなどの基本事項を押さえることが重要です。応募書類が自分と企業との最初の接点であることを頭に置いて、読みやすく印象に残る応募書類を目指しましょう。

この記事では、書類選考に落ちてしまう主な理由や、通過率を上げるための事前準備、企業に提出前する前のチェックリストを解説していきます。実際に選考を通過したESの内容や、リアルな失敗談なども紹介するので、書類選考を突破できず悩んでいる人はぜひ参考にしてくださいね。

書類選考に落ちることが続き、「持ち駒」が減ってしまっている人はこちらの記事も読んでみてください。選考を受ける企業の選び方を詳しく解説しています。
就活を成功に導く3つの持ち駒の増やし方|効率化こそ内定への近道

書類選考の通過率は? パネリストたちのリアルな声をチェック!

実際のところ、現役就活生や内定者の書類選考通過率はどのくらいだったのでしょうか。実体験をもとに、ざっくばらんに教えてもらいました。

あくまでもパネリスト自らの経験を語ってもらっているので、参考程度にチェックしてみてください。業界や企業規模によっての傾向なども聞いてみました。

キャリアステージ編集部

みなさんの、書類選考の手応えはどうでしたか?

K・G 名古屋市立大学

僕自身の就職活動の志望業界は、IT、 人材、コンサル業界を主に志望していました。人材業界におけるESの通過率は100%でした。受けた会社は10社程度。コンサル業界は、受けた会社は大手5社のみで、通過率は40%程度でした。 IT業界のSIerは、ES通過率90%程度。 あくまで僕の周りの場合はですが、SIer志望者でESで落ちる人はあまりいない印象でした。

D・T 千葉大学

書類選考の通過率は約20社ほど提出した内の17社ほどです。内訳としては、大手の食品企業は3社受けて1社のみ通過しました。ITベンチャーと人材業界を3社ずつ受けましたがそちらに関してはESはすべて通過しました。他には印刷業界と出版業界を受けましたがそれぞれ2社ずつ合格をいただくことができました。そのほかの業界でも提出した企業もあり、合格率は80%ほどだと思います。全体として、企業規模以上に就活生の人気が高い企業は全員の書類をくまなく見ることができないため、書類選考で落とされやすい気がします。逆に大手だったり人気の企業でも、しっかり新卒採用チームが充実している企業はより詳しく見ることができるためか、個人的には落とされやすいとは感じませんでした。

M・W 学習院大学

通過率に関しては、まずインターンは、私の場合は60%くらいだったと思います。対して本選考の場合は、かなり高い確率で通っていました。理由として考えられるのは、インターン募集の場合は学歴フィルターも影響しているのかなと思いました。企業側もインターンシップの段階から優秀な生徒(ある程度学歴が高い)生徒を囲い込みしたいのではないでしょうか。特に商社業界や政府系民間企業は顕著に表れていました。本選考の場合は、ある程度の上位校で、最低限の文章マナーが守れていれば書類選考は通過するように感じました。

書類選考に落ちる主な4つの理由|実際にあったミスから学ぼう

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書類選考に落ち続けるときは、共通した原因が隠れている可能性があります。その原因を解消しないと、いつまでも改善点がわからず、不合格が続くことも考えられますよ。

書類選考に落ちる主な理由を4つピックアップするので、自分の応募書類を見ながら、当てはまっていないか確認していきましょう。

就活生たちが語る、実際に応募書類でミスしてしまったときのエピソードも紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

①書類に不備がある

履歴書やESの記載内容以前に、提出書類に不備がある場合は、不合格になってしまう可能性があります。

「内容が理解できれば十分なのでは」と思う人もいるかもしれません。しかし、就活においては、「インクがにじんで読みづらい」「証明写真のサイズが違う」など、基本的なことができていないだけで不利に働くことがあります。丁寧に書類を作成しているほかの学生と比べて、「詰めが甘い」という印象につながってしまうのです

また、大手企業や人気企業では特に、採用担当は一日に大量の応募書類に目を通さなければなりません。字が汚くて読みづらい書類を手に取ると、それだけで読み進める気力をなくしてしまう可能性もありますよ。

よくある応募書類の不備の例
・誤字脱字がある
・必要な書類が揃っていない
・証明写真のサイズが規定外になっている
・消せるボールペンを使用している

②趣旨がわかりにくい文章構成になっている

志望動機や自己PRを書く際に、背景や前提から書き始めてしまうと、結局何を伝えたいのかがわかりづらくなります。その結果、せっかく書いた志望理由や自分の強みが的確に伝わらず、不合格につながってしまうかもしれません。

まずは記述欄のテーマに対して簡潔に答え、その後エピソードや理由などを補足するような文章構成を意識してみてくださいね

趣旨がわかりにくい文章構成の例文
私はチームで一つのものを作り上げることが好きで、学生時代にはそれに一番力を入れました。映像を作るゼミに所属していて、キャスト探しから脚本作り、撮影まですべてを学生だけでおこない、半年間かけて学生だけで映画をつくりました。

趣旨がわかりやすい文章構成の例文
私が学生時代に最も打ち込んだことは、映像ゼミでの映画制作です。キャスト探しから脚本作り、撮影まですべてを学生だけでおこない、半年間かけて映画を1本作り上げました。この経験から、チームで一つの作品を作り上げる楽しさややりがいを感じ、社会人になってもチームプレーで自分の強みを発揮できればと考えています。
部署横断型のチーム制を強みとしている貴社でこの経験を活かし、顧客企業の課題解決に寄与していきたいです。

③意欲が伝わらない

書類から入社意欲や熱意が伝わらないと、選考を突破できない可能性があります。

たとえば、記載の文字数が既定より少なかったり、同業界のほかの企業にも使い回せそうな内容だった場合です。「志望度が低いのかな」「とりあえず応募したのかな」と捉えられてしまうと、熱意があるほかの学生と比較した結果、不採用になりかねません。

特に入社意欲を伝える志望動機では、「大手企業だから」「その企業の商品が好きだから」など、誰でも言えるような理由は述べないようにしましょう。深く考えていないということは、きっと入社意欲が低いだろうと思われ、合格から遠ざかってしまいます。

④人物像が想像しづらい

ESから人物像がイメージできないと、自社に合う人材なのかどうかが判断しづらくなります。その結果、採用担当に「面接で詳しく話を聞きたい」と思われる確率が低くなってしまうのです。

よく見られるのは、自己PRや志望動機に、経験をもとにしたエピソードが盛り込めていないケース。感情が動いたことや熱意を持って取り組んだこと、失敗を乗り越えた経験などはしっかりエピソードを取り入れるようにしましょう

エピソードが十分盛り込まれていないと、学生がどんなことにやりがいを感じるのかわからなかったり、困難に立ち向かう姿勢を見極めることができず、入社後の姿を想像しづらくなります。

また、回答の中に具体性のある体験談や数字が盛り込まれていないと、学生がどのような経験をしたのかイメージがしにくくなることも考えられます。さらに、「誰にでも書けそうな文章だ」と感じられる可能性もあり、採用担当の印象に残りづらくなってしまいます。

たとえば、「部活では~」「ゼミでは~」と書き出すのではなく「中高6年間続けていたサッカー部では~」「他大学との連携を図る渉外担当として参加していたマーケティングのゼミでは~」など、より具体的に記載できると、イメージしやすいでしょう。

就活生たちが実際にしてしまった、応募書類についてのミスとその改善策を聞いてみました。書類選考前にぜひチェックしましょう。

気を付けて! 応募書類の失敗談と改善策をチェック

M・W 学習院大学

誤字・脱字がひどかったことがあります。銀行に対して「貴行」と書くべきところを「気候」と書いて出してしまったことがあり、それからは注意して書類をダブルチェックするようにしました……。

Y・M 成蹊大学

相手の読みやすさを考えずに提出してしまったことがあります。書類選考になかなか通らない時期があって、自分の文章を読み返してみたらとても読みにくい文章でした。企業はきっと何通もの書類に目を通していると思うので、特にアピールしたいことには【】を付けたり、順序だてておこなったことには①のように附番を付けるなど、読みやすさを考えた文章にしたことで、選考通過するようになりました!

一目置かれる書類を作るために必ずすべき事前準備

一目置かれる書類を作るために必ずすべき事前準備の画像

「書類選考に落ちる」状況を打破するためには、先ほど解説した、落ちる要素が見当たらない書類を作ることが必須です。採用担当の目に留まる応募書類を作るための事前準備について解説します。

実際に現役就活生が書類選考に際しておこなった準備も併せて確認していきましょう。

自己分析|自分の武器を知って的確にアピールするため

書類作成の前に、自己分析は必ずおこないましょう。自分のアピールポイントを明確にして応募書類に落とし込むための重要なフローです

たとえば、志望動機を「なんとなくこの企業が良いと思ったから」という状態で書き始めると、自分と企業との接点に言及できず、説得力のない内容になってしまいます。また、自分の長所や短所を整理できていないままESを書くと、たとえその企業で発揮できる強みを持っていたとしても、的確にアピールすることができません。

自己分析の方法として代表的なものに、幼少期から現在までの経験やそのときどきで感じたことを振り返る「自分史」や、感情の動きを基軸に過去を振り返る「モチベーショングラフ」などがあります。いくつか試して、書類作成を進めるのもおすすめです。

書類に記載する項目別おすすめ自己分析法の画像

代表的な自己分析の方法
・自分史:幼少期からの自分を時系列で振り返る
・モチベーショングラフ:感情の上下を軸に自分を振り返る
・マインドマップ:自分の考えを地図のように可視化する

幼少期から現在の自分についてとことん振り返る「自分史」は、こちらのフォーマットを参考に試してみてください。

自分史のフォーマット画像

自己分析の方法についてより詳しく知りたい人は次の記事をチェックしてみてくださいね。具体例とともに自己分析のやり方を解説しています。
王道の自己分析法と就活に活かすコツ|「やってよかった」体験談付き

こちらの記事では、転職希望者に向けた自己分析方法について紹介しています。転職を成功させた人が実際に試した方法を教えてくれたので、自己分析をマスターしたい人はぜひこちらの記事も参考にしてみてくださいね。
転職成功者はどう自己分析した? おすすめの方法と活用のコツを解説

企業・業界研究|採用担当に刺さる内容を作るため

入社意欲が的確に伝わる書類を作成するためには、企業・業界研究も欠かせません。事業内容や業務内容、企業のミッションを理解することで、より具体的で入社後のイメージがわく志望動機を作成できます。

また、志望企業の業界や競合他社についてもリサーチしておくと良いでしょう。ほかの企業と違う点や業界におけるポジションを調べ、競合他社の中からその企業を選んだ理由を自分の中で明確にしておくことで、ピンポイントにその企業に刺さる応募書類に仕上がります。面接に進んで志望動機や入社の意思について聞かれた際も、一貫性のある回答ができるはずです。

企業に対する理解度を深める手段として、過去に参加したその企業の説明会やインターンで聞いた情報や、OB・OG訪問で先輩社員から得た情報を参考にするのもおすすめです。インターネットには掲載されていない生の声や最新情報を取り入れることで、他の人と差がつく書類を作成できるでしょう。

調べ方の例
・志望企業の公式サイト・採用サイトを見る
・競合他社を5社絞って公式サイトを見る
・志望企業が発信するプレスリリースを見る
・志望企業に関するニュース記事を読む
・OB・OG訪問をする

確認するポイント
・志望企業・競合他社の事業内容
・志望企業・競合他社の具体的な業務内容
・志望動機が求める求める人物像
・志望企業の新しい取り組み

選考突破につながる書類作成のためにした準備とは?

キャリアステージ編集部

書類選考突破を目指して、書類作成のときに意識したことを教えてください!

K・T 明治大学大学院

書類作成の前に、その企業理念と自分の考えがマッチするかを重点的に見て企業研究をしていました。「大手企業だから」などの単純な理由で、自分にない価値観や興味のない職種の選考を受けても、企業に合わないと判断されれば落とされてしまうと感じたからです。まずは自分と合うかを見極めることが必要かと思います。(高橋)

M・W 学習院大学

書類選考では視覚的にわかりやすく伝えることが必要だと思い、2つ以上言いたいことがあるときは、①~~。②~~。というふうに、附番を振ったりして明確に書いていました。

基本が重要! 選考突破につながる応募書類の書き方のコツ4選

選考突破につながる応募書類の書き方のコツの4選の画像

ここからは、自分のことがより伝わる応募書類を作るコツを紹介します。自己PRや志望動機を書くときにぜひ意識してみてくださいね。

①PREP法を使って趣旨がわかりやすいように書く

PREP法とは、結論から書き始める文章のまとめ方です。Point(結論)、Reason(理由)、Example(具体例)、Point(結論)の頭文字をとって「PREP法」と呼ばれています。

結論から述べ始めることで、聞き手は、これから話される内容の趣旨を意識したまま話を聞くことになります。その結果、その後に話される内容がより頭に入りやすくなるのです。そうすると、志望理由やアピールポイントなどの趣旨をしっかり理解してもらえるだけでなく、エピソードが的確に伝わることにもつながります。

就活の書類選考だけではなく、面接やビジネスにおけるコミュニケーションでも活用できるので、ぜひ身に付けておきましょう

PREP法とは
物事をわかりやすく伝えるためのコミュニケーション方法。就活でも活用できるほか、ビジネスにおけるコミュニケーションにもよく使われる。

PREP法を用いた例文(自己PR)

私の強みは、計画性があることです。大学3年生のとき、TOEICの点数をアップさせるために綿密な計画を立て、点数を300点上げた経験があります。

私はイギリスの音楽史を学んでいたのですが、英語が得意ではなく、勉強に役立つ文献を十分に読み解けないことがコンプレックスでした。大学3年生の夏に受験したTOEICでは、500点という結果だったので、これを250点アップさせ、750点を取ることを目標にしました。

点数を分析した結果、500点のうち文法問題で得た点数が3割程度しかなく、自分がまず身に付けるべきは英語の読解力なのだと把握しました。そして、毎日15分間必ず文法問題を解き、リスニング問題は週末だけ解くなど、自分の課題を確実に克服できるような計画を立てて勉強に取り組みました。

その結果、見事年度末のTOEICで800点を獲得し、目標以上の成果を得ることができました。入社後も、この計画性を活かして任せられた仕事に期待以上の成果を出し、貴社や一緒に働く人々に貢献していきたいです。

この記事では、例文を使って志望動機の書き出しについて解説しています。「伝えたいことは思いついたけど、いまいちまとまらない」という人はぜひ読んでみてくださいね。
例文12選|志望動機の書き出しはエピソードの切り口がポイント!

②根拠となるエピソードには過去の経験をしっかり落とし込む

志望動機やガクチカを書くときは、根拠になるエピソードに過去の経験をしっかりと入れることが大切です。結果を事実として述べるだけではなく、そうなるに至った背景や当時の感情、意識しておこなったことなどを述べることで、より納得感のあるエピソードになります

「成功体験や輝かしい経歴を書いたほうが高評価につながるのではないか」と考え、書き方に悩んだ人もいるかもしれません。

しかし、失敗した経験やそこから学んだこと、克服した過程を盛り込むことでポジティブな印象につながる可能性があります。人となりが伝わったり、「入社後、困難なことがあっても乗り越えてくれそうだ」と、活躍するイメージを残せることもありますよ。

無理に自分を良く見せようとせず、ありのままのエピソードを取り入れるよう意識しましょう。

③入社後の姿が想像できる内容を盛り込む

志望動機や自己PRを述べるときは、「自分がこれまで何を経験したか」「今の自分の強みは何か」など、過去や現在の話題が中心になりますよね。

それに加えて、「自分はこれからどうなりたいか」という内容を盛り込むようにしてください。入社後の姿が想像できるような内容を取り入れることで、自社で活躍するイメージが湧き、選考通過の可能性が高まりますよ。

入社後の姿が想像できる内容を盛り込む例(志望動機)
インターンで培った事務スキルや、状況に応じて柔軟に行動できる点を活かし、貴社の営業事務として、営業担当の売上目標達成をサポートしていきたいです。

M・W 学習院大学

私の場合は、志望動機に関して、短期的に在りたい姿と長期的に成し遂げたいことを分けて書くように工夫しました。こうすることによって、その企業で働いている姿をより明確にイメージしてもらえるかと考えたからです。

④履歴書とエントリーシートに一貫性を持たせる

意外と見落としがちなのが、履歴書とESの一貫性を意識することです。

履歴書は主に基本情報や学歴を記載するものですが、自己PRや特技、志望動機などのアピールにつながる要素を書く欄があります。この欄とESとを違う内容で埋めようとせず、一貫させることを心掛けてみてください。

採用担当は、候補者の履歴書とESを同時に見ています。履歴書とESで違う内容を書くと、アピールポイントがぶれ、どちらの書類の説得力も弱まってしまいます

特に強調してアピールしたいことは両方に取り入れるようにして、見た人の目に留まるようにしましょう。

その場合、履歴書では内容を簡潔にまとめ、ESではエピソードをふんだんに用いて詳細に書く方法がおすすめですよ。

NG例から解説! 「選考に落ちる書類」を「受かる書類」にする基本項目の書き方

ここからは、応募書類で聞かれることの多い項目について、NG例をもとに選考突破につながる書類作成のコツを解説します。熱意が伝わり、応募書類を見た採用担当に入社後の活躍イメージを湧かせる書き方を押さえておきましょう。

志望動機|同業他社ならどの企業でも通用する内容になっている

志望動機を作成するうえで必ずチェックしてほしいのが、「競合企業でも良いのでは?」と思われる内容になっていないかどうかです。入社意欲が伝わりにくくなり、その結果、書類選考突破において不利に働く可能性が高まってしまいます。

志望動機を書くときは、企業の採用サイトや公式サイトで事業内容や企業理念を細かく確認し、競合他社と異なる点に注目してください。OB・OG訪問や会社説明会で、先輩社員にその企業を選んだ理由を聞いてみるのもおすすめです。その企業ならではの特徴をつかめるでしょう。

NG例文
私は人の心を動かす仕事をしたいため広告代理店である貴社を志望します。所属している演劇サークルで毎年1回公演をおこなっており、来場してくれた友人や知人から「感動した」と言ってもらうことをやりがいとしています。社会人になっても革新的なプロモーションを通じて人の心を動かしたいです。

OK例文
私は地域の魅力を活かしたマーケティングに取り組みたいため貴社を志望いたします。

きっかけは2つあり、まちづくりゼミで東京のあらゆるエリアの歴史を学んだことで、それぞれの街に知られざる魅力があり、それを知られていないことに課題感を感じたことと、演劇サークルの活動で人の心を動かすことにやりがいを覚えたことです。

貴社は、〇〇線沿線エリアの商業施設のプロモーションなどを通しエリアの活性化や、電車移動する乗客データなどを使ったマーケティングにも取り組んでいます。エリアの魅力や住む人々の特性を活かしたプロモーションに携わり、地域活性化に貢献したいです。

自己PR|企業がもとめる人物像とかけ離れている

自己PRの企業が求める人物像と合っていないこと。たとえば、チームプレーが多い企業や協調性を大切にしている企業で「黙々と自分ひとりで頑張ることが得意」とアピールしても、その企業で能力を発揮するイメージはつきにくいはずです。

「失敗しないように計画立てて行動できる」とアピールしている例文を紹介します。

私は、失敗しないように物事を進められる計画性があります。所属している学園祭実行委員会では経理を担当していましたが、ミスのないよう、毎日1時間かけて出入りするお金の確認をしていました。入社後も、先回りしながら物事をおこなえる計画性を活かして、堅実に業務に取り組みたいと考えています。

この場合、「ミスをしないよう一つひとつ着実に仕事を進める」という文化がある企業では歓迎される可能性が高いですが、「若手のうちからどんどん挑戦していく」文化がある企業に対しては、合うと判断されにくいかもしれません。

企業に「話を聞きたい」と思ってもらうには、企業にマッチする、または活躍できる人材だと伝わる書類選考作りが重要になります

企業がもとめる人物像を把握するには、採用サイトの募集要項や社員インタビューを確認したり、実際に先輩社員と話して「どんな人が活躍しているか」を聞いてみるのがおすすめです。

学生時代に頑張ったこと|エピソードが実績ありきになっている

生時代に頑張ったことを書くときは、実績や結果をただ述べるのではなく、課題を解決しようとしたトピックや、「どう頑張ったのか」という経緯を盛り込むようにしましょう。そうすることで、企業は学生が仕事においてどう困難に立ち向かうのかイメージが湧きやすくなり、面接で詳しく話を聞いてみたいと思うきっかけになります

NG例文
私が学生時代に頑張ったことはアカペラサークルの活動です。大学3年生のときには、関東圏の大学生が出場する大会で5位に入賞し、その後単独ライブなども精力的におこないました。また、熱心に練習をした結果、4年生のときには全国大会に出場し、ここでも8位という成績を納め、サークル全体の知名度向上に貢献しました。

OK例文
私が学生時代に頑張ったことはアカペラサークルでの活動です。

大学3年生のとき、関東圏の大学生が出場する大会で5位に入賞しました。しかし私たちのバンドは「関東大会優勝、全国大会で3位以内になる」ことを目標にしていたため、とても悔しい思いをしました。その後は次年度の大会に向けて、自分たちより上位のバンドの演奏を研究したり、週3回の練習に加えて、積極的に他大学も含めたライブに出るなどして、経験を積みました。

次の大会では惜しくも8位という結果に終わりましたが、諦めず目標に向かって頑張った時間は決して無駄ではないと感じています。

OK例文では、実績に加えて目標達成に向けてどのように取り組んだかが詳しく述べられています。入社後も、目標と現状の差を見出して積極的に努力する姿が想像できるのではないでしょうか。

応募書類の不備を防ぐ! 企業に提出する前のチェックリスト

これまでにお伝えしてきたとおり、書類選考突破のためには、文章構成や内容そのものだけでなく、書類に不備がないかどうかや、読みやすく丁寧な印象を受けるかどうかも重要です。

提出する前にチェックリストを確認して、受け取った人が進んで読みたくなるような応募書類に仕上げましょう。

応募書類に特技を記載するとき、この記事も参考にしてみてくださいね。「特技がない」と感じている人も、きっと見つかるはずです。
おもしろい特技28選|ネタに走ると危険? 特技の探し方や伝え方

書面編

応募書類をPCで作成する場合も、手書きで作成する場合も、誤字脱字がないかどうかは徹底してチェックしてください。手書きの場合は、綺麗な字で書かれているか、汚れがついてないかどうか入念に確認しましょう。これらを意識することで丁寧な印象を残し、選考通過にあたってマイナスになりうる要素を減らすことができます。

また、内容を一度第三者に見てもらい、客観的に読んでわかりやすい文章になっているかどうか確かめるのもおすすめです。

応募書類が完成したら確認すべきチェックリスト
・応募企業の社名や言及している情報が間違っていないか
・空欄や記載が足りない部分はないか
・誤字脱字がなく丁寧に書けているか
・証明写真に不備がないか(サイズ、汚れなど)
・学歴欄の年月に誤りはないか
・学校名や資格名が正式名称になっているか

証明写真を貼るときのマナー
・写真のサイズは縦40mm×横30mmにする
・背景は青、白、灰色から選ぶ
・3カ月以内に撮影したものを使用する
・写真の裏に氏名を書いておく

記入漏れの多い箇所の例
・資格欄:持っていない場合も「特になし」などと記入する
・連絡先欄
・経歴欄の元号・西暦

提出準備編

応募書類を郵送で企業に送る場合、そもそも締切を守れているかどうか、必要書類が揃っているかどうかを最終確認しましょう

よくあるのは、消印有効と必着日の認識違いです。「消印有効」とは、締切日の日付の消印が押されていればOKで、「必着」の場合はその名の通り、締切日に必ず企業に届いている必要があります。

ただ、締切日の消印が押されて消印有効をクリアしたとしても、締切日の翌日以降に届いた書類に対して「ギリギリで準備したんだな」と捉えられ、計画性のない人物だと思われてしまう可能性もあります。余裕を持って書類作成に臨んでくださいね。

応募書類提出前に確認すべきチェックリスト
・応募締め切りは守られているか
・郵送の場合送付状を添えているか
・必要な書類が揃っているか
・押印が必要な場合押印済みか

消印有効とは
郵便物に期日までの消印が押されていれば有効であること

送付状とは
企業に応募書類を郵送する際に添えるあいさつ状のことで、送り主、送付物の内容、枚数を記載する。ないからといって必ずしも不合格につながることはないが、マナーとして添えるのがおすすめ。

不備があるともったいない! 就活生が語る外せないポイントとは?

キャリアステージ編集部

応募書類の内容以外で、絶対に気を付けるべきと思うことはありますか?

H・T 京都女子大学

証明写真は、費用がかかっても必ず写真館に行ってプロにお願いするべきだと思います。大手企業には数え切れないくらい応募書類が届くため、顔が見えづらく人柄がわかりづらいという理由だけで、書類の内容を詳細に見られないまま落とされる可能性もあります。その可能性をなくすためにも、証明写真は写真館でプロに撮ってもらうべきだと思います。

M・W 学習院大学

同じく、きちんとした証明写真を提出することはぜひ意識すべきだと思います。私も、一人で証明写真機で撮影するのではなく、身だしなみなどもチェックしてもらいながら、プロに撮ってもらいました。両方を比較すると質の違いがわかります……。あとは、字の綺麗さです。どんな人でもスムーズに読めるよう意識して書いていました。

参考にしよう! 実際に選考突破した応募書類と意識したことをのぞき見

ここからは、実際に書類選考を突破したESの内容や就活生が書類を作るうえで意識していたことを紹介します。志望動機や自己PRなど、どんな企業の選考でも記載を求められうる内容なので、書類作成前に一度目を通してみましょう。

併せて、選考通過を意識して取り入れたことも聞いてみたので、参考にしてみてくださいね。

H・T
H・T
京都女子大学/法学部
企業の特性に合わせた自己PRに仕上げた

非営利団体の書類選考では、インターンシップに参加した際に非営利団体であるという点をすごく強調されていた組織だったので、その点に共感したという思いを強くアピールしました。非営利団体ということは、会社としての利益よりも国民の利益を重視している団体だと捉えています。そのため、人を奉仕する心、人のために役立ちたいという面を強調しました。

ガクチカから働くイメージを鮮明にした

また、ガクチカを書いた際は、その経験から学んだことを、どう働くときに活かせるかを重点的に書きました。たとえば、私自身課外活動で痴漢防止のポスターを制作したことをアピールしましたが、その内容ではなく、その内容を通じて得た仲間と協力することの大切さや、人と意見を合わせる大変さなどについて記載しました。

M・W
M・W
学習院大学/文系学部
関心を持った原体験を詳細に書いた

マーケティング関連の企業の選考で意識したことは、原体験をもとに「なぜ、貴社に興味を持ったのか」を明らかにすることです。また、自分がその企業で活かせる力も加えて書くことで、納得感を出せると思いました。

実際に、以下のような志望動機を書きました。

私が貴社を志望する理由は、マーケティングの知識やスキルを身に付けるためである。私はアルバイトをしている喫茶店にてSNSの運用を担当している。その中で、店舗の情報をどのように発信すればよりユーザーの反応を得られるかを分析し、投稿時間や頻度を工夫したことで、集客率を1カ月で3倍にした経験がある。

この経験から、相手のニーズを分析し、商品の魅力を発信するマーケティング業務に興味を抱くようになった。

そこで、あらゆる案件を通して蓄積された豊富なデータを持ち、マーケティングリサーチ企業最大手の貴社のノウハウを学ぶことで、マーケティングスキルを身に付けたいと考えている。

企業独自の書類選考にどう対処した? リアルな声をチェック

業界や企業によって、面接前の選考に特色があることも。たとえば、真っ白な紙に「あなたを自由に表現してください」と書かれてあるだけの自由度の高いものや、複数個のテーマに対して企画の提案を求められるもの、書類以外に動画の提出をもとめられるものなどです。

現役就活生や内定者は、そのような企業独自の選考にどう対応したのでしょうか。珍しいと感じた書類選考、おもしろいと感じた質問を教えてもらいました。これから特徴的な書類選考が待っている人は必見です。

Y・M
Y・M
成蹊大学/法学部
ES提出時に動画の提出をもとめられた

人材業界での選考で、応募書類と同時に動画の提出をもとめられたことがあります。

テーマとしては大きく3つで、
①1分程度で自己紹介
②3分で今までで一番成果を残した経験
③3分で自由に自分をアピールしてください
という内容でした。

①では名前や出身大学、特技、あとは特にアピールしたいことを伝えました。
②ではダンスサークルで作品のリーダーを務めた話をしました。
③では自分の長所や、人材業界、その企業を志望する理由などを、ホワイトボードを使いながら説明しました。

そのほかに面白いな~と思った質問として、「自分の人生に点数をつけるとしたら何点か」という質問がありました……!

D・T
D・T
千葉大学/法政経学部
「自社に足りないものは何か」という質問はいくら調べても不安が解消されなかった

エントリーシートを書く時に困った設問は、出版業界の企業で「その企業に足りないものは何か」という設問です。当該企業についてどういったことができる企業かは企業分析で調べていましたが、足りないものに関しては書いた事柄がすでに存在しているかもしれず、いくら調べても不安が拭えない設問でした。

結果的にどう対処したかというと、その企業のインターンに参加した際にその企業が将来的にどうなっていきたいのかというお話を聞くことができていたので、そのビジョンと現状のギャップとなっている部分を記載しました。

書類選考を突破したあとは面接が待っています。面接で「自己紹介してください」と言われると、意外と何を言うか迷う人も多いはず。就活生たちに、面接で実際に自己紹介をしたときの体験談を聞いてみました。
面接の自己紹介で何を話した? リアル回答例付きで伝え方を徹底解説

「面接したい」と思わせる応募書類で「選考に落ちる」を脱却しよう!

書類選考を突破するためには、履歴書やESを通して企業側に「この学生と会ってみたい」と思わせることが重要です。

そのためには、誤字脱字を防ぐなどの基本的なマナーを守ることに加えて、自分にしか書けないエピソードや活躍する姿がイメージできる要素を盛り込むなど、人となりや入社意欲が伝わる書類作りが必須になります。

書類選考に合格しないことには、企業側に直接アピールする機会を得られません。採用担当が迷わず通過させる書類を完成させ、内定に一歩近づきましょう。

安藤 健
安藤 健
人事コンサルタント/人事心理上級マスター
自己アピールとエピソードの黄金比は「2:8」

ESなどの書類選考では、ガクチカや自己PRといった内容を書くことが多いでしょう。書類選考の通過率を上げたいのであれば、自分のアピールしたい長所や強みよりも、それを裏付ける具体的なエピソードを多めに書いてみてください。

ガクチカのエピソードなら、どんな環境で強みを発揮したのか、ぶつかった課題は何だったのか、それはどれくらい難しいことだったか、課題に対して試行錯誤したことは何だったか、などです。

具体的なエピソードを多く書く理由は、面接と書類の情報伝達の違いにあります。面接では面接官から問われた質問に回答するときに追加で情報を伝えやすいのですが、書類の場合、コミュニケーションが発生しないため追加で情報を伝えることができません。選考官が「情報が足りないな……」と思っても、書類以外で学生の情報を知る手段がないのです。

そのため、読み手である面接官が文章だけでエピソードの内容をイメージできるように、元から十分な情報を入れておく必要があるのです。そうでない場合は、情報不足で不合格となる可能性があります。

要注意! アピールが増えると根拠が弱くなる
よくあるNG例が、自分の強み・弱みなどのアピールが多すぎて、根拠となる情報が少ないケース。これでは裏付けが薄く、面接官に「本当にそうなのか?」と思われてしまいかねません。

書類選考で書く内容は、アピールを全体の2割程度に留め、「なぜなら学生時代、こんなことをしてきたからです」という具体的なエピソードが全体の8割を占めるように意識して書くと、読み手にとって再現性の高い内容になるのでおすすめです。